その眼差しは凍てつく刃*冷たい婚約者にウンザリしてます*

音爽(ネソウ)

文字の大きさ
33 / 49
遊学篇

閑話 メロルはお姫様になりたい(イライラ注意)

小さいころから私メロルは「姫」と呼ばれて育ったわ。
「私達の可愛い姫」といつも言ってた。

商家の両親も使用人もそう呼ぶの、それが当たり前だったから、メロルは御姫様なんだと自覚したわ。
身なりだって他の子より綺麗で、素敵なドレスは私しか着てなかった。

父様は新興商人でたった数年で大きな商会を作ったの、「成金」と時々誰かが呼ぶわ。
どういう意味かと母様に聞いたら「妬む人が父様を悪く言うの、気にしちゃダメ」と言ったわ。

そうかうちはお金持ちになったから羨ましいのね!
しかも私は御姫様、キラキラしたドレスを毎日着てるから妬むんだわ。



3歳の誕生日に貰った絵本の王子様とお姫様の物語に夢中になった。

金髪に青い目の王子、それからお姫様は自分に似ていたから大好きになった。
意地悪な魔女に騙された後、退治した王子と結婚するお話よ。

「王子様と結婚したい!」
父様におねだりをした、なんでも叶えてくれるお金持ちの父様。

「ハハハ、可愛いことを言うね。そうだねきっと王子様に会えるよ」
父様は笑ってそう言った。

だから私は、メロルはやっぱりお姫様なんだと、特別な存在なんだと誇らしかった。



5歳になった時、叔父さんが開いた私塾というのに通えと言われた。
読み書き、計算とマナーを教わると聞いた、勉強は嫌いよ。

教本を開くと目がチカチカしちゃうし、字を覚えるのが面倒だった。
近所の子もいっぱい来てて遊ぶ方が楽しい。

ある日、意地悪な子が平民は「お姫様ではない」と言った。
どうして、そんな事いうの?私は怒って理由を聞いた。

大貴族か、あの大きな城に住む人だけが王子と王女になれて、お姫様と呼ばれるのだと言った。
それじゃメロルは御姫様じゃないの?……父様達が嘘をいっていたと悲しくなった。

でも母様が「お勉強して学園へ通えば貴族に会える」そう言ったから頑張った。
貴族がなんなのか良くわからないけれど、その人のお嫁さんになれば「お姫様」なれるかもしれない。

嫌いな勉強も頑張って何とか学園へ入れた。
そして入学式に男爵の息子というトニーに声をかけられた、貴族だと言う。
「キミの家と婚約の話が出ているよ」そう言って握手してきた。


でもトニーは金髪じゃないし、目も青くなかった。王子じゃないとガッカリしたわ。
しかも下級貴族だから姫になれない。

嫌だと両親に泣きついたけど「今度ばかりは我儘は聞けない」そう父様が冷たく言った。
どうして!?

頑張ってきたのに、なにもかも無駄だった。
目の前が真っ暗になった。

それから正式に婚約が結ばれて、馴れ馴れしいトニーにイライラして2学年にあがった。
成績はギリギリアウトだったけど、父様がお金でなんとかしたと言う。
だって今更勉強なんてどうでもいいじゃない!

ところが季節が秋になったある日、本物の王子様が編入してきた!

やったわ!絵本と同じ金髪と青い目の王子よ!これは運命に違いないと確信したわ!
話しかけると優しく微笑んでくれた!

どうしよう一瞬で好きになったわ、毎日がドキドキで羽が生えたように体が軽いの!
毎日毎日、話しかけて仲良くなろうと頑張った。
でも王子は誰にでも優しいから、勘違いした女子達が邪魔にくるの。

その王子様は私の!メロルの運命の人よ!

ある日、ランチを誘いに行ったら王子の侍従達に止められた、なんで?
学食に入った王子は誰かを探してた、嬉しそうに駆け寄った相手は冷たい感じの美人だった。

隣国から来た侯爵令嬢だと皆が噂してた、二人は同じ国から遊学してきたと教師が言った。
しかも知り合い同士でマウゼオ公爵邸から一緒に通学してるらしい。

ずるい!なによそれ!
上級貴族ってことはすでにお姫様じゃないの!王子まで独り占めする気なのね。
貴族ってなんて欲張りなのかしら!


怒り狂って令嬢に文句言おうとしたら、ガラの悪い従者達に睨まれ怖くて逃げ帰った。
なにあれ?変な髪型……なんかわからないけど「ヒャッハー!」って叫びそう。

どうしようも出来なくて悶々としてたら、王子が来なくなっちゃった。
きっとあの女がなんかしたのよ!絶対に!
そういえばあの顔、絵本の魔女に似ている気もする。

腹に据えかねた私は、護衛が居ない隙を狙って食堂にいた魔女へ文句を言いに近づいたの。
「王子様を隠さないでよぉ!メロルのセインを返してぇ!」

あなたにおすすめの小説

私だけが愛して1度も笑ったことの無い夫が、死んだはずの息子を連れてもどってきた

まつめ
恋愛
夫はただの一度も私に笑いかけたことは無く、穏やかに夫婦の時間をもったこともない。魔法騎士団の、騎士団長を務める彼は、23年間の結婚生活のほとんどを戦地で過ごしている。22歳の息子の戦死の知らせが届く。けれど夫は元気な息子を連れて私の元に戻って来てくれた。

