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珍獣ベネット
「お母さまぁ、わたしのデビュタントの白ドレスはちゃんと買って下さるのよね?」
「ええ、アイスブラド様にお願いしているわ」
また同じ返事の母にベネットはイラつく、夜会まで一月を切ったというのに一向に採寸と生地選びが出来ていないからだ。
内縁とはいえ義父を敬称で呼ぶ母にも苛立っていた、そんな低姿勢だから優遇されないのだと思っているのだ。
「貴族街一のテーラーは数カ月待ちなのよ!間に合わないじゃない!」
「……わがまま言わないで頂戴、既成品でも良いでしょう?お屋敷に住まわせていただいてるだけでも有難いことよ?」
「なによ、なによ!我慢ばかりじゃない、私達は家族になったのでしょ?こんなのおかしいわ!公爵家が既製品だなんて社交界で笑い者よ!」
押しの弱い母は使えないとベネットは怒り狂う。
「いいわ、お義兄様におねだりするから!シルク地に豪華な刺繍とパールを付けたドレスを強請るわ」
「ベネット!おやめなさい!」
窘める母を押しのけてロードリックの部屋へ向かう、だが部屋の前の護衛が許さなかった。
「おどきなさい!お義兄様に用があるのよ。使用人のくせに生意気よ!」
「ただいま来客中でございます、ご遠慮ください」
ワガママが通らないと癇癪を起し、廊下に飾ってある花瓶を護衛に投げつけた。
さすがの騒ぎにロードリックが顔出す。
「何事かね?来客中だぞ」
「お義兄様ぁ……みんなが意地悪するんですぅ。押しのけられて花瓶が割れましたわ」
床の惨事にロードリックが頭を抱えた。
腕を打撲した護衛が顔を顰めている、明らかにベネットが悪いとわかる。
「ベネ、部屋へ戻りなさい。大切な方がいらしてるんだ」
「いやですぅ!お義兄様にお願いがあるんですぅ」
グスグスと泣き出したベネットにロードリックはメンドクサイと顔を顰める。
「良いじゃないか、部屋に入って貰えば?」ドアの陰から声がした。
「ほらぁ!お義兄様!許可がおりましたわ」
さっきまでの涙はどうしたのか、ベネットは元気いっぱいに部屋へ突進した。
ベネットが乱入した部屋のソファには、長い足を組んだ美青年がいた。
笑みを浮かべてはいるが目は据わっている、敵意むき出しである。
ドアを閉めてロードリックは丁寧に謝罪した。
「かまわん、面白い珍獣を飼っているじゃないか」
「申し訳ありません、セイン殿下」
再び謝罪するロードリックを押しのけ、ベネットが無作法に叫ぶ。
「きゃーっ!殿下ですって!?素敵だわ、流石お義兄様ね!お友達が王子様だなんて!」
「ベネ……失礼だよ」
「この出会いは運命かしら?ひょっとして私との婚約の話だったの?うふふぅ♪」
セイン殿下は腹を抱え笑い、ソファから転げ落ちて更に笑う。
ロードリックは青い顔で、この珍事件の収拾をどうしようか悩んでいた。
「ええ、アイスブラド様にお願いしているわ」
また同じ返事の母にベネットはイラつく、夜会まで一月を切ったというのに一向に採寸と生地選びが出来ていないからだ。
内縁とはいえ義父を敬称で呼ぶ母にも苛立っていた、そんな低姿勢だから優遇されないのだと思っているのだ。
「貴族街一のテーラーは数カ月待ちなのよ!間に合わないじゃない!」
「……わがまま言わないで頂戴、既成品でも良いでしょう?お屋敷に住まわせていただいてるだけでも有難いことよ?」
「なによ、なによ!我慢ばかりじゃない、私達は家族になったのでしょ?こんなのおかしいわ!公爵家が既製品だなんて社交界で笑い者よ!」
押しの弱い母は使えないとベネットは怒り狂う。
「いいわ、お義兄様におねだりするから!シルク地に豪華な刺繍とパールを付けたドレスを強請るわ」
「ベネット!おやめなさい!」
窘める母を押しのけてロードリックの部屋へ向かう、だが部屋の前の護衛が許さなかった。
「おどきなさい!お義兄様に用があるのよ。使用人のくせに生意気よ!」
「ただいま来客中でございます、ご遠慮ください」
ワガママが通らないと癇癪を起し、廊下に飾ってある花瓶を護衛に投げつけた。
さすがの騒ぎにロードリックが顔出す。
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「お義兄様ぁ……みんなが意地悪するんですぅ。押しのけられて花瓶が割れましたわ」
床の惨事にロードリックが頭を抱えた。
腕を打撲した護衛が顔を顰めている、明らかにベネットが悪いとわかる。
「ベネ、部屋へ戻りなさい。大切な方がいらしてるんだ」
「いやですぅ!お義兄様にお願いがあるんですぅ」
グスグスと泣き出したベネットにロードリックはメンドクサイと顔を顰める。
「良いじゃないか、部屋に入って貰えば?」ドアの陰から声がした。
「ほらぁ!お義兄様!許可がおりましたわ」
さっきまでの涙はどうしたのか、ベネットは元気いっぱいに部屋へ突進した。
ベネットが乱入した部屋のソファには、長い足を組んだ美青年がいた。
笑みを浮かべてはいるが目は据わっている、敵意むき出しである。
ドアを閉めてロードリックは丁寧に謝罪した。
「かまわん、面白い珍獣を飼っているじゃないか」
「申し訳ありません、セイン殿下」
再び謝罪するロードリックを押しのけ、ベネットが無作法に叫ぶ。
「きゃーっ!殿下ですって!?素敵だわ、流石お義兄様ね!お友達が王子様だなんて!」
「ベネ……失礼だよ」
「この出会いは運命かしら?ひょっとして私との婚約の話だったの?うふふぅ♪」
セイン殿下は腹を抱え笑い、ソファから転げ落ちて更に笑う。
ロードリックは青い顔で、この珍事件の収拾をどうしようか悩んでいた。
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