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地下牢2
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上から降って来る奇妙な声を聴きながらボクは歩を進めた。
ボコボコに拷も、ゲフン!……オモテナシを受けてなぜ喜声を上げていられるのか?
「ド変態か、それともマホガニーが何か特殊な責めを開発したのか」
詰問しても『坊ちゃんには早いです』そう言って取り合わないだろうな。
別にいいけど……大人ってずるい。
地下2階は更にジメりとした場所、クズ親子が放り込まれた牢に着いた。
空調を施せるけどクズ如きに力を使うのも面倒だ。
コツコツと響く足音にそいつ等はビクビクしてたけど、ボクの姿を見るや態度を変えた。
弾けるように飛び起きたアントンが、鉄格子の外に立つボクへ足早にやってくる。
隙間から腕を伸ばし掴みかかろうとしたが空を切るだけ。
「なんだ、元気じゃないか。ここの生活は合ってるようで安心したよ」
「き、貴様ァ!親になんて仕打ちと言い草か!ここから出せ!躾直してくれる!」
躾ねぇ。
「ボクとお前は赤の他人だ、それは己が良く知っているはずだが。それとも耄碌したのか?」
嘲笑って煽ればドリアード族との婚姻の経緯をベラベラ喋った。
「畜生!こうなると知っていればお前の母、化物なんかと結婚などするか!国から褒章と王宮職を貰えるから我慢してやったのだ!化物の父親になってやったのだぞ、恩を仇で返しやがって!」
ドリアード族を化物と謗る男……。
「うぎゃぁあ!」
気が付けば牢の奥でヘレが呻き声を上げて血溜まりに倒れていた。
「へ、ヘレ!?どうした……あぁこんなに血が、手足から血が止まらない!」
ボクは無意識に攻撃していた。
反省?するわけないじゃん。
「あぁゴメン、ついウッカリ……ボクらを愚弄するバカのせいで怒りが爆発してさ。済まないねぇまだ未熟だから制御できないんだ。」
血濡れのツタをズルリと蠢かせ、今度はビビを標的にする。
「や、やめろ!やめてくれぇ!」
クズが娘を庇うように抱きしめ哀願する、傍らに倒れる妻を気遣い何度も名を呼ぶ。
なんでだよ。ボクには優しい言葉ひとつくれなかったくせに!
そうか、これがほんとうの家族の愛なのか……。
たしかに母はボクに無償の愛をくれた、だけど――。
ボクの頬は生温いもので濡れていた、両目から滂沱に流れるそれに腹が立つ。
乱暴にそれを拭い取引を持ち掛ける。
「ここに上回復薬がある、捥げた手足すら生える上等な品だ。ナザルリーフの商人の事を全部吐け、そしてお前達の謀を王の前で証言しろ」
小瓶を懐から出してチラつかせる、アントンがボクを射殺すように睨んだ。
ヘレの傷は見た目大袈裟なだけで裂傷は浅い、十分脅す効果を発揮していた。
襲った後に薬を少し掛けたので死にはしないさ、流血が酷いのでしばらく動けないけど。
クズでも殺すのはためらう、マホガニーに怒られるな。
「早くしろ、別にお前らに情など微塵もないぞ。飯の世話を絶って飢えて死ぬも良し、好きにしろ」
ボクの本気が分かったのか擦れた声で「助けてください、俺は死んでもいいから」そうアントンが答えた。
震えながら妻子を抱きしめる必死な姿に父親の矜持を見た。
あぁボクの負けだね。
ボコボコに拷も、ゲフン!……オモテナシを受けてなぜ喜声を上げていられるのか?
「ド変態か、それともマホガニーが何か特殊な責めを開発したのか」
詰問しても『坊ちゃんには早いです』そう言って取り合わないだろうな。
別にいいけど……大人ってずるい。
地下2階は更にジメりとした場所、クズ親子が放り込まれた牢に着いた。
空調を施せるけどクズ如きに力を使うのも面倒だ。
コツコツと響く足音にそいつ等はビクビクしてたけど、ボクの姿を見るや態度を変えた。
弾けるように飛び起きたアントンが、鉄格子の外に立つボクへ足早にやってくる。
隙間から腕を伸ばし掴みかかろうとしたが空を切るだけ。
「なんだ、元気じゃないか。ここの生活は合ってるようで安心したよ」
「き、貴様ァ!親になんて仕打ちと言い草か!ここから出せ!躾直してくれる!」
躾ねぇ。
「ボクとお前は赤の他人だ、それは己が良く知っているはずだが。それとも耄碌したのか?」
嘲笑って煽ればドリアード族との婚姻の経緯をベラベラ喋った。
「畜生!こうなると知っていればお前の母、化物なんかと結婚などするか!国から褒章と王宮職を貰えるから我慢してやったのだ!化物の父親になってやったのだぞ、恩を仇で返しやがって!」
ドリアード族を化物と謗る男……。
「うぎゃぁあ!」
気が付けば牢の奥でヘレが呻き声を上げて血溜まりに倒れていた。
「へ、ヘレ!?どうした……あぁこんなに血が、手足から血が止まらない!」
ボクは無意識に攻撃していた。
反省?するわけないじゃん。
「あぁゴメン、ついウッカリ……ボクらを愚弄するバカのせいで怒りが爆発してさ。済まないねぇまだ未熟だから制御できないんだ。」
血濡れのツタをズルリと蠢かせ、今度はビビを標的にする。
「や、やめろ!やめてくれぇ!」
クズが娘を庇うように抱きしめ哀願する、傍らに倒れる妻を気遣い何度も名を呼ぶ。
なんでだよ。ボクには優しい言葉ひとつくれなかったくせに!
そうか、これがほんとうの家族の愛なのか……。
たしかに母はボクに無償の愛をくれた、だけど――。
ボクの頬は生温いもので濡れていた、両目から滂沱に流れるそれに腹が立つ。
乱暴にそれを拭い取引を持ち掛ける。
「ここに上回復薬がある、捥げた手足すら生える上等な品だ。ナザルリーフの商人の事を全部吐け、そしてお前達の謀を王の前で証言しろ」
小瓶を懐から出してチラつかせる、アントンがボクを射殺すように睨んだ。
ヘレの傷は見た目大袈裟なだけで裂傷は浅い、十分脅す効果を発揮していた。
襲った後に薬を少し掛けたので死にはしないさ、流血が酷いのでしばらく動けないけど。
クズでも殺すのはためらう、マホガニーに怒られるな。
「早くしろ、別にお前らに情など微塵もないぞ。飯の世話を絶って飢えて死ぬも良し、好きにしろ」
ボクの本気が分かったのか擦れた声で「助けてください、俺は死んでもいいから」そうアントンが答えた。
震えながら妻子を抱きしめる必死な姿に父親の矜持を見た。
あぁボクの負けだね。
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