1 / 9
序
人間不信の男
しおりを挟む
不愛想な男がいつものようにギルドへやってきた。
袋いっぱいに詰めた魔獣の皮を売りにきたのだ、職員は2m近い大男を見上げて挨拶する。
「こんにちは、ダライアスさん。今日も凄い量ですね」
「……買い取り頼む」
彼はそれだけ言うと待機所の椅子にドカリと腰を下ろす。持ち込んだ物品の鑑定が終わるまでそこで転寝をする。これが日課なのだ。
不愛想な相手に慣れている職員は淡々と魔獣の皮の品定めをはじめる、それはいつもの通り見事に剥ぎ取られた上質なものだった。
「ふむぅ~さすがですね、余計な傷一つない上物です」
職員は皮の枚数と重量を測ると彼の名を呼んだ、ダライアスはゆっくり目を開けると窓口へ戻った。
「質が良いので総重量で計算しました、魔獣の皮13kgで15万プトンです。1級品なのでやや高めですよ」
「了承した」
「いつも通り半分積立で良いですか?」
「あぁ頼む」
8万を預けて7万を現金で受け取ると、彼はさっさとギルドを後にする。
「たまには飲みに行きませんか」と職員の声が追ってきたが無視をした。
これもいつもの事だった。
ダライアスは大きな体躯を揺らして、マーケットを歩く。
時計の針はまだ15時過ぎだが、陽が落ちるのが早くなり空は薄っすら茜色になってきた。
ワインとパン、それから塩を買うとノシノシ魔獣の森のネグラに戻って行く。
市街の道中、顔見知りの何人かが声をかけてきて「たまには食事をしよう」など言ってくるが断る。
「くだらん話をしながら飯を食ってどうする」
「え~つれねぇな、またな!酒くらい驕るからさ!」
「ふん」
ダライアスは人を避けるが、周囲は彼を構いたがる。良い迷惑だと独り言ちた。
数年前、信じた相手に酷い裏切りをされて以来、彼は頑なに他人との交流を拒んでいる。
『関わらなければ傷つかない』
ダライアスが作った自分ルール、ゴツイ身体に見合わぬ繊細な心を持つ彼なりの自己防衛だった。
街からおよそ40分ほどで小さな住処に着いた。
巨体に合わない小さな戸口に頭を下げて家に入る、すぐに竈に火を起こして湯を沸かした。
黒い鉄鍋に乾燥させておいた葉野菜と塩を放り込む。
素っ気ないスープとパン、ジャーキーを肴にワインを開けた。
「ふぅ……骨で出汁くらいとれば良かったな。これではただの塩湯だ」
不味いスープに顔を顰めて一口飲む、ジャーキーを片手にワインをラッパ飲みにした。
酒は裏切らねぇなと呟き、あっという間に瓶を空にする。
物足りなくて2本目を開けた、虚ろになった青い目を閉じて「明日は何処で狩ろう」と考えた。
程よく酔いがまわった所でソファへ移動するとゴロリと仰向けになり、すぐ高鼾をかいて寝てしまう。
彼が思い描いた明日に、とんだハプニングが待っていると予期せずに。
袋いっぱいに詰めた魔獣の皮を売りにきたのだ、職員は2m近い大男を見上げて挨拶する。
「こんにちは、ダライアスさん。今日も凄い量ですね」
「……買い取り頼む」
彼はそれだけ言うと待機所の椅子にドカリと腰を下ろす。持ち込んだ物品の鑑定が終わるまでそこで転寝をする。これが日課なのだ。
不愛想な相手に慣れている職員は淡々と魔獣の皮の品定めをはじめる、それはいつもの通り見事に剥ぎ取られた上質なものだった。
「ふむぅ~さすがですね、余計な傷一つない上物です」
職員は皮の枚数と重量を測ると彼の名を呼んだ、ダライアスはゆっくり目を開けると窓口へ戻った。
「質が良いので総重量で計算しました、魔獣の皮13kgで15万プトンです。1級品なのでやや高めですよ」
「了承した」
「いつも通り半分積立で良いですか?」
「あぁ頼む」
8万を預けて7万を現金で受け取ると、彼はさっさとギルドを後にする。
「たまには飲みに行きませんか」と職員の声が追ってきたが無視をした。
これもいつもの事だった。
ダライアスは大きな体躯を揺らして、マーケットを歩く。
時計の針はまだ15時過ぎだが、陽が落ちるのが早くなり空は薄っすら茜色になってきた。
ワインとパン、それから塩を買うとノシノシ魔獣の森のネグラに戻って行く。
市街の道中、顔見知りの何人かが声をかけてきて「たまには食事をしよう」など言ってくるが断る。
「くだらん話をしながら飯を食ってどうする」
「え~つれねぇな、またな!酒くらい驕るからさ!」
「ふん」
ダライアスは人を避けるが、周囲は彼を構いたがる。良い迷惑だと独り言ちた。
数年前、信じた相手に酷い裏切りをされて以来、彼は頑なに他人との交流を拒んでいる。
『関わらなければ傷つかない』
ダライアスが作った自分ルール、ゴツイ身体に見合わぬ繊細な心を持つ彼なりの自己防衛だった。
街からおよそ40分ほどで小さな住処に着いた。
巨体に合わない小さな戸口に頭を下げて家に入る、すぐに竈に火を起こして湯を沸かした。
黒い鉄鍋に乾燥させておいた葉野菜と塩を放り込む。
素っ気ないスープとパン、ジャーキーを肴にワインを開けた。
「ふぅ……骨で出汁くらいとれば良かったな。これではただの塩湯だ」
不味いスープに顔を顰めて一口飲む、ジャーキーを片手にワインをラッパ飲みにした。
酒は裏切らねぇなと呟き、あっという間に瓶を空にする。
物足りなくて2本目を開けた、虚ろになった青い目を閉じて「明日は何処で狩ろう」と考えた。
程よく酔いがまわった所でソファへ移動するとゴロリと仰向けになり、すぐ高鼾をかいて寝てしまう。
彼が思い描いた明日に、とんだハプニングが待っていると予期せずに。
0
あなたにおすすめの小説
小学生のゲーム攻略相談にのっていたつもりだったのに、小学生じゃなく異世界の王子さま(イケメン)でした(涙)
九重
BL
大学院修了の年になったが就職できない今どきの学生 坂上 由(ゆう) 男 24歳。
半引きこもり状態となりネットに逃げた彼が見つけたのは【よろず相談サイト】という相談サイトだった。
そこで出会ったアディという小学生? の相談に乗っている間に、由はとんでもない状態に引きずり込まれていく。
