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王女リリアと西の魔王
チャラティス湖・2
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ジョージが漕ぐ船は、スムーズに湖の上を進む。
「あんた、上手いもんねえ」
「オラは戦い以外のなんだって得意だべな。姫さんも見習え」
「分かった分かった」
私は苦笑した。
たしかに、剣術以外の色んなことに慣れておくのは、悪いことじゃないけどね。
それにしても湖に来てから、なんだかジョージはハイテンションだ。
なんせ、
「しかし、まあ、できればホルスくんに漕がせたい気もするべ」
なんてことまで、ジョージは言い出したんだから。
「え、疲れたなら代わりますよ」
ホルスに言われて、ジョージは首を振る。
「いやいや、そうでなくて、君が漕いだ方が、姫さんとのデートって感じがするんでねえかと思ってよ」
「えっと……」
ホルスは顔を赤らめて、顔を伏せてしまう。
乗る時にあんなことがあった後にこんなふうにからかわれたんじゃ、無理もない。
「ちょっと、ジョージ。あんま余計なことばっか言ってると、湖に落としちゃうわよ」
「へっへ、悪い悪い」
まったく……と、思いながら、さっきのことを思い出す。
もちろん不可抗力だけど、すっ転んだホルスに、押し倒されたみたいな格好になったのは事実だ。
思い出すと、なんか、変な気分になってくる。
おかしいなあ。
そりゃまあ、これまでのぶんだけで考えたって、ホルスはいい奴だとは思うけど。
まだ、会ってから大して経ってない相手に、変なこと考えるなんておかしいよ。
私は、なんだかホルスの顔を見にくくなって、顔を湖の向こうにそらしてしまった。
ホルスも気まずさは同じだったようで、話を変えようとしたのか、こんなことを言い出した。
「と、ところで、思ったんですけど」
「な、なにかしら」
私はホルスの方を向き直りながら、ぎこちなく答えた。
「もし、渡し守のみなさんが商売をやめたんだとしたら、それって本当に、西の魔王のせいでしょうか?」
「……どういうこと?」
「その、西の魔王やその軍勢がこの上を通って、しかも、襲っても大して意味もない渡し船を襲うなんて、そこまで高確率で起こるわけじゃないと思うんです……」
「たしかに、それだけで商売をやめる理由にはならないかもね」
私もうなずく。
たしかに、さっき聞いた話は、渡し船がなくなる理由としては弱い気はした。
「なんだか話がおっかなくなってきただやな」
と、ここんところ調子に乗っていたジョージが、元の臆病な顔を出し始める。
「つまりさ、ホルス、あんたが言いたいのは……」
私もなんとなく話が見えてきたので、先を促した。
「ええ。渡し守がいなくなったのは、別の理由があるんじゃないかって……」
ホルスがそこまで言った時である。
私たちの近くの水面に、ざばあという音と共に、姿を現すものがあった。
「あんた、上手いもんねえ」
「オラは戦い以外のなんだって得意だべな。姫さんも見習え」
「分かった分かった」
私は苦笑した。
たしかに、剣術以外の色んなことに慣れておくのは、悪いことじゃないけどね。
それにしても湖に来てから、なんだかジョージはハイテンションだ。
なんせ、
「しかし、まあ、できればホルスくんに漕がせたい気もするべ」
なんてことまで、ジョージは言い出したんだから。
「え、疲れたなら代わりますよ」
ホルスに言われて、ジョージは首を振る。
「いやいや、そうでなくて、君が漕いだ方が、姫さんとのデートって感じがするんでねえかと思ってよ」
「えっと……」
ホルスは顔を赤らめて、顔を伏せてしまう。
乗る時にあんなことがあった後にこんなふうにからかわれたんじゃ、無理もない。
「ちょっと、ジョージ。あんま余計なことばっか言ってると、湖に落としちゃうわよ」
「へっへ、悪い悪い」
まったく……と、思いながら、さっきのことを思い出す。
もちろん不可抗力だけど、すっ転んだホルスに、押し倒されたみたいな格好になったのは事実だ。
思い出すと、なんか、変な気分になってくる。
おかしいなあ。
そりゃまあ、これまでのぶんだけで考えたって、ホルスはいい奴だとは思うけど。
まだ、会ってから大して経ってない相手に、変なこと考えるなんておかしいよ。
私は、なんだかホルスの顔を見にくくなって、顔を湖の向こうにそらしてしまった。
ホルスも気まずさは同じだったようで、話を変えようとしたのか、こんなことを言い出した。
「と、ところで、思ったんですけど」
「な、なにかしら」
私はホルスの方を向き直りながら、ぎこちなく答えた。
「もし、渡し守のみなさんが商売をやめたんだとしたら、それって本当に、西の魔王のせいでしょうか?」
「……どういうこと?」
「その、西の魔王やその軍勢がこの上を通って、しかも、襲っても大して意味もない渡し船を襲うなんて、そこまで高確率で起こるわけじゃないと思うんです……」
「たしかに、それだけで商売をやめる理由にはならないかもね」
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たしかに、さっき聞いた話は、渡し船がなくなる理由としては弱い気はした。
「なんだか話がおっかなくなってきただやな」
と、ここんところ調子に乗っていたジョージが、元の臆病な顔を出し始める。
「つまりさ、ホルス、あんたが言いたいのは……」
私もなんとなく話が見えてきたので、先を促した。
「ええ。渡し守がいなくなったのは、別の理由があるんじゃないかって……」
ホルスがそこまで言った時である。
私たちの近くの水面に、ざばあという音と共に、姿を現すものがあった。
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