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しおりを挟む「さぁ、二つ目の願いを言え。まったく、全部で三つだというのにノラリクラリしやがって」
「え?」
マルベリアは耳を疑った、悪魔が三つの願いと言ったからだ。通りで本物のアメリ・ベルガールが無事なことに合点が行く。例え隠匿がうまく行ったとしても悪魔にバレないわけがない。
「二つ目の願いを言うが良い、早くしろ」
「そ、そう言われても……何も浮かばないわ」
無欲な彼女は困った顔でオロオロする、急に願いと言われても思いつきはしない。困ったのは悪魔もそうでどういうことかと咆えた。
「人間とは愚かで強欲なはずだろう!いくらでも願い事があるはずだ!さあ、意地を張らずに願うんだ!」
「いいえ、なにも浮かばないわ……ごめんなさい」
「なんてこった!」
それからの悪魔はありとあらゆる誘惑をしてきたが、頑として「なにもない」と彼女は首を横に振る。宝石の山や金貨をちらつけせても彼女は興味を示さない。
「どうしてだ!?金貨だぞ!なんでも手に入るんだぞ!」
悪魔はジャラジャラと金貨の山を押し付けるようにマルベリアを説得した。だが……
「どうと言われても、金貨とは何かを成してその代償として得るものだわ。私はここにいるだけだもの」
「ぐあああ!なんて馬鹿正直な!」
悪魔は堪らず金貨を投げ飛ばし、それらを砂に変えてしまう。
「ほら、やはり紛い物だわ。ほんとうの金貨とは尊いものよ」
「ぐぬぬ……手の内を見ていたのか」
「いいえ、別に?ただ、なにも無い空間から出したから怪しいとは思ったけど」
「ぬぅぅ……思ったよりも賢いのだな」
悪魔は娘にほんの少し興味を持った、ムシケラ同然に思っていた人間というものは皆同じように見て感じていた。だが、目の前にいる小娘は違うのだと気が付く。
「面白いなお前、なかなか興味深いぞ。どうやったら欲を出すのか見てみたい」
「はあ?ありがとうございます」
こうして悪魔とアメリ・ベルガールことマルベリアの奇妙な生活が始まった。
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