玉座のぬくもり

そらうみ

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次の日は、レジェス王子が暇を見つけては俺の元へ訪ねてきた。


王子は俺に様々な事を聞いてきた。
俺の生い立ちや、仕事内容、城下町での生活等を訊ね、余談で俺の好きな食べ物などまでも聞いてきた。

俺も隠すことは何も無いのでありのままを話したが、話しながら俺は気付いた。

王子は、本当に国民に寄り添うとしている…。

本当ならば、俺が軽々しくこんな風に話していい人ではない。
なのに、俺に質問する時も丁寧に聞いてくれるし、俺の話に真剣になって耳を傾けてくれている。


その日、最後に俺の部屋を訪れた王子は、ニコラスに声をかけた。

「クレトは今日、3回目の夜を過ごすんだな?」

「はい、その通りでございます。」

3回目?
言い方が少し気になったが、俺は黙って2人を見ていた。

レジェス王子は俺に向き直り、いつもの優しい笑顔を俺に向ける。

「クレト、明日は一日一緒にいられる。また続きを聞かせてくれ。」

「あ、はい。わかりました。」

そしてまた、レジェス王子は何も言わず部屋を出ていった。

俺が何気なしにニコラスへ視線を向けると、ニコラスも俺を見ていて視線が合った。
しかし彼はすぐに視線を逸らした。



俺はベッドの中で、先ほどのニコラスの視線を思い出す。

…ニコラス、何だか悲しそうな顔をしていた…?

元々無表情の彼だ。
先ほどの王子との会話で悲しくなる事は何もないのに、なぜその様に見えてしまったのだろう?

何だか、俺が見送られた時のような…嫌な感じがする…。
そういえば明日、王子と一日過ごす事になっていた…。
少し慣れたとは言え緊張しているのかもしれない…。

その時、部屋にある香りが漂う。

何だか王子の香りに似ているような…。
今王子の事を考えていたからだろうか…?

そして俺はまた、意識を失った。




目が覚めると、俺の目の前にレジェス王子の顔があった。

「!?」

「おはようクレト。ようやく君を抱く事が出来る。」

「!?!?!?」

今、王子は俺を抱くと言った?

何故か王子がベッドで俺に覆いかぶさっている。

よく見ると王子は上半身に服を着ておらず、そして俺は全裸でベッドに寝転がっていた。

俺は慌てて起きあがろうとしたが、体に力が入らない。

そんな俺の様子を見ていたレジェス王子は、

いつもと全く同じの、

優しい笑顔を、俺に向けていた…。

「いつも夜寝る前、クレトの薬の耐性を確認していたんだ。
だから今まで我慢していたんだよ?
君の話を聞いて、君という人となりも分かったし。
やはり、私は間違っていなかった。
クレト、君はやはり、私の運命の人だよ。」

何だかいつもと違う調子で話す王子。
すると王子は、熱を帯びた目で俺を見つめ、そのまま俺に口づけをした。

「んんっ!?…ふっ、うっ、んっ…んっう。」

俺は何も分からないまま、王子の口づけを受ける。
思考が追いつかず、息をするのも上手くいかない。

「んっ、ンンッ…ふっ、っ…。」

王子は舌でゆっくりと俺の舌と口の中を撫で回す。
そして俺の舌を吸い上げては噛み、その感触を楽しんでいた。
俺は仰向けで王子の口づけを受けているが、次第に王子の唾液が注がれ溺れそうになる。

「あっ、くっ…げほっ、げほっ、っく…。」

王子が唇を離すと、俺はむせてしまった。

「げほっ…うっ…おう…じっ…どうしてっ…?」

「ん?涙目のクレトも可愛いね。今日はずっと一緒に居るからね?」

王子は俺の質問を聞いていない。
この人は…本当に昨日までのレジェス王子なのか?