これは、知らない間に異世界の国家育成にかかわり、あげく異世界に召喚され、そこで様々な国家の問題に突っ込みたくない足を突っ込み、思いもよらぬ『好意』を得てしまった男の奮闘記である。
注:主人公は女の子が大好きです。それが苦手な方はバックしてください。
*ずいぶん前に、他サイトで公開していた作品の再掲載です。(当時のタイトル「よろず相談サイト」)
強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない
砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。
自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。
ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。
とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。
恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。
ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。
落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!?
最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。
12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生
【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件
表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。
病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。
この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。
しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。
ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。
強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。
これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。
甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。
本編完結しました。
続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
転生したが陰から推し同士の絡みを「バレず」に見たい
むいあ
BL
俺、神崎瑠衣はごく普通の社会人だ。
ただ一つ違うことがあるとすれば、腐男子だということだ。
しかし、周りに腐男子と言うことがバレないように日々隠しながら暮らしている。
今日も一日会社に行こうとした時に横からきたトラックにはねられてしまった!
目が覚めるとそこは俺が好きなゲームの中で!?
俺は推し同士の絡みを眺めていたいのに、なぜか美形に迫られていて!?
「俺は壁になりたいのにーーーー!!!!」
荷物持ちを追放したら、酷い目にあった件について。
しばたろう
ファンタジー
無能だと思い込み、荷物持ちのレンジャーを追放した戦士アレクス。
しかし――
彼が切り捨てた仲間こそが、
実はパーティを陰で支えていたレアスキル持ちだった。
事実に気づいた時にはもう遅い。
道に迷い、魔獣に襲われ、些細な任務すらまともにこなせない。
“荷物持ちがいなくなった瞬間”から、
アレクスの日常は静かに崩壊していく。
短絡的な判断で、かけがえのない存在を手放した戦士。
そんな彼と再び肩を並べることになったのは――
美しいのに中二が暴走する魔法使い
ノー天気で鈍感な僧侶
そして天性の才を秘めた愛くるしい弟子レンジャー
かつての仲間たちと共に、アレクスはもう一度歩き出す。
自らの愚かさと向き合い、後悔し、懺悔し、それでも進むために。
これは、
“間違いを犯した男が、仲間と共に再び立ち上がる”
再生の物語である。
《小説家になろうにも投稿しています》
災厄の魔導士と呼ばれた男は、転生後静かに暮らしたいので失業勇者を紐にしている場合ではない!
椿谷あずる
BL
かつて“災厄の魔導士”と呼ばれ恐れられたゼルファス・クロードは、転生後、平穏に暮らすことだけを望んでいた。
ある日、夜の森で倒れている銀髪の勇者、リアン・アルディナを見つける。かつて自分にとどめを刺した相手だが、今は仲間から見限られ孤独だった。
平穏を乱されたくないゼルファスだったが、森に現れた魔物の襲撃により、仕方なく勇者を連れ帰ることに。
天然でのんびりした勇者と、達観し皮肉屋の魔導士。
「……いや、回復したら帰れよ」「えーっ」
平穏には程遠い、なんかゆるっとした日常のおはなし。
スーパーのビニール袋で竜を保護した
チー牛Y
ファンタジー
竜は、災害指定生物。
見つけ次第、討伐――のはずだった。
だが俺の前に現れたのは、
震える子竜と、役立たず扱いされたスキル――
「スーパーのビニール袋」。
剣でも炎でもない。
シャカシャカ鳴る、ただの袋。
なのにその袋は、なぜか竜を落ち着かせる。
討伐か、保護か。
世界の常識と、ひとりの男の常識が衝突する。
これは――
ビニール袋から始まる、異世界保護ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる