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ある日、頬にあたる冷たい感触にジーンは目を開ける。
久しぶりに見る夢の中はやはり薄ボンヤリとして視界がはっきりしない。
踊り場の先の階段は白く浮かび、鈍く光っていたが崩れていて登れそうもなかった。
背後から悪魔の声がした。
「やぁ、久しぶり楽しんでいるみたいだな」
「……復讐が楽しいわけないでしょ、一時的な黒い爽快感の後は苦い気持ちでいっぱいよ」
顔を手で覆ってジーンは蹲った、醜い己を見るなと言うように。
「そうか、気持ちは晴れないままなのか」
悪魔はそう言うと、伏せたジーンの顔を少し強引に上向きにさせた。
ジーンは彼の顔をキッと睨む、触れそうなほどの距離にあるその顔は柔らかい笑みを浮かべていた。
「なによ、憎らしいほど綺麗な顔なのね。悪魔はそうやって人を誘惑するの?」
「はは、そうだな~。そうかもしれない、だけど魅入られてしまったのは俺のほうだ。お前の魂は類を見ないほど輝いて美しいんだ」
悪魔が言うことが解せなくて、ジーンは顔を顰めた。
「復讐に燃えてる私の魂が綺麗なわけがないでしょ、毎日、彼らに嫌がらせを返しているのよ……」
「それだよ、その部分の違い。悪行をする度にお前はいつも己の行動を悔いている、罪に苛まれているだろ」
「そんなこと……」
反論しようとしたジーンの唇を、悪魔は冷たい指先で止めた。
「力は貸すけれど、俺は行動に干渉しない。好きなように振る舞いなよ。」
ジーンは目を閉じてその言葉に応じた。
「さて、お喋りは御終いだ。今回は脾臓を貰おうか、対価は魔力の増加だ」
悪魔は細長い指先を、ジーンのそこを指差した。
「えぇ、どうぞ。ところで後何個を奪われるの?」
「……あと二つ」
悪魔は不思議な力で彼女から臓器を引き抜いた、掌の乗るそれは思ったより小さい。
「ねぇ、大切な臓器を奪われてるのに私はどうして普通に生活できるの?」
「……今更な質問だな。確かにお前から奪っているけど、消滅したわけじゃないから。俺が大切に保管してる限りちゃんと機能してるぞ、安心しろ」
なにが安心かとジーンは言いかけたが、そこでプツリと夢が消滅した。
「……なんだ、目が覚めてしまったのね」
起き抜けに奪われた箇所を撫でたが、やはり違和感はなかった。
久しぶりに見る夢の中はやはり薄ボンヤリとして視界がはっきりしない。
踊り場の先の階段は白く浮かび、鈍く光っていたが崩れていて登れそうもなかった。
背後から悪魔の声がした。
「やぁ、久しぶり楽しんでいるみたいだな」
「……復讐が楽しいわけないでしょ、一時的な黒い爽快感の後は苦い気持ちでいっぱいよ」
顔を手で覆ってジーンは蹲った、醜い己を見るなと言うように。
「そうか、気持ちは晴れないままなのか」
悪魔はそう言うと、伏せたジーンの顔を少し強引に上向きにさせた。
ジーンは彼の顔をキッと睨む、触れそうなほどの距離にあるその顔は柔らかい笑みを浮かべていた。
「なによ、憎らしいほど綺麗な顔なのね。悪魔はそうやって人を誘惑するの?」
「はは、そうだな~。そうかもしれない、だけど魅入られてしまったのは俺のほうだ。お前の魂は類を見ないほど輝いて美しいんだ」
悪魔が言うことが解せなくて、ジーンは顔を顰めた。
「復讐に燃えてる私の魂が綺麗なわけがないでしょ、毎日、彼らに嫌がらせを返しているのよ……」
「それだよ、その部分の違い。悪行をする度にお前はいつも己の行動を悔いている、罪に苛まれているだろ」
「そんなこと……」
反論しようとしたジーンの唇を、悪魔は冷たい指先で止めた。
「力は貸すけれど、俺は行動に干渉しない。好きなように振る舞いなよ。」
ジーンは目を閉じてその言葉に応じた。
「さて、お喋りは御終いだ。今回は脾臓を貰おうか、対価は魔力の増加だ」
悪魔は細長い指先を、ジーンのそこを指差した。
「えぇ、どうぞ。ところで後何個を奪われるの?」
「……あと二つ」
悪魔は不思議な力で彼女から臓器を引き抜いた、掌の乗るそれは思ったより小さい。
「ねぇ、大切な臓器を奪われてるのに私はどうして普通に生活できるの?」
「……今更な質問だな。確かにお前から奪っているけど、消滅したわけじゃないから。俺が大切に保管してる限りちゃんと機能してるぞ、安心しろ」
なにが安心かとジーンは言いかけたが、そこでプツリと夢が消滅した。
「……なんだ、目が覚めてしまったのね」
起き抜けに奪われた箇所を撫でたが、やはり違和感はなかった。
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