視線を部屋の隅に泳がすと、扉の前にはニコラスがいた。
そしてニコラスは、今度は俺から視線を外す事なく、悲しい表情を浮かべていた。

「…ったっ、たすけっ…にこら…。」

「こらクレト、私から視線を外すんじゃない。
ニコラス、部屋の外で待機していろ。」

俺を見つめたまま王子が命じる。
ニコラスはそのまま黙って部屋を出ていった。

「まっ…たすけっ…あぁっ!!!」

王子がきつく、俺の性器を掴んだ。

「今日は思いっきりしたいんだよな…ずっと我慢してたんだし…。」

王子は俺の性器を強く弄っては掴む。

すごく痛い。

なのに王子は痛がっている俺には構わず、無表情で俺を見つめる。

「何からしようかな?いきなりもいいし、咥えても欲しいんだ…。
あ、でも今なら噛まれてしまうかな?」

王子は…俺を…俺の心を見ていない。

俺は痛みと恐怖で泣いてしまっていた。

「クレト泣いている?痛かった?そう言えばきつく握っているな。」

王子は泣いている俺に顔を近づけ、目から溢れ出ている涙を舐めた。

「ふふ…ぐちゃぐちゃだね…。クレト…そのまま咥えてよ。」

王子は膝をついた体勢で、俺の顔の真上に移動した。
そしてそのまま自分の性器を取り出し、立ち上がった性器の先を、俺の口へと運んでくる。

「今のクレトだと、噛み付くほどの元気もないでしょ?
もし元気があって噛み付いたら…そうだな…クレトのモノも噛みちぎってあげよう。」

俺は一瞬凍りつく。

そして恐怖で歪んでいる俺の顔を見下ろしながら、俺の口の奥へと性器を押し込んできた。

「…がっ…っつ…ぅっ…ぐっ…。」

息が出来ない。なのに喉の奥に強く押しつけられる。

「はははっ…いいね…ずっと…こうしたかった…」

この王子は…狂っている…。

俺はなかなか動かない手足を必死で動かすが、何の抵抗にもならない。

「あー流石に抜こうか?初めてだしね。」

そう言って王子は俺から離れる。
俺はまた思いっきりむせてしまった。

本当に…どうなっているんだ?

「クレト、足を上げて自分で押さえてくれるかな?難しい?その方が楽なんだけど。」

俺は王子に両足を持ち上げられ、そのまま王子の両肩にかけられる。

「薬の効果もあるけど、今日は特別に慣らしてあげよう。」

そう言ってニッコリ笑った王子は指を俺の尻の中へと進めていく。

痛い…しかし、何故か中は熱くなっていく。

「ぅうっ…ぅぅ…んっ…う…。」

俺は声を漏らしてしまっている。

王子は俺の性器の様子を見つめたまま指で弄り続けていたが、
急に指を抜いたかと思うと、いきなり俺の中に性器をねじ込んできた。

「………っっ!?」

声にならない悲鳴を上げる。

「クレト…最高だよ…愛している。」

王子はそう言いながら、小刻みに腰を動かしていた。


何が…何が愛しているだ…。


俺はそれからも、声にならない悲鳴を上げ続け、その日一日王子にベッドの上で犯され続けた。




気がつくと、俺はベッドに仰向けの状態だった。

体中が痛くて、とても動かすことが出来ない。

すると、ベッドの側にニコラスが立っていて俺の様子を確認していた。

「クレト様、少しお水をお飲みになって下さい。」

俺はニコラスに支えられながら、彼が手にしているコップから少しずつゆっくりと水を飲んだ。

喉の奥が痛い。

レジェス王子から受けた苦痛を思い出し、俺は恐怖で震える。

「クレト様…殿下は今ここにはいらっしゃいません。」

「うぅ…どうしてニコラス…助けてくれなかった…。」

「…私は殿下の側近であり、殿下は私の命の恩人です。殿下の命令は絶対なのです。」

「…ぅう…ぅっ…。」

「あのような殿下を知っている者は、城でもほとんどいません。
レジェス王子はいつも相手の考えのその先を読み、状況を把握されいます。今この状況も…殿下にとっては全て決まっていた事なのです。
国を動かすものとして、殿下の手腕は素晴らしい。
殿下によって力なき者が、私も含めて、命を助けて頂いているのも事実なのです。
殿下は我々では計り知れない重圧や…自分の弱さを…クレト様にぶつけているのだと思います。」

そんな事…俺には関係ない…。
…何故…どうして俺なんだ…。

俺はニコラスにしがみつき泣いていた。
涙は先ほどベッドの上で出し尽くしたと思うほど流していたのに…。

「クレト様…今度から王子が来る前には、私がクレト様を慣らします。少しでも負担が少なくなるように。
私に出来ることは精一杯させていただきます。どうかお心を強く持って。」

今まで無口で無表情だったニコラスが、必死に俺に話しかけている。

今度、と聞いた時思わずビクついてしまったが…今度からニコラスが俺を慣らすのか?

俺は小さく、帰りたい、と呟いたが、
ニコラスはそれには何も答えず、黙って俺を抱きしめた。
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