不思議森の妖精ご飯

音爽(ネソウ)

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モフモフのご近所さん

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雪がボタっとしたら冬の終わりなのだけど。

サラサラサラサラ
今日も粉雪が降り積もる、春はまだ遠い。

兎といっしょに籠る白い穴の中は快適だった。
時々家から木の実を持ってきて分けて食べた。

「鬼グルミなのに砕いちゃうなんて、キミの歯はすごいね」
真っ白なモフモフを背中で楽しみながら感心している。

「そうですね、私達の歯は硬いものを齧らないと歯が伸びすぎてしまうのです」
齧らずにいると下顎にささってしまうんですよ、と自慢の歯を見せてくれた。

砕かれ出てきた種子を丁寧にほじる、甕ストーブでチリチリ炙ると香ばしい匂いが立つ。
フォンダンにして食べたいけど今は花蜜が貴重、我慢我慢。

「焼いたクルミは初めてです、美味しい!」
兎はフスフス嬉しそうに鼻をならした。

火傷しないように焼いたモノは少し雪の壁際で冷まして兎へわたす。
カリカリコリコリ
白い穴の中で楽しく響く。

横向きに丸々と兎は昼寝をしだした、ボクはどうしようか?
一緒に寝たいけど潰されちゃうかも。



☆★


新しい帽子でも編もうか、考えていたら小さな声が聞こえた。
「あ・・あのう、こんにちは・・・」
「こんにちは、なにか御用?」

怯えるように震えた声で返事がきた。
「・・ボクはそこの木の上に棲むものです」ペコリと頭を下げた。
「ご近所さんだったんですね、ボクは妖精です」よろしくねと、頭を下げた。

木の上で籠っていたら良い香りがしてきて気になりました。と
尻尾を丸めたリスはちょっと恥ずかしそうに、これも焼いてくれませんか?と言った。

「椎の実ですね、このまま焼くと弾けるので剥いてくれますか?」
「は、はい!剥くのは得意です!」

前足でクルクル実を回し器用に殻を剥いでいく。
「とっても器用で可愛いです」ボクはニコニコ仕草を褒めた。
「そ、そんなボクは小さいだけでなんにも・・・」
冬毛でモフモフになった尻尾を揺らし照れている。

楕円の実が数粒。
チリチリ炙るとリスはウットリ眺めて待っている。
「冷めるまで待ってくださいね?」
「はい、ありがとう!」

後ろの方で丸くなっている兎がコロリと寝返った。

「わわわ!でっかい!」リスがビックリして縮こまった。
白くてわからなかったとリスは驚いていた。


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