双子の聖女

音爽(ネソウ)

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不自然な見合い

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双子へ聖女認定の話がされてから三日後、第一王子オスガ・トロンペス王太子が側近を数名連れて本教会へやってきた。


「ふん、王太子が自らやってきたのだ感謝しろ」
居丈高な態度で広間に現れたその人物は、我儘に育ったと見られるブヨブヨの身体を椅子に沈めた。世辞にも美しいとは言いかねる容姿だった。


それでも聖女に選ばれたいクラリスは媚びるように挨拶する。

「お目通り叶いまして嬉しゅうございますわ、王太子様」
「ふぬ、お前の名は?」

「はい、クラリスと申します。よろしくお願いいたします」
華やかなルックスをこれでもかとアピールして微笑を浮かべるクラリス。


オスガの頬が朱に染まった、彼が恋に落ちる瞬間を周囲は目の当たりにした。
王太子は姉クラーラなど目に入らないのか、挨拶もさせずにクラリスの手を取って「散歩に行こう」と勝手に見合いを進めていく。


同席していた大司教達は呆気にとられ彼らを見送る。
そしてクラーラはというと何故か安堵の表情を浮かべていた。


***

見合いから数日後。

クラリスは頻繁に王宮へ招かれるようになった。
教皇を筆頭に解せない顔をする教会側である、日頃から敬虔さが薄いクラリスが聖女として認定されることが濃厚になったからだ。


「聖女の力は今時点で拮抗しておるが、はたしてこの先どうなるか」
教皇は、勤勉なクラーラがいてこそクラリスの力が発揮できているのではと思っていた。

親代わりで教育係であった大司教も同意見だった。

「今代の聖女は対で神力を発揮するのではないかと思います」
「うむ、双子で生まれた意味はそこにあるとワシも思っていた」


互いに支え合ってこその聖女で在り、神から恩寵を賜るのだと教会側の総意だった。
どちらか一方が欠けたり穢れてはならないと危惧した。



そんな焦慮を嘲笑うかのように、王家側から王太子と聖女の婚約が発表されてしまった。
選ばれたクラリスは意気揚々と輿入れに向けて準備に動く。

とはいっても、聖女の世話係が忙しいだけで当人は王太子と遊ぶのに夢中だ。
「近頃はオスガ様は痩せてきて、とても麗しく御成りなの!きっと私に相応しい美青年になるわ!」


聖女認定を受け少し浮かれ気味のクラリスを大司教は窘める。

「幸せになるのは良いことだ。だがしかし、一線を超える真似だけはせぬように!聖女の任を全うするまでは清い身でいなさい」

「……わかってるわ!もう、説教臭いわね!これだから教会へ帰るのはイヤなのよ!」
聖女は28歳になる時まで、異性と同衾することは許されない。


「わかってるわ、そんなこと。でも黙っていればバレないでしょ?」
誰にも聞こえない小さな声で、クラリスは呟くのだった。
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