不思議森の妖精ご飯

音爽(ネソウ)

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お豆のコロッケ

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動かないイナゴにそっと触れた。
あの姫もこんな風に寂しく逝ったのだろうか?

「キミは夏の間綺麗な声で鳴いてたかい?」
お墓を作ってあげようか?悩んで佇んでいると蟻がやってきた。

「こんにちは、それを貰ってもよろしい?」
それ?イナゴのことかな。

「イナゴはボクのものじゃない、だけど埋めてあげようと思うんだ」
それを聞いた蟻は怪訝そうに頭を傾いだ。

「ご飯を埋める?なぜですか?」
「え・・・」

「妖精さん、それに用はないのなら埋めないでくださいな」
そうか彼らにとってはご飯……

妖精は複雑だったが、蟻は嬉しそうにイナゴを噛んで引いていった。
イナゴは蟻の命になるんだね。

蟻も土の中へ持ってくけど埋葬とは違うんだ。




☆★

家に着いた妖精は、新しい綿を詰め替えながら今日の出来事を思い出す。
ふわふわパンパンになった布団は気持ち良いだろう。

萎んでしまった気持ちは膨らまない。
「そうだ、ご飯をつくらなきゃ」

食べて寝て元気になるんだ。

煮豆をグニグニ潰していく、岩塩をちょっぴり混ぜてまたグニグニ。
丸めて平たくしたら粉をまぶして……

フライパンに油を多めにジュウジュウ。
どんどんきつね色になっていく、香ばしい匂いで部屋が満ちる。

妖精コロッケ出来上がり。
お皿の葉っぱがジュッっと縮んだ、木の皿にすればよかった。

「いただきます」
カリカリほくほく美味しいね、美味しいはずなのに。
元気がでない。


「こんばんは!お花をもってきたわ!」
ベッドに飾るときっと素敵よとテントウムシがブンブン飛んだ。

ボクがコロッケを食べているのをじっと見て「あらまぁ」と言った。
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