転生オメガの奮闘記

そらうみ

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番なんて知るものか

俺の誕生日会

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誕生日会が始まっても、俺はずっと放心状態のままだった。

みんなは俺が緊張していると思っているようで、俺の様子を特に不審がる事もなかった。
アリスだけは俺の様子を気にかけていたようだが…。


そして放心状態のまま、気付けば血の儀式が始まっていた。

俺はされるがままに、壺を持った人に手を掴まれていて、手の指先に小さなナイフで傷を付けられる。
そしてそのまま壺の上に手を運ばれて血が壺の中へと落ちていった。
壺の中の液体は、俺の血を受けてみるみる黄色になった。

その瞬間、俺の手を掴んでいた人物がオメガだと宣言し、周りから歓声が上がった。
周りのみんなが俺に次々声をかけてきたが、俺はオメガは嫌だと叫び声を上げ、


そして、


俺は思いっきり泣きわめき、その場で暴れ出した。


周りは驚き、両親や兄は俺をなだめよとするが、俺はずっと泣きわめいている。

泣いても良いだろう。今まで良い子にしていたんだし。

気付けば知らない世界に居て、知らない人たちに囲まれて、でもとても大切にされて、このままこの世界で生きていこうと思っていたら、男と結婚させられそうで、そして子供も産める体だなんて。

今まで無意識に我慢していた気持ち、そしていきなりの衝撃事実にパニックになっていた。

自分だって母親から産まれてきている。決して出産に対しての嫌悪ではないのだ。
お母さんお腹を痛めて産んでくれてありがとう!!!
でも今はそういうことではなくて!!!

そんな内心もパニック状態になっている俺に、1人の人物が近づいてくる。

「…レオンス。」

しかし俺は気付かない。
するとその人物はまた大声で俺を呼んだ。

「レオンス!!!!!」

その場にいた全員が静まり返り、俺もピタッと泣き止んだ。

「レオンス、そんなにオメガが嫌なのか?」

アリスが俺に話かける。

「…いやっ…というより…っ…どうしていいか…分からない…。でも男と結婚するのは…考えられない…。考えたくない…。」

先ほどまで泣いていたので、上手く話せない。

「そんなに男と結婚するのが嫌なんだな?」

「…そう…だと…思う…。自分の体も…よくわからない…。」

「じゃあ男と結婚しなければいい。そしてレオンスが子供を産まなくてもいい。」

「…しなくて…いい…?」

「そう、でもレオンスはこれから沢山の男達から求婚されるはずだ。それは逃れられない。」

「……。」

俺はまた泣きそうになってきた。

「レオンス。」

アリスが涙目の俺に優しく呼びかける。

「男と結婚するのが嫌なら、私と結婚しよう。私がレオンスを守るよ。」

アリスはそう言って俺に近づき、片膝をついて俺の手を取った。

「レオンス、まずは私と婚約して欲しい。そして時がきたら、結婚しよう。」

俺は迷わず、アリスの手を力強く握り返した。


「よろしくお願いします!!!!!!」


俺たちが公開プロポーズをしている中、
俺に代り、今度は兄のヨアンが泣きそうになっているのを、誰1人気付く事はなかった。
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