完結 全て丸投げしたのは貴方

音爽(ネソウ)

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能無しの横暴

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その後、アデライドの尽力でやっと赤字から好転した村だった。胸を撫でおろした村長と助役は涙ぐみ彼女に感謝した。あれから三カ月、下がった収益が漸く右肩上がりになった。
「ありがとうございます、これで首が繋がりました」
「まぁ、良いのよ。これくらい貴方方も頑張ったわね、こちらこそありがとう」

報告を受けたルフィント卿も「なんとかなったか」と”ホゥ”と溜息を漏らす、影響力がほとんどない小さな村であったが、領民が少しでも苦しさを味わうのは領主として辛い所だ。


ところが、この貢献が自らのものだとシャルルは盛大に勘違いをしたのである。
「見たか!ボクが予算を大幅に変えたお陰だぞ!こうして数カ月後に数字に表れたのだ、やはり間違いなかったんだ!」
「は?貴方何を言っているの……とんでもない誤解だわ」
しかし、興奮している彼にはアデライドの声は届かない、いいや都合の悪い情報は遮断をする機能が彼の耳には備わっているようだ。

「兎に角、成果を上げたのはボクの采配のお陰と言う事さ!間違いない!」
「はぁ~……」
呆れたアデライドは訂正する気も失せて「ご勝手に」と匙を投げた。これにより気を良くしたシャルルは他の町村の管理を任せろと言ってきた。当然だがルフィント卿から勘違いをするなと叱責を食らう。


***


「どうしてだ!くそう!きっとボクの大きな成果に嫉妬しているに決まっている!」
斜め上の感想を述べるシャルルはプリプリと怒り、居室のクッションに八つ当たりする。ポンポンと投げているうちに花瓶にぶつかりガシャリと水を打ち撒ける。

すると壁に控えていたメイドが「まぁ、なんてことでしょう」と小さく悲鳴を上げて床を拭きはじめる。それを見たシャルルはイラつきながら「そんなもの放っておけ!」と怒鳴った。

「いいえ、シャルル様。私が心配したのは貴方様がお怪我されていないかと」
「なんだって?」
メイドは意外な事を言ったのでシャルルは驚いた、するとメイドはハンカチを取り出して「お怪我はありませんか?」と上目遣いで言って来た。その顔は垂れ目で大きな瞳だった、良く見れば胸は大きく、窮屈そうにお仕着せに隠されているではないか。

「き、キミの名はなんと言うんだ?……そのお礼がしたい」
「まぁ、旦那様!たかが使用人の私になんと慈悲深い……私はメリエと申しますぅ」
「メリエ、なんて愛らしいんだ!」

この時、彼の中で何もかも冷たいルフィント家の人間に悪感情を抱きはじめていた。同じく彼の成長を認めない妻であるアデライドに対して当てつけもあったのかも知れない。シャルルはこのメイドと一線を越えてしまう。







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