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王子のお茶会に来たけれどお茶飲んでないわ
新しいお茶会
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その次のお茶会で、俺は初めルーク王子に挨拶をし、前回倒れてしまった事への謝罪をし、そしてこの間休ませて貰った部屋へアリスと共に移動した。
どうやら俺の体調に気を使って、今後王子に一度挨拶をすればお茶会に参加したことにしてくれるらしい。
いや、もうそれなら参加しなくても良いのでは…?
アリスは俺の付き添いということで一緒に行動していいようだった。
いや、ほんとアリスももう参加しなくていいよね…?
アリスと共に移動した部屋には、第二王子レイナードともう1人の人物が居た。
背が高くメガネをかけオレンジ色の髪をした男性で、俺達より一回り年齢が上に見える。
第一王子のお茶会の次は、どうやら第二王子のお茶会が開かれるようだ…。
みんなが部屋のソファーに腰掛け、アリスがレイナード王子に声を掛ける。
「レイナード王子、質問があるのですがお聞きしてもよろしいでしょうか?」
「アリス、今ここには私達しかいない。ここでは身分を気にせずに話して欲しい。」
いや、王子相手に無理でしょ。
いくら親戚のアリスもそう簡単に打ち解けられるものではないだろう。
アリスは頷き、話し始める。
「ではレイナード。聞きたいのだが、貴様の兄は一体何を考えているのだ?」
アリス強い!!!
えっそんな感じでいいのか?大丈夫なのか!?
ハラハラしながらレイナード王子を見るが、王子は全く動じていない。
「アリス、レイでいい。」
「レイ、私達は一体何の茶番に付き合わされているのだ?」
アリスぅー!!!
いやほんと喧嘩腰!!!
え!?将来王族に仕える騎士になりたいんだよね!?
本当に大丈夫!?!?
レイナード王子はそれでも気にする事なくアリスの質問に答える。
「兄上のお茶会で花嫁候補者を探しているのは嘘ではない。
ただ兄上が探しているのではなく、兄上の周りの者が花嫁候補者になるものを集めて兄上に会わせているのだ。
兄上はその…。」
レイナード王子は言い淀み、隣に座る男性に視線をそらす。
その人は仕方ないと言った表情で話し始めた。
「初めましてお二人とも。私はレイナード王子の付き人でフィルと言います。
元々は庶民の出なので、王族や貴族に対する礼儀作法が苦手なんです。
出来れば気楽にお二人と話したいのですが構いませんか?」
庶民!親近感が湧く!俺もどちらかと言えば庶民派です!!!
アリスは構わないと答え、俺も同意して頷く。
するとフィルさんは柔らかく微笑み話してくれた。
「ありがとう。まずレオンス君、私は君と同じオメガなんだ。」
え!?フィルさんもオメガ!?オメガの…先輩!?
驚く俺の表情を見ながら、フィルさんが話し続ける。
「そして、第一王子のルーク殿下は…その…私の…番なんだ。」
えぇ!?!?!?
これにはアリスも驚いていた。
王子とフィルさんが番!?じゃあ王子のお茶会は一体!?!?!?
俺とアリスが何か話そうとすると、フィルさんが俺達の質問を遮るように話す。
「番と言っても、私と王子が勝手に相手が自分の番だと思っているだけなんだけれどね。
私が庶民の出なのは先ほど話したね?
私が10歳の時、血の儀式でオメガだと分かり、とある貴族のアルファの男性と婚約する事になったんだ。
そして私が15歳の時、婚約者の人と共に王宮へ招待されたんだ。
崇高なアルファとオメガの番としてね。
そして王宮に入り王様に謁見している時に、当時5歳だったルーク王子が何処からか現れこう言ったんだ。
その者は私の運命の番だ。ってね。」
そう話すフィルさんは少し照れていた。
いや、いやいやいやいや。
5歳が15歳にいきなり番宣言。…番って凄いね。
「ルーク王子はまだ10歳になっていないのに人前に出て、しかも血の儀式もまだなのに自分はアルファだと宣言したようなものだ。
そして私は婚約していたし王子より10歳も年上だ。周りはとても慌ててたね。」
とても楽しそうに話すフィルさん。
この人なかなか強そうだな。心臓が。
「ルーク王子はそれからあの手この手で私と番になろうとしたんだ。
5歳なのにすごい手腕を発揮してね。私も詳しくは知らないけれど。
そしてその結果、私は婚約者と婚約を破棄し、今に至るまでレイナード王子の付き人として仕えているんだ。」
んん???
フィルさんが婚約破棄したなら、もうルーク王子はフィルさんと婚約すれば良いのでは???
そんな俺の気持ちを読み取ってか、フィルさんはまた楽しそうに話す。
「いくら私が婚約破棄したからといって、いきなり5歳の子と婚約出来る訳なかったんだ。
ルーク王子は色々と強引に進めてしまっていたから、周りの者が付いていけなかったんだね。
私も付いていけてなかった1人だけど。
まずはルーク王子が10歳となり血の儀式を終えるまでは様子見となり、そして10歳になりアルファだと分かると取り敢えず他の婚約者候補とも会わせようとしたんだよ。
王子は全く取り合っていなかったけどね。
すると何処からか、オメガの可能性の高い男の子が、レオンス君の存在が知られるようになったんだ。」
俺の事!?みんなそんなに俺がオメガだと分かっていたのか!
「周りの者も必死に他の候補者を探していたんだろうね。そしてレオンス君との番の方が良いと思ったんだ。
貴族でもあるし、私の様に他に婚約者がいた訳でもないし。
私とレオンス君、2人並んでどちらが良いと言われればレオンス君だろう。
そしてルーク王子と周りの者達が最後の取り決めをしたんだ。
レオンス君が10歳になりオメガだった場合、お茶会を開いて婚約者候補として会うこと。
そして王子が20歳になるまでにレオンス君と婚約しなければ、私と婚約者に、番になってもいいという事になったんだ。」
ま…じか…。
え?俺達巻き込まれ?
というか…ちょっと待て…。
「後5年か…。」
隣にいたアリスが呟く。
そう!あと5年も付き合わされるのか!?
いやちょっと待てやめてくれおかしい俺らを何だと思っているんだ!?!?!?
「俺はアリスと婚約しているんだ!!!」
俺は思わず大声で言ってしまった。
アリスとレイナード王子は驚き、フィルさんは…笑っている。
そしてフィルさんが楽しそうに話す。
「そう…理不尽だよね。本当にあり得ないよね。
オメガだと言うだけで周りに良い様に振り回されているよね。
でもレオンス君。君も私もこの国に住んでいて、その国の偉い人達に逆らえる訳がないんだ。
もう諦めるしかない。5年経てば自由になると思って耐えるしかない。
これは本人達にしか分からないのだけれど、どうやら番は、それも運命の番と言うものは誰かが変えられるものでは無いんだよ。
周りの者は、5年あればルーク王子とレオンス君が自然と番になると思っているけれど、
王子も抵抗しているからレオンス君と2人きりにもなれていないし、このままだと2人が番になるのは一生かかっても無理だろうね。
君も王子と一緒に居るのが辛いみたいだし、今後はお茶会で王子に挨拶をしてからこの部屋に移動し、その後は自由に過ごすといいよ。
君達が快適に過ごせるよう、私とレイナード王子で出来る限りの事はするから。」
えぇ…。何という…。
俺は脱力しアリスの表情を見るが、アリスは何やら真剣に考え込んでいる。
…アリス…今すぐ冒険者になって旅立とうとしていないかな…。
だって5年て…これからどうするんだよ!
するとアリスは何か決心したような表情で話し始めた。
「そういう事情なら分かった。
私もレオンスもこの状況を受け入れて、これから5年間ここに通う事にする。
フィルさんとレイにはこれから色々とお世話になる。
レイ、先ほどは失礼な発言をしてしまい申し訳なかった。どうか許してほしい。」
そう言ってアリスはレイナード王子に頭を下げる。
「…いや、構わない。どうか頭を上げて欲しい。
アリスは本当に…昔から変わらないな。」
そう言ってレイナード王子が優しく微笑む。
王子が笑っている!ルーク王子もかっこいいが、レイナード王子もかっこいいな!思わず見惚れてしまう。
すると俺の視線に気付いたのか、レイナード王子は俺に視線を合わせる。
「レオンス…と呼んで良いのかな?私は今まで王子という立場で歳の近い者と関わる事が少なかったんだ。
もし良ければ、ここで過ごす時は…友達のように接して欲しい。」
友達!なるなるなる!友達なら全然良い!
そうだよ、友達になれば良いんだよ!みんな友達!
俺は先ほどまでの落ち込みや不安が嘘のように、とても嬉しくなっていた。
あれ?俺ってこんなに楽観的だったっけ?
でもまぁアリスも納得しているみたいだし、俺が今ここで何かを変えられる訳でも家に帰れる訳でもない。
他にやる事もないし、元々この世界で大人しく生きていく予定だったんだ。
場所が家から王宮の一室に変わっただけだ。しかも5年間だけだし。うん別に悪くないだろう!
俺は自然とレイナード王子に笑顔を向けていた。
「うん!レオンスで良い!友達になりたい!
レイナード王子、これからよろしくお願いします!」
「…レイでいい。よろしく、レオンス。」
それから俺たちは、これから5年間この王宮で快適に過ごせるよう色々と話し合う事になった。
どうやら俺の体調に気を使って、今後王子に一度挨拶をすればお茶会に参加したことにしてくれるらしい。
いや、もうそれなら参加しなくても良いのでは…?
アリスは俺の