双子の聖女

音爽(ネソウ)

文字の大きさ
2 / 6

16年後

しおりを挟む
「聖女認定?なによそれ、結婚する28歳までは聖女として生活するんじゃなかったの?」
不貞腐れた声を出したのは妹のクラリスだった。


喜怒哀楽が激しくハッキリした物言いをするクラリスは華やかな美少女になり、大きくなるほど我儘になっていた。
逆に真面目で慎ましく育った姉クラーラは清廉で儚げな美少女だ。


つまり似ているのは外見だけだった。
だが年を重ねるうちに内面が顔立ちに出てくるようになる。

似ているのに似ていない、そんな双子になった。



「王家から婚姻の打診が来た、どちらかを娶り正式な聖女と認定すると……教会としては両名とも聖女であると思っているのだが」

双子を呼びつけた大司教が面倒そうにそう言った。

「選ばれなかった方はどうなるの!?」クラリスは不機嫌な声で問う。
すぐ横にいた姉クラーラを押しのけるようにして大司教に詰め寄った。


「申し訳ないが、どちらかは聖女の地位を剥奪され市井に下って貰うことになる」
「そんな!勝手なこと!」


益々声を荒げるクラリスは「こうなったら私が絶対選ばれる!」と叫んで広間から出ていった。
同じ双子でどうしてこうも違うのかと大司教はかぶりを振る。


残されたクラーラも気まずそうに立ち上がると、その場を辞そうとしたのだが。

「クラーラ」
「はい、なんでしょうか?」

彼女を呼び止めた大司教は愛娘を見るように目を細めて言う。

「どんな険しい道がこの先あるかわからない、挫折を味わい心が濁ることもあるだろう。それでも聖女である矜持を忘れずに」

「……はい、私はどこにいようと正しいと信じた道を歩きますわ」


彼女はそういうと広間から出て、祈りの間へとまっすぐに歩を進めた。
朝から二度目の祈祷をするためだった。


白く清らかなそこには誰もいなかった。

「クラリスったら……またお祈りをさぼるのね困った子」

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

失った真実の愛を息子にバカにされて口車に乗せられた

しゃーりん
恋愛
20数年前、婚約者ではない令嬢を愛し、結婚した現国王。 すぐに産まれた王太子は2年前に結婚したが、まだ子供がいなかった。 早く後継者を望まれる王族として、王太子に側妃を娶る案が出る。 この案に王太子の返事は?   王太子である息子が国王である父を口車に乗せて側妃を娶らせるお話です。

破滅は皆さんご一緒に?

しゃーりん
恋愛
帰宅途中、何者かに連れ去られたサラシュ。 そのことを知った婚約者ボーデンは夜会の最中に婚約破棄を言い渡す。 ボーデンのことは嫌いだが、婚約者として我慢をしてきた。 しかし、あまりの言い草に我慢することがアホらしくなった。 この場でボーデンの所業を暴露して周りも一緒に破滅してもらいましょう。 自分も破滅覚悟で静かにキレた令嬢のお話です。

目の前で始まった断罪イベントが理不尽すぎたので口出ししたら巻き込まれた結果、何故か王子から求婚されました

歌龍吟伶
恋愛
私、ティーリャ。王都学校の二年生。 卒業生を送る会が終わった瞬間に先輩が婚約破棄の断罪イベントを始めた。 理不尽すぎてイライラしたから口を挟んだら、お前も同罪だ!って謎のトバッチリ…マジないわー。 …と思ったら何故か王子様に気に入られちゃってプロポーズされたお話。 全二話で完結します、予約投稿済み

王太子殿下が欲しいのなら、どうぞどうぞ。

基本二度寝
恋愛
貴族が集まる舞踏会。 王太子の側に侍る妹。 あの子、何をしでかすのかしら。

乙女ゲームは始まらない

みかん桜
恋愛
異世界転生した公爵令嬢のオリヴィア。 婚約者である王太子殿下の周囲に、乙女ゲームのヒロインを自称する女が現れた。 だが現実的なオリヴィアは慌てない。 現実の貴族社会は、物語のように優しくはないのだから。 これは、乙女ゲームが始まらなかった世界の話。 ※恋愛要素は背景程度です。

婚約破棄ですか? では、最後に一言申しあげます。

にのまえ
恋愛
今宵の舞踏会で婚約破棄を言い渡されました。

あっ、追放されちゃった…。

satomi
恋愛
ガイダール侯爵家の長女であるパールは精霊の話を聞くことができる。がそのことは誰にも話してはいない。亡き母との約束。 母が亡くなって喪も明けないうちに義母を父は連れてきた。義妹付きで。義妹はパールのものをなんでも欲しがった。事前に精霊の話を聞いていたパールは対処なりをできていたけれど、これは…。 ついにウラルはパールの婚約者である王太子を横取りした。 そのことについては王太子は特に魅力のある人ではないし、なんにも感じなかったのですが、王宮内でも噂になり、家の恥だと、家まで追い出されてしまったのです。 精霊さんのアドバイスによりブルハング帝国へと行ったパールですが…。

お久しぶりです旦那様。そろそろ離婚ですか?

奏千歌
恋愛
[イヌネコ] 「奥様、旦那様がお見えです」 「はい?」 ベッドの上でゴロゴロしながら猫と戯れていると、侍女が部屋を訪れて告げたことだった。

処理中です...