完結 役立たずと言われダンジョンに捨てられたが好都合

音爽(ネソウ)

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絶望のダンジョン






焼き爛れた肉の匂いが立ち込める、少女の背中が裂けてブスブスと黒煙をあげていた。それを眺め嘲るような笑い声が響く。慈悲はないのか。ダンジョン中腹の中級ボスを刺し違えで倒したアナベラという少女は血反吐を撒き散らす。




「うっ……どうか……お助け下……さい」
「ええい、お前のような穀潰しなど我が家には不要なのだ!何が偉大な魔法使いの末裔だ、辛うじて倒したのは幸いだがな」
「そんな……きっとこれからもお役に」
「まだそんな夢物語を言うか!当主である私自ら送り届けたのだ感謝するが良い!」
その傍らにいた元妹がバカにした物言いで口を開いた。

「そうよ、お義姉様。いいえ、ただのアナベラに成り下がったのよね。さようなら」
「ルーシー……」
彼女は焼け焦げた義姉に近ずくと蹴り上げて、ゴロリと身体を反転させて胸元のブローチを毟り取る。弾みで背中を強打したアナベラは声にならない叫び声をあげる。

「もうこれは要らないわよね、私が有効的に使ってあげるわ」
「あ……それは……それだけは……」
彼女アナベラは最後の力を振絞り取られたブローチに追い縋る、しかし、その腕は空を切りパタリと地面に落ちた。

「嫌だ、なんてはしたないないの。あぁそうね、貴女の母親の形見だっけ?これは魔力増幅させるためのアーティファクト、それこそ死にゆく貴女には無用の長物じゃないアハハハッ!」
「止せ、ルーシー。それに話し掛けるでない、出来損ないとはいえ呪いを受けるかも知れん」
「あーそうだった、そうだった!呪術師の端くれでもあったわね」

クフフと含み笑いをしてからガシッと横腹を蹴った、再び爛れた背を晒す。ルーシーは嫌な物を見たと言うように嫌悪の表情だ。それから隷属の印を消し去った。

「さぁ、お父様。これ以上深入りは止めましょう、ここにマーカ途中退場を付けました。いつでも再開できますわ」
「うむ、今度はギルドのちゃんとした魔法使いを従わせよう」



***


「…………行ったかしら、やれやれ」
彼らがエスケープを使ったらしいことを再確認して、ムクリと起き上がったアナベラは自身に付けた不死の呪いにより復活した。コキコキと首を鳴らし「あ~後五回分ね」と言った。つまり後五回死んだら本当に死ぬ。

「ルーシーめ、本当に呪ってやろうかしら?あぁ止め止め、あの親子と関わりたくないわ」
幼い頃、魔法使いだった母と旅をしていた事を思い出す。あの頃は何も知らず只母親に付いて旅をしていた。そこに難儀していたあの親子と出会った。それが運の尽きと言って良い。

「ああ、私は自由になれた!万歳!」
彼女は隷属の印がされていた首をゆっくりと摩る。







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