白い結婚三年目。つまり離縁できるまで、あと七日ですわ旦那様。

あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
異世界に転生したフランカは公爵夫人として暮らしてきたが、前世から叶えたい夢があった。パティシエールになる。その夢を叶えようと夫である王国財務総括大臣ドミニクに相談するも答えはノー。夫婦らしい交流も、信頼もない中、三年の月日が近づき──フランカは賭に出る。白い結婚三年目で離縁できる条件を満たしていると迫り、夢を叶えられないのなら離縁すると宣言。そこから公爵家一同でフランカに考え直すように動き、ドミニクと話し合いの機会を得るのだがこの夫、山のように隠し事はあった。  無言で睨む夫だが、心の中は──。 【詰んだああああああああああ! もうチェックメイトじゃないか!? 情状酌量の余地はないと!? ああ、どうにかして侍女の準備を阻まなければ! いやそれでは根本的な解決にならない! だいたいなぜ後妻? そんな者はいないのに……。ど、どどどどどうしよう。いなくなるって聞いただけで悲しい。死にたい……うう】 4万文字ぐらいの中編になります。 ※小説なろう、エブリスタに記載してます

「君の作った料理は愛情がこもってない」と言われたのでもう何も作りません

今川幸乃
恋愛
貧乏貴族の娘、エレンは幼いころから自分で家事をして育ったため、料理が得意だった。 そのため婚約者のウィルにも手づから料理を作るのだが、彼は「おいしいけど心が籠ってない」と言い、挙句妹のシエラが作った料理を「おいしい」と好んで食べている。 それでも我慢してウィルの好みの料理を作ろうとするエレンだったがある日「料理どころか君からも愛情を感じない」と言われてしまい、もう彼の気を惹こうとするのをやめることを決意する。 ウィルはそれでもシエラがいるからと気にしなかったが、やがてシエラの料理作りをもエレンが手伝っていたからこそうまくいっていたということが分かってしまう。

いくつもの、最期の願い

しゃーりん
恋愛
エステルは出産後からずっと体調を崩したままベッドで過ごしていた。 夫アイザックとは政略結婚で、仲は良くも悪くもない。 そんなアイザックが屋敷で働き始めた侍女メイディアの名を口にして微笑んだ時、エステルは閃いた。 メイディアをアイザックの後妻にしよう、と。 死期の迫ったエステルの願いにアイザックたちは応えるのか、なぜエステルが生前からそれを願ったかという理由はエステルの実妹デボラに関係があるというお話です。

お認めください、あなたは彼に選ばれなかったのです

・めぐめぐ・
恋愛
騎士である夫アルバートは、幼馴染みであり上官であるレナータにいつも呼び出され、妻であるナディアはあまり夫婦の時間がとれていなかった。 さらにレナータは、王命で結婚したナディアとアルバートを可哀想だと言い、自分と夫がどれだけ一緒にいたか、ナディアの知らない小さい頃の彼を知っているかなどを自慢げに話してくる。 しかしナディアは全く気にしていなかった。 何故なら、どれだけアルバートがレナータに呼び出されても、必ず彼はナディアの元に戻ってくるのだから―― 偽物サバサバ女が、ちょっと天然な本物のサバサバ女にやられる話。 ※頭からっぽで ※思いつきで書き始めたので、つたない設定等はご容赦ください。 ※夫婦仲は良いです ※私がイメージするサバ女子です(笑) ※第18回恋愛小説大賞で奨励賞頂きました! 応援いただいた皆さま、お読みいただいた皆さま、ありがとうございました♪

「女友達と旅行に行っただけで別れると言われた」僕が何したの?理由がわからない弟が泣きながら相談してきた。

佐藤 美奈
恋愛
「アリス姉さん助けてくれ!女友達と旅行に行っただけなのに婚約しているフローラに別れると言われたんだ!」 弟のハリーが泣きながら訪問して来た。姉のアリス王妃は突然来たハリーに驚きながら、夫の若き国王マイケルと話を聞いた。 結婚して平和な生活を送っていた新婚夫婦にハリーは涙を流して理由を話した。ハリーは侯爵家の長男で伯爵家のフローラ令嬢と婚約をしている。 それなのに婚約破棄して別れるとはどういう事なのか?詳しく話を聞いてみると、ハリーの返答に姉夫婦は呆れてしまった。 非常に頭の悪い弟が常識的な姉夫婦に相談して婚約者の彼女と話し合うが……

貴方にはもう何も期待しません〜夫は唯の同居人〜

きんのたまご
恋愛
夫に何かを期待するから裏切られた気持ちになるの。 もう期待しなければ裏切られる事も無い。

夫の妹に財産を勝手に使われているらしいので、第三王子に全財産を寄付してみた

今川幸乃
恋愛
ローザン公爵家の跡継ぎオリバーの元に嫁いだレイラは若くして父が死んだため、実家の財産をすでにある程度相続していた。 レイラとオリバーは穏やかな新婚生活を送っていたが、なぜかオリバーは妹のエミリーが欲しがるものを何でも買ってあげている。 不審に思ったレイラが調べてみると、何とオリバーはレイラの財産を勝手に売り払ってそのお金でエミリーの欲しいものを買っていた。 レイラは実家を継いだ兄に相談し、自分に敵対する者には容赦しない”冷血王子”と恐れられるクルス第三王子に全財産を寄付することにする。 それでもオリバーはレイラの財産でエミリーに物を買い与え続けたが、自分に寄付された財産を勝手に売り払われたクルスは激怒し…… ※短め