2 / 14
シャルルとその母
しおりを挟む
彼は期待されて大いに奮起した、つもりだった……。
何がいけなかったのかと苛立ちを隠せない、帳簿を見ても赤字の数字は変わらずそこにあった。偏った予算が悪いのだがそれを認めたくないのだ。
「ボクなりに考えたんだ、だってそうだろう?前年通りの予算案では違いがわからない!一石を投じたやり方をしたかったんだ!」
怒り任せにテーブルを叩き「痛たたたっ」と半ベソになる、そんな情けない姿を見ていた彼の母であるオレール夫人は「可哀そうなシャルちゃん」とこれまた半ベソになって「アデライドは一体なにをしているの」と憤慨した。ここはオレール子爵邸である。
「妻たるもの夫を立てて然るべきなのよ!赤字になったのならば自分が被りなさいよ!もしくわ庇うべきなのだわ」
「うんうん、そうだよね。グスン……お母様、だったらルフィント卿にも言ってよぉ。ボクは何も悪くないとね」
「え、そ、そうねぇ。そのうちに……」
ルフィント卿の名を出されて尻窄みになったオレール夫人はダラダラと脂汗を掻いた。相手は上位貴族である、たった一つ爵位が上だとしても雲泥の差なのだ。
キャンキャンと威勢が良いのは自分の屋敷に籠っているせいである。
しかし、相手を自分のテリトリーに呼び出せば別である。
お茶会名目で嫁を呼び出せばネチネチと御小言や嫌味を浴びせるのだ、だが、アデライドは大人しく『はいそうですね』と聞く玉ではない。
「お言葉ですが予算を大きく捻じ曲げ、赤字を出したのは間違いなく御子息の不手際です。次はないと思えと父からの御達しです」
「な!?……次はないとはどういう……」
ゴマを擦りやっとの想いで伯爵家と縁を結んだオレール子爵夫人は顔色を悪くする、支援を受けている身としては大変拙い。
「おわかり、オレール夫人?私は子息の尻拭いで忙しいのです。今日は失礼しますわ」
「くっ!この……小娘が……ゴホン、そんなことより孫はどうしたの?早く顔がみたいものだわ」
話をすり替えてニヤニヤとしてくる夫人である、”孫の顔”と言えば手綱が引けるとでも思ったのだろうか。
「は?孫?また一か月も経っていないのにですか?尚早も良い所です、もっとご自分の足元を見て物を言いなさいな」
「んな!?なんですその口の利き方は!ちょ、ちょっとお待ちなさいったら!」
何がいけなかったのかと苛立ちを隠せない、帳簿を見ても赤字の数字は変わらずそこにあった。偏った予算が悪いのだがそれを認めたくないのだ。
「ボクなりに考えたんだ、だってそうだろう?前年通りの予算案では違いがわからない!一石を投じたやり方をしたかったんだ!」
怒り任せにテーブルを叩き「痛たたたっ」と半ベソになる、そんな情けない姿を見ていた彼の母であるオレール夫人は「可哀そうなシャルちゃん」とこれまた半ベソになって「アデライドは一体なにをしているの」と憤慨した。ここはオレール子爵邸である。
「妻たるもの夫を立てて然るべきなのよ!赤字になったのならば自分が被りなさいよ!もしくわ庇うべきなのだわ」
「うんうん、そうだよね。グスン……お母様、だったらルフィント卿にも言ってよぉ。ボクは何も悪くないとね」
「え、そ、そうねぇ。そのうちに……」
ルフィント卿の名を出されて尻窄みになったオレール夫人はダラダラと脂汗を掻いた。相手は上位貴族である、たった一つ爵位が上だとしても雲泥の差なのだ。
キャンキャンと威勢が良いのは自分の屋敷に籠っているせいである。
しかし、相手を自分のテリトリーに呼び出せば別である。
お茶会名目で嫁を呼び出せばネチネチと御小言や嫌味を浴びせるのだ、だが、アデライドは大人しく『はいそうですね』と聞く玉ではない。
「お言葉ですが予算を大きく捻じ曲げ、赤字を出したのは間違いなく御子息の不手際です。次はないと思えと父からの御達しです」
「な!?……次はないとはどういう……」
ゴマを擦りやっとの想いで伯爵家と縁を結んだオレール子爵夫人は顔色を悪くする、支援を受けている身としては大変拙い。
「おわかり、オレール夫人?私は子息の尻拭いで忙しいのです。今日は失礼しますわ」
「くっ!この……小娘が……ゴホン、そんなことより孫はどうしたの?早く顔がみたいものだわ」
話をすり替えてニヤニヤとしてくる夫人である、”孫の顔”と言えば手綱が引けるとでも思ったのだろうか。
「は?孫?また一か月も経っていないのにですか?尚早も良い所です、もっとご自分の足元を見て物を言いなさいな」
「んな!?なんですその口の利き方は!ちょ、ちょっとお待ちなさいったら!」
131
あなたにおすすめの小説
ローザとフラン ~奪われた側と奪った側~
水無月あん
恋愛
私は伯爵家の娘ローザ。同じ年の侯爵家のダリル様と婚約している。が、ある日、私とはまるで性格が違う従姉妹のフランを預かることになった。距離が近づく二人に心が痛む……。
婚約者を奪われた側と奪った側の二人の少女のお話です。
5話で完結の短いお話です。
いつもながら、ゆるい設定のご都合主義です。
お暇な時にでも、お気軽に読んでいただければ幸いです。よろしくお願いします。
家族の肖像~父親だからって、家族になれるわけではないの!
みっちぇる。
ファンタジー
クランベール男爵家の令嬢リコリスは、実家の経営手腕を欲した国の思惑により、名門ながら困窮するベルデ伯爵家の跡取りキールと政略結婚をする。しかし、キールは外面こそ良いものの、実家が男爵家の支援を受けていることを「恥」と断じ、リコリスを軽んじて愛人と遊び歩く不実な男だった 。
リコリスが命がけで双子のユフィーナとジストを出産した際も、キールは朝帰りをする始末。絶望的な夫婦関係の中で、リコリスは「天使」のように愛らしい我が子たちこそが自分の真の家族であると決意し、育児に没頭する 。
子どもたちが生後六か月を迎え、健やかな成長を祈る「祈健会」が開かれることになった。リコリスは、キールから「男爵家との結婚を恥じている」と聞かされていた義両親の来訪に胃を痛めるが、実際に会ったベルデ伯爵夫妻は―?
恩知らずの婚約破棄とその顛末
みっちぇる。
恋愛
シェリスは婚約者であったジェスに婚約解消を告げられる。
それも、婚約披露宴の前日に。
さらに婚約披露宴はパートナーを変えてそのまま開催予定だという!
家族の支えもあり、婚約披露宴に招待客として参加するシェリスだが……
好奇にさらされる彼女を助けた人は。
前後編+おまけ、執筆済みです。
【続編開始しました】
執筆しながらの更新ですので、のんびりお待ちいただけると嬉しいです。
矛盾が出たら修正するので、その時はお知らせいたします。
自業自得の召喚代償
みっちぇる。
ファンタジー
魔王に対抗するために召喚した?
そんなの私達には関係ないじゃない!
―ー関係ない人に全て押し付けて自分たちは高みの見物?
そんなのは許しません!
それ相応の犠牲ははらってもらいます。
……シリアスを目指しましたがなりそこねました。
この話に恋愛要素はありませんが、今後追加するおまけに恋愛要素を入れる予定なので恋愛カテゴリーに変更しています。
王太子の愚行
よーこ
恋愛
学園に入学してきたばかりの男爵令嬢がいる。
彼女は何人もの高位貴族子息たちを誑かし、手玉にとっているという。
婚約者を男爵令嬢に奪われた伯爵令嬢から相談を受けた公爵令嬢アリアンヌは、このまま放ってはおけないと自分の婚約者である王太子に男爵令嬢のことを相談することにした。
さて、男爵令嬢をどうするか。
王太子の判断は?
ある愚かな婚約破棄の結末
オレンジ方解石
恋愛
セドリック王子から婚約破棄を宣言されたアデライド。
王子の愚かさに頭を抱えるが、周囲は一斉に「アデライドが悪い」と王子の味方をして…………。
※一応ジャンルを『恋愛』に設定してありますが、甘さ控えめです。
失踪していた姉が財産目当てで戻ってきました。それなら私は家を出ます
天宮有
恋愛
水を聖水に変える魔法道具を、お父様は人々の為に作ろうとしていた。
それには水魔法に長けた私達姉妹の協力が必要なのに、無理だと考えた姉エイダは失踪してしまう。
私サフィラはお父様の夢が叶って欲しいと力になって、魔法道具は完成した。
それから数年後――お父様は亡くなり、私がウォルク家の領主に決まる。
家の繁栄を知ったエイダが婚約者を連れて戻り、家を乗っ取ろうとしていた。
お父様はこうなることを予想し、生前に手続きを済ませている。
私は全てを持ち出すことができて、家を出ることにしていた。
なぜ、私に関係あるのかしら?
シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」
彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。
そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。
「…レオンハルト・トレヴァントだ」
非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。
そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。
「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」
この判断によって、どうなるかなども考えずに…
※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。
※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、
※ 画像はAIにて作成しております
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる