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双子の神子
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聖なる力を宿して生まれるという神子が、ポルセント王国の片隅で産声を上げた。
昨晩、力を受け継ぐ子を無事産んだカロラインは、愛おしそうに我が子を撫でて儚くなった。
だが世間は前代未聞の双子の神子に騒然となる。
「どちらも聖なる力を宿していると判断し、トランキルド大聖教会で育てることにする。前聖女カロラインの双子クラーラ、クラリスに幸あらんことを」
教皇が赤子両名に祝福の言を与えた。
これに異を唱えたのは王族だった。
「老獪のジジイが言祝ぎを与えたからどうだというのだ?双子などありえぬだろう」
王家と同等の権力を持つ教会を常々疎ましく思っていた王は面白くない。
協会への支援は国税がほとんどだからだ。
神子が将来に聖女となるまでにかかる金子は莫大なものである、それが2倍となれば王でなくとも渋面になる。
「双子ならば、どちらかが忌み子ではございませんこと?」
傍らにいた王妃が口を挟んだ。
「だがな教皇がすでに洗礼まで済ませてしまった……口惜しい」
「ふふ、ならばこの子に選ばせば良いのですわ」
王妃は臨月になった大きな腹を撫でて笑った。
占べにより男児と聞かされていた王妃は、腹に王子が宿っていると信じて疑わない。
「なるほど、どちらかを我が王子に娶らせれば……カロラインは公爵に譲ったが次代はこちらが貰い受けよう」
「まぁ、酷い。私は身代わりですの?」
それを聞いた王は「そんなはずはない」と一笑して王妃に口づける。
カロラインは聖女だったが、王の好みではなかった。
「あれはとても地味だったからな、俺に相応しくない。傾城の美姫と言われた其方こそが俺の伴侶だ」
「まぁお上手ですこと」
若き王と王妃は野卑な笑顔で見つめあった。
昨晩、力を受け継ぐ子を無事産んだカロラインは、愛おしそうに我が子を撫でて儚くなった。
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教皇が赤子両名に祝福の言を与えた。
これに異を唱えたのは王族だった。
「老獪のジジイが言祝ぎを与えたからどうだというのだ?双子などありえぬだろう」
王家と同等の権力を持つ教会を常々疎ましく思っていた王は面白くない。
協会への支援は国税がほとんどだからだ。
神子が将来に聖女となるまでにかかる金子は莫大なものである、それが2倍となれば王でなくとも渋面になる。
「双子ならば、どちらかが忌み子ではございませんこと?」
傍らにいた王妃が口を挟んだ。
「だがな教皇がすでに洗礼まで済ませてしまった……口惜しい」
「ふふ、ならばこの子に選ばせば良いのですわ」
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「なるほど、どちらかを我が王子に娶らせれば……カロラインは公爵に譲ったが次代はこちらが貰い受けよう」
「まぁ、酷い。私は身代わりですの?」
それを聞いた王は「そんなはずはない」と一笑して王妃に口づける。
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「あれはとても地味だったからな、俺に相応しくない。傾城の美姫と言われた其方こそが俺の伴侶だ」
「まぁお上手ですこと」
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