拾った魔獣が男の娘だった

音爽(ネソウ)

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ボク、リモーネ

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子狐魔獣が居候して数日が経った。
そこでまた「呼び名」について考えることにした。


ダライアスは三本の尻尾を梳きながらどうしたものかと考えた。
すっかり懐いた狐魔獣は毛を梳いて貰うのが好きなようだ、飼い主側としては抜け毛が困るので止む無く行っているのだが。


「尻尾が3本だから……サンボン、いや安直か!なにげ酷いし。うーん、黄色い……リモーネ?」
「キュン!」


嬉しそうに鳴いた、気がした……。
「そうか、リモーネと呼ぼう。ずっと呼び名がないのはこっちが困るからな。狐ってよぶのも変だろ」
「キュキュン!」


梳いた尻尾をフルフルと回してリモーネは嬉しそうに跳ねまわった。
「うっぷ!毛が飛び散るだろ。まったく」




梳き終わった始末をしながらダライアスは、久しぶりにマーケットへ行くことにした。
食糧が少なくなってきたからだ、冬前には毛布も買い替えたいと思った。


「魔獣は連れていけないから留守番な?わかるか?」
「きゅ……うん」


置いていくと理解した途端に悄気るリモーネである。
「困ったな……人の街に出入りできるのは魔獣魔物使いだけで……あぁそうかでもなぁ」
「きゅ?」


自由に行動できる縛りについて説明しようとしたが、口を噤むダライアス。

「あのな、やっぱりここで留守番しててくれないか?いろいろ拙いんだよ……普通の人間は魔獣を怖がるからさ。それにリモーネが退治されてしまうかもしれないんだ。怖くて痛いのは嫌だろう?」
「……きゅうぅん……きゅううううん」


やっぱり理解できないかとダライアスは肩を落とす。
「きゅぅうううん!キューーーン!キュキューン!」

泣き始めてしまったリモーネにダライアスはお手上げになった。
あの日、オオカミ魔獣を蹴散らした時のように鼓膜が攻撃されていた。

せめて尻尾が一本ならば、ただの狐だと連れ歩けたのにと気を失いかけながら彼は思うのだった。





気を失ってどれくらいか、ダライアスは誰かの鳴き声で目を覚ました。
外はまだ明るい、ほっと胸を撫でおろす。


「ダラ!起きた……!ごめんなさい!悲しいと押さえられないのぉ」
「え!?……だれキミ!」


金髪の髪を揺らして泣く、まっぱの少女がダライアスのすぐ横に座っている。

「そうだ、リモーネは!リモーネはどこへ行った!キミがなにかしたのか!?」
「へ?リモーネはここだよぉ?」


「は!?なんて?」
「ボクがリモーネだよ?なんでわかんないの、ほらぁ尻尾を見て見てぇ?」


さっき梳いた覚えがある黄色の尻尾が目の前で揺れていた。

「なんだって!?」

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