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政策と仮初の妃
しおりを挟む愚鈍たちが居ぬ間にテルダーティ宰相らが指揮を執り、新たな政策に乗り出した。
王政は最早ハリボテであり愚王の失脚は決定的となった、ドレイタス王は末席に納まり小さくなって議会に参加せざるをえない。
いろいろと物議を醸した大会議は昼夜問わず十日間にも及び、激論が交わされた。
「なんとか上手く纏まりそうじゃないか」
「はい、王族派はいまだ煩いですが、時間の問題でしょう」
「うむ、王は何も発言しないな。お飾りらしくそうしていれば良い」
宰相は議論の焦点である共和制について今一度再考しなおした、しかし、どう考えても君主政はやはり都合が悪いと結論づけるに至った。
「やはりこのままではダメだ……さて王族派をどう黙らせるか」
飾りの王は要らないのだと彼の中では決まってしまった。
「大公様、ご機嫌麗しゅう」
執務室にて仕事を熟していたアンドレイナ・サンドリーニ侯爵令嬢は恭しくお辞儀をした。訪問した宰相は堅苦しい挨拶は良いと苦笑する。
「仕事は順調かね、アレがいないほうが調子は良かろう」
「ええ、仰る通りですわ、出立する間際までイチャイチャと邪魔をしてきましたからね」
アンドレイナはテベリオとベネッタの嫌味ったらしい言動を思い出してゲンナリした。粉飾決算の書類を纏めて居住まいを正す。
「紅茶を淹れましょう、一区切りしましたの」
「ああ、頂こうか」
結局は仕事の話になっていしまう二人だったが、良い結果が得られたと彼女は思う。
「やはり財務大臣の関与が仇となりました、彼は失脚すべきかと」
「うむ、彼の身柄はすでに抑えたところだ。済まないなこんな事を押し付けて」
「いいえ、遣り甲斐がございます。膿は徹底的に絞り出すのですわ」
心強い言葉を聞いて彼は話題を変えた、仮の第二妃として今後どうするのかと。
「私個人のことですか?う~ん、考えた事もありません。このまま文官として身を置けたらと思います」
「……そのようなことで良いのか?もっと欲を出しても良かろう」
彼女はあくまで政務の歯車の一つとして人生を終わらせたいと考えていた。だが、そんな事はつまらないだろうと宰相は思う。
「どうだろうか、我が息子と……ランベルナイト・テルダーティと顔を合わせて貰えないか?」
「ランベルト様と……ですか」
若きテルダーティ家の御子息の名を出された彼女は困惑しつつも頬を熱くした。彼は新体制の要となる人物だ。卿は共和制になった暁には家督を譲ろうとしている。
「どうか、一考願えないだろうか。アヤツは仕事人間で血を通わせた人間とは言い難いが、真面目が過ぎるだけなのだよ」
そう言われた彼女は彼の相貌を思い浮かべてみた。白髪にアイスブルーの冷たい瞳、そして長身ですらりとした体躯。冷酷そうな冷たい顔を思い出して身震いをした。
「私なんかで宜しいのでしょうか、もっとお相手はいると思いますが」
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