婚約破棄された悪役令息は従者に溺愛される

田中

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第一話

「ふふ、ふはは、ふははははは!!」

 俺、リアン・ヒスコックは部屋に響き渡るぐらいの声で高笑いした。

 今日はいい日だ(正確には昨日だけど)。
 祝日にしたいくらい! 俺と第二王子の婚約破棄記念日として!!

「リアン様、うるさいですよ」
「テオはこんないい日に笑わずにいられるの?」

 従者のテオが呆れたように声を掛けてくる。
 
「それにしても笑いすぎです。しかし、ほぼリアン様が言っていた通りになったので驚きましたが」
「だから言ったじゃん! アルフレッド王子はジョンと恋に落ちるって」
「恋に落ちるというか、リアン様の気を引きたかったというか……」
「え? なに? テオの声ちっちゃくて聞こえない」
「大した話ではないです」
「ならいいけど。テオ、お茶にしよう!」
「かしこまりました」

 はあー、一件落着! 良かった良かった!
 王都で住んでいた屋敷よりもこぢんまりとした領地の屋敷で、これから俺はニートとしてだらだらと生きていく!



 俺は所謂転生者というやつで、五歳のときに婚約者である第二王子のアルフレッド様に会ったときに前世の記憶をふんわりと思い出し、気付いてしまった。

 ここはたぶんBLゲーム「薔薇の蕾が咲く頃に」の世界だと!

 前世でこのゲームをプレイしたことがあるが、なぜかは覚えてない。
 俺、腐男子だったのかな? 

 このゲームはたしか、主人公である平民のジョンがスミス子爵の隠し子だったと突然判明する。

 ジョンはスミス子爵の子供として王立学園に通い、様々な攻略キャラクターと出会う。
 しかし、どの攻略対象を選んでもなぜかアルフレッド王子の婚約者であるリアン・ヒスコックに嫌がらせを受けるジョン。

 いやなんで? 全く関係のない教師ルートとかでもリアンから嫌がらせを受ける。キャラを考えるのがめんどくさかったのかな?!

 アルフレッド王子とジョンはどのルートでも友人になるので、アルフレッド王子はジョンを助けるためにリアンを卒業パーティーで断罪、婚約解消をしハッピーエンド。


 そう、俺はその悪役令息であるリアン・ヒスコックに転生したのだ!

 この世界では同性婚は認められており、王族は継承者である王子以外は同性婚で子供を作らないことが推奨されている。
 
 まだ五歳だった俺は現実を受け止めきれず、泣いて当時八歳であるテオに泣きついた。

「テオ、やだ、アルフレッドさまとけっこんしたくない~!!」
「リアン様、泣き止んで下さい」
「うう、でもアルフレッドさまは俺をすてるんだよ?」
「? どういうことですか?」

 俺はその時ぺらぺらと前世の話をした。
 第二王子は王立学園でジョンという子と仲良くなること。俺はその子をいじめて婚約破棄されること。
 ジョンがどのルートに行こうが俺は嫌がらせをするし、婚約破棄されるのだ。


 しかしテオに話しているとき俺は気付いてしまった。

 あれ? これ断罪された方が良くない??

 リアンの嫌がらせは些細なものであり、子爵家のジョンのために公爵家であるリアンを大々的に処罰出来ない。

 卒業パーティー後、リアンは王都を離れヒスコック家の領地でひっそりと療養することはゲームで軽く触れられていた。

 リアンには兄様がいて、ヒスコック家は兄様が継ぐし、考えれば考えるほど断罪されて領地でスローライフをおくる方が良くない……?


「俺、けっこんしない。ひきこもる」
「そんなに上手くいきますか?」
「うん。だいじょーぶ! テオも俺がそつぎょうしたらいっしょにいこーね」
「かしこまりました。あと、このことは誰にも言っては駄目ですよ。二人だけの秘密です。皆さま、きっと信じてはくれませんから」
「うん! ひみつ! テオありがと!」

 前世の記憶はテオと二人だけの秘密だ。
 五歳児の俺は後先考えすぎテオに話してしまったが、テオが信じてくれて本当に良かった。

 普通だったら頭がおかしくなったと医者に見せられるだろう。


 余談だかテオも攻略キャラクターなんじゃないのか? と思うぐらい顔が良かった。
 大きくなってもイケメンのテオが、メイドたちにきゃーきゃー言われてるのもよく見かけるし。
 でもテオが出ているルートはどう頑張っても思い出せないから、きっと攻略キャラではないんだろう。


 大きくなるにつれてヒスコック家の領地は王都から馬車で二時間程度でいける場所にあると知り、はやく婚約破棄されないかうきうきしていた。

 そして昨日、とうとう卒業パーティーで婚約破棄をされたので、日が昇ると同時に俺は領地の屋敷へと向かった。

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