6 / 15
番なんて知るものか
俺の誕生日会
しおりを挟む
誕生日会が始まっても、俺はずっと放心状態のままだった。
みんなは俺が緊張していると思っているようで、俺の様子を特に不審がる事もなかった。
アリスだけは俺の様子を気にかけていたようだが…。
そして放心状態のまま、気付けば血の儀式が始まっていた。
俺はされるがままに、壺を持った人に手を掴まれていて、手の指先に小さなナイフで傷を付けられる。
そしてそのまま壺の上に手を運ばれて血が壺の中へと落ちていった。
壺の中の液体は、俺の血を受けてみるみる黄色になった。
その瞬間、俺の手を掴んでいた人物がオメガだと宣言し、周りから歓声が上がった。
周りのみんなが俺に次々声をかけてきたが、俺はオメガは嫌だと叫び声を上げ、
そして、
俺は思いっきり泣きわめき、その場で暴れ出した。
周りは驚き、両親や兄は俺をなだめよとするが、俺はずっと泣きわめいている。
泣いても良いだろう。今まで良い子にしていたんだし。
気付けば知らない世界に居て、知らない人たちに囲まれて、でもとても大切にされて、このままこの世界で生きていこうと思っていたら、男と結婚させられそうで、そして子供も産める体だなんて。
今まで無意識に我慢していた気持ち、そしていきなりの衝撃事実にパニックになっていた。
自分だって母親から産まれてきている。決して出産に対しての嫌悪ではないのだ。
お母さんお腹を痛めて産んでくれてありがとう!!!
でも今はそういうことではなくて!!!
そんな内心もパニック状態になっている俺に、1人の人物が近づいてくる。
「…レオンス。」
しかし俺は気付かない。
するとその人物はまた大声で俺を呼んだ。
「レオンス!!!!!」
その場にいた全員が静まり返り、俺もピタッと泣き止んだ。
「レオンス、そんなにオメガが嫌なのか?」
アリスが俺に話かける。
「…いやっ…というより…っ…どうしていいか…分からない…。でも男と結婚するのは…考えられない…。考えたくない…。」
先ほどまで泣いていたので、上手く話せない。
「そんなに男と結婚するのが嫌なんだな?」
「…そう…だと…思う…。自分の体も…よくわからない…。」
「じゃあ男と結婚しなければいい。そしてレオンスが子供を産まなくてもいい。」
「…しなくて…いい…?」
「そう、でもレオンスはこれから沢山の男達から求婚されるはずだ。それは逃れられない。」
「……。」
俺はまた泣きそうになってきた。
「レオンス。」
アリスが涙目の俺に優しく呼びかける。
「男と結婚するのが嫌なら、私と結婚しよう。私がレオンスを守るよ。」
アリスはそう言って俺に近づき、片膝をついて俺の手を取った。
「レオンス、まずは私と婚約して欲しい。そして時がきたら、結婚しよう。」
俺は迷わず、アリスの手を力強く握り返した。
「よろしくお願いします!!!!!!」
俺たちが公開プロポーズをしている中、
俺に代り、今度は兄のヨアンが泣きそうになっているのを、誰1人気付く事はなかった。
みんなは俺が緊張していると思っているようで、俺の様子を特に不審がる事もなかった。
アリスだけは俺の様子を気にかけていたようだが…。
そして放心状態のまま、気付けば血の儀式が始まっていた。
俺はされるがままに、壺を持った人に手を掴まれていて、手の指先に小さなナイフで傷を付けられる。
そしてそのまま壺の上に手を運ばれて血が壺の中へと落ちていった。
壺の中の液体は、俺の血を受けてみるみる黄色になった。
その瞬間、俺の手を掴んでいた人物がオメガだと宣言し、周りから歓声が上がった。
周りのみんなが俺に次々声をかけてきたが、俺はオメガは嫌だと叫び声を上げ、
そして、
俺は思いっきり泣きわめき、その場で暴れ出した。
周りは驚き、両親や兄は俺をなだめよとするが、俺はずっと泣きわめいている。
泣いても良いだろう。今まで良い子にしていたんだし。
気付けば知らない世界に居て、知らない人たちに囲まれて、でもとても大切にされて、このままこの世界で生きていこうと思っていたら、男と結婚させられそうで、そして子供も産める体だなんて。
今まで無意識に我慢していた気持ち、そしていきなりの衝撃事実にパニックになっていた。
自分だって母親から産まれてきている。決して出産に対しての嫌悪ではないのだ。
お母さんお腹を痛めて産んでくれてありがとう!!!
でも今はそういうことではなくて!!!
そんな内心もパニック状態になっている俺に、1人の人物が近づいてくる。
「…レオンス。」
しかし俺は気付かない。
するとその人物はまた大声で俺を呼んだ。
「レオンス!!!!!」
その場にいた全員が静まり返り、俺もピタッと泣き止んだ。
「レオンス、そんなにオメガが嫌なのか?」
アリスが俺に話かける。
「…いやっ…というより…っ…どうしていいか…分からない…。でも男と結婚するのは…考えられない…。考えたくない…。」
先ほどまで泣いていたので、上手く話せない。
「そんなに男と結婚するのが嫌なんだな?」
「…そう…だと…思う…。自分の体も…よくわからない…。」
「じゃあ男と結婚しなければいい。そしてレオンスが子供を産まなくてもいい。」
「…しなくて…いい…?」
「そう、でもレオンスはこれから沢山の男達から求婚されるはずだ。それは逃れられない。」
「……。」
俺はまた泣きそうになってきた。
「レオンス。」
アリスが涙目の俺に優しく呼びかける。
「男と結婚するのが嫌なら、私と結婚しよう。私がレオンスを守るよ。」
アリスはそう言って俺に近づき、片膝をついて俺の手を取った。
「レオンス、まずは私と婚約して欲しい。そして時がきたら、結婚しよう。」
俺は迷わず、アリスの手を力強く握り返した。
「よろしくお願いします!!!!!!」
俺たちが公開プロポーズをしている中、
俺に代り、今度は兄のヨアンが泣きそうになっているのを、誰1人気付く事はなかった。
11
あなたにおすすめの小説
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
運命じゃない人
万里
BL
旭は、7年間連れ添った相手から突然別れを告げられる。「運命の番に出会ったんだ」と語る彼の言葉は、旭の心を深く傷つけた。積み重ねた日々も未来の約束も、その一言で崩れ去り、番を解消される。残された部屋には彼の痕跡はなく、孤独と喪失感だけが残った。
理解しようと努めるも、涙は止まらず、食事も眠りもままならない。やがて「番に捨てられたΩは死ぬ」という言葉が頭を支配し、旭は絶望の中で自らの手首を切る。意識が遠のき、次に目覚めたのは病院のベッドの上だった。
もう殺されるのはゴメンなので婚約破棄します!
めがねあざらし
BL
婚約者に見向きもされないまま誘拐され、殺されたΩ・イライアス。
目覚めた彼は、侯爵家と婚約する“あの”直前に戻っていた。
二度と同じ運命はたどりたくない。
家族のために婚約は受け入れるが、なんとか相手に嫌われて破談を狙うことに決める。
だが目の前に現れた侯爵・アルバートは、前世とはまるで別人のように優しく、異様に距離が近くて――。
【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
全8話
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c
運命の息吹
梅川 ノン
BL
ルシアは、国王とオメガの番の間に生まれるが、オメガのため王子とは認められず、密やかに育つ。
美しく育ったルシアは、父王亡きあと国王になった兄王の番になる。
兄王に溺愛されたルシアは、兄王の庇護のもと穏やかに暮らしていたが、運命のアルファと出会う。
ルシアの運命のアルファとは……。
西洋の中世を想定とした、オメガバースですが、かなりの独自視点、想定が入ります。あくまでも私独自の創作オメガバースと思ってください。楽しんでいただければ幸いです。
娼館で死んだΩ、竜帝に溺愛される未来に書き換えます
めがねあざらし
BL
前世で悲惨な最期を遂げたエリオットは、死ぬ直前に抱きしめてくれた温かい腕の感触だけを覚えて目を覚ますと、なんと過去に遡っていた。
舞台は嫁いだばかりのオルディス公爵家。前世では夫の愛人ヴェロニクに娼館へ売られ、心身ともに深く傷つけられた場所だ。しかし、今世のエリオットは前世の記憶と後悔を胸に、自ら運命を切り開くことを決意する。
夫アドリアンの愛人ヴェロニクが早速現れるが、エリオットは以前の自分とは違う毅然とした態度で接する。そして、夫に「形式上の夫婦」であることを提案。
公爵夫人という立場を利用し、復讐の準備を始める——。
--------------------
甘々<<<陰謀・ザマァ要素が強め。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる