完結 全て丸投げしたのは貴方

音爽(ネソウ)

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シャルルとその母

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彼は期待されて大いに奮起した、つもりだった……。
何がいけなかったのかと苛立ちを隠せない、帳簿を見ても赤字の数字は変わらずそこにあった。偏った予算が悪いのだがそれを認めたくないのだ。




「ボクなりに考えたんだ、だってそうだろう?前年通りの予算案では違いがわからない!一石を投じたやり方をしたかったんだ!」
怒り任せにテーブルを叩き「痛たたたっ」と半ベソになる、そんな情けない姿を見ていた彼の母であるオレール夫人は「可哀そうなシャルちゃん」とこれまた半ベソになって「アデライドは一体なにをしているの」と憤慨した。ここはオレール子爵邸である。

「妻たるもの夫を立てて然るべきなのよ!赤字になったのならば自分が被りなさいよ!もしくわ庇うべきなのだわ」
「うんうん、そうだよね。グスン……お母様、だったらルフィント卿にも言ってよぉ。ボクは何も悪くないとね」
「え、そ、そうねぇ。そのうちに……」
ルフィント卿の名を出されて尻窄みになったオレール夫人はダラダラと脂汗を掻いた。相手は上位貴族である、たった一つ爵位が上だとしても雲泥の差なのだ。
キャンキャンと威勢が良いのは自分の屋敷に籠っているせいである。



しかし、相手アデライドを自分のテリトリーに呼び出せば別である。
お茶会名目で嫁を呼び出せばネチネチと御小言や嫌味を浴びせるのだ、だが、アデライドは大人しく『はいそうですね』と聞く玉ではない。

「お言葉ですが予算を大きく捻じ曲げ、赤字を出したのは間違いなく御子息の不手際です。次はないと思えと父からの御達しです」
「な!?……次はないとはどういう……」
ゴマを擦りやっとの想いで伯爵家と縁を結んだオレール子爵夫人は顔色を悪くする、支援を受けている身としては大変拙い。

「おわかり、オレール夫人?私は子息の尻拭いで忙しいのです。今日は失礼しますわ」
「くっ!この……小娘が……ゴホン、そんなことより孫はどうしたの?早く顔がみたいものだわ」
話をすり替えてニヤニヤとしてくる夫人である、”孫の顔”と言えば手綱が引けるとでも思ったのだろうか。

「は?孫?また一か月も経っていないのにですか?尚早も良い所です、もっとご自分の足元を見て物を言いなさいな」
「んな!?なんですその口の利き方は!ちょ、ちょっとお待ちなさいったら!」







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