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王女リリアと西の魔王
ドワーフの集落・2
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「お前らが? 魔王を倒しに?」
ドワーフのおじさんはつぶやいた。
「そうよ」
「はは、冗談はよしてくれ」
そう言われるとむっとなってしまう。
「なによ、こう見えたって、私たち強いのよ。……一人を除いてはだけど」
「ガキどもとコボルドが西の魔王を倒せるもんかい」
「むむむ」
こうなると、なめられたままでいるのも腹が立つ。
私は、近くにある、高さ三メートルばかりの大岩を見て、
「ねえ、おじさん、これ見てよ」
と言った。
「その岩がどうかしたかね」
私は無言で剣を抜いて、その岩を斬った。
岩は真っ二つになり、左右に分かれて倒れる。
「どう?」
私がドワーフのおじさんに言うと、おじさんは、
「……うん」
と、うなずいた。
「なるほど、見た目で舐めたのは悪かった。わしらドワーフも、見た目で軽く扱われることは多いってのにな」
ドワーフのおじさんはそう言うと立ち上がり、
「王都は軍隊の代わりに、あんたたちを西の魔王討伐につかわしたってところかな?」
「……ま、そんなもんだと思ってもらえば」
「集落まで案内しよう。来なさい」
ドワーフのおじさんは歩き出した。
私たちもついて歩く。
しばらく、くねくねとした細い山道を歩いて、洞窟に入った。
洞窟の中を奥に入っていくと、やがて、たくさんのドワーフが住まう集落に着いた。
洞窟の中に無数の小さな家が建てられていて、その中をドワーフが出入りしている。
その中の一人が、私たちに気づき、私たちの先頭を歩いているドワーフのおじさんに、
「よう、ビラ。その連中はどうしたんだい」
と、声をかけた。
どうやら、おじさんの名前はビラというらしい。
「王都からの救援軍だ」
「……その三人がかね?」
「腕はさっき見た、頼りにはなる」
「ほえー」
なんて会話をしてるので、私たちは、
「よろしく」
「どーもですだ」
「こんにちは」
と、あいさつをした。
ビラに連れられて集落の中を歩いた。
お酒を飲んで盛り上がってる奴らもいて、ことさらに雰囲気が暗いってわけじゃないけど、それでも、あちこちにけが人がいるのが見えた。
「けっこう、やられてるわね」
私が言うと、
「ここ最近、西の魔王の軍勢が攻めてくるようになった」
ビラが言った。
「なにか理由があるんですか?」
ホルスが聞くと、
「わしらが持ってる鉱石を奪いに来るんだ。昔から、ちょろまかすことは多かったが、おおっぴらに持って行くようになったのは最近だ」
「力の腕輪のことといい、なんか企んどるんだべかね」
そう言ったのはジョージだ。
「力の腕輪? そいつはたしかポッツンケップの宝だな」
ビラが言った。
「うん、西の魔王に盗まれちゃったの、それでパパったら寝込んじゃって」
「パパ?」
「うん、私のパパのポッツンケップの王様がさ……」
そこまで言って、私はハッとした。
もう、せっかく今回はジョージが言ってなかったのに、結局、自分で王女なことを言っちゃったじゃない。
「あんた、姫様なのかい」
「……そうよ」
「姫様自ら来るとは、あの城もたしかに大変なようだ」
「まあ、ね。みんな怪我しちゃってさ」
「とはいえ、あんたが姫様でもなんでも、腕が確かなのは見せてもらったからそれでいいさ……さあ、長老に会ってくれ」
私たちは、集落の一番奥にある、立派な小屋の前に着いていた。
ドワーフのおじさんはつぶやいた。
「そうよ」
「はは、冗談はよしてくれ」
そう言われるとむっとなってしまう。
「なによ、こう見えたって、私たち強いのよ。……一人を除いてはだけど」
「ガキどもとコボルドが西の魔王を倒せるもんかい」
「むむむ」
こうなると、なめられたままでいるのも腹が立つ。
私は、近くにある、高さ三メートルばかりの大岩を見て、
「ねえ、おじさん、これ見てよ」
と言った。
「その岩がどうかしたかね」
私は無言で剣を抜いて、その岩を斬った。
岩は真っ二つになり、左右に分かれて倒れる。
「どう?」
私がドワーフのおじさんに言うと、おじさんは、
「……うん」
と、うなずいた。
「なるほど、見た目で舐めたのは悪かった。わしらドワーフも、見た目で軽く扱われることは多いってのにな」
ドワーフのおじさんはそう言うと立ち上がり、
「王都は軍隊の代わりに、あんたたちを西の魔王討伐につかわしたってところかな?」
「……ま、そんなもんだと思ってもらえば」
「集落まで案内しよう。来なさい」
ドワーフのおじさんは歩き出した。
私たちもついて歩く。
しばらく、くねくねとした細い山道を歩いて、洞窟に入った。
洞窟の中を奥に入っていくと、やがて、たくさんのドワーフが住まう集落に着いた。
洞窟の中に無数の小さな家が建てられていて、その中をドワーフが出入りしている。
その中の一人が、私たちに気づき、私たちの先頭を歩いているドワーフのおじさんに、
「よう、ビラ。その連中はどうしたんだい」
と、声をかけた。
どうやら、おじさんの名前はビラというらしい。
「王都からの救援軍だ」
「……その三人がかね?」
「腕はさっき見た、頼りにはなる」
「ほえー」
なんて会話をしてるので、私たちは、
「よろしく」
「どーもですだ」
「こんにちは」
と、あいさつをした。
ビラに連れられて集落の中を歩いた。
お酒を飲んで盛り上がってる奴らもいて、ことさらに雰囲気が暗いってわけじゃないけど、それでも、あちこちにけが人がいるのが見えた。
「けっこう、やられてるわね」
私が言うと、
「ここ最近、西の魔王の軍勢が攻めてくるようになった」
ビラが言った。
「なにか理由があるんですか?」
ホルスが聞くと、
「わしらが持ってる鉱石を奪いに来るんだ。昔から、ちょろまかすことは多かったが、おおっぴらに持って行くようになったのは最近だ」
「力の腕輪のことといい、なんか企んどるんだべかね」
そう言ったのはジョージだ。
「力の腕輪? そいつはたしかポッツンケップの宝だな」
ビラが言った。
「うん、西の魔王に盗まれちゃったの、それでパパったら寝込んじゃって」
「パパ?」
「うん、私のパパのポッツンケップの王様がさ……」
そこまで言って、私はハッとした。
もう、せっかく今回はジョージが言ってなかったのに、結局、自分で王女なことを言っちゃったじゃない。
「あんた、姫様なのかい」
「……そうよ」
「姫様自ら来るとは、あの城もたしかに大変なようだ」
「まあ、ね。みんな怪我しちゃってさ」
「とはいえ、あんたが姫様でもなんでも、腕が確かなのは見せてもらったからそれでいいさ……さあ、長老に会ってくれ」
私たちは、集落の一番奥にある、立派な小屋の前に着いていた。
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