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虚飾の世界
しおりを挟む豪華絢爛な式を挙げてご満悦な二人が披露宴会場に姿を現す。人々は口々に言祝ぎを紡ぐがどこか空々しい。上辺だけの祝いの言葉を投げているのだ。
それに気づかないテベリオ・ドレイタス王太子とその妻に納まったベネッタ・ルニッチ男爵令嬢は誰かが言い放った皮肉の言葉さえ喜んでいる。
「実にお似合いのふたりで」と……。頭が空っぽの似た者同士だと揶揄されても気が付かないのだ。
「はは、ありがとう!」
「ありがとうございますぅ」
可愛い顔を綻ばせて小鳥のように囀るベネッタはテベリオを完全に陥落させていた。容姿に恵まれた彼女は、己の武器であるたわわな胸と妖艶な顔と艶めかしい腰つきを使って落としたのだ。
デレデレになった締まりのないテベリオの顔は誰が見ても”醜い”のだが、敢えて口にはしない。
「ねぇ~え、この後はアンドレイナと式を挙げるのよね?私は寂しいわぁ」
「うん、仕方がないのだよ。形式上……」
「ええ~私泣いちゃう!グスングスン」
彼女は人目も憚らず瞳から大粒の涙を流す、これに困った王太子は「どうか泣かないで」と宥めに掛かる。
「うぇ~ん、ふぇ~ん!グスングスン」
「ああ、参ったなぁ」
結局は我儘を押し通して書面を交わすだけの式にした、略式にされたアンドレイナ・サンドリーニ侯爵令嬢は冷笑を浮かべて「左様で」と言った。
そして、そそくさと出て行く王太子を見送ると婚姻届けをビリビリと破り捨てた。
「どこまでも愚かなのね貴方は、ふふふふ」彼女はあの日の屈辱を思い出す。
『お前みたいなつまらない女など要らない、だが優秀さはかってやろう。第二妃として存分に働けよ』
『ごめんなさぁい、貴女は私の代わりに公儀をやってねぇ。だってそれしか取り柄がないんだしぃ』
公務のほとんどを丸投げにする宣言をして、正妃になるはずのアンドレイナ・サンドリーニを蹴落とし正妃の座に就いたベネッタ・ルニッチは高笑いした。王太子は彼女を第二妃として迎えると宣言したのである。
もちろん、そんな事は罷りならないと王は反対したのだが、その言葉を退けて彼女は同意をしてしまう。
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「ひ、ひぃ!待ってくれ、それだけは勘弁してくれないか!」
「いいえ、なりません陛下。時は満ちたのです」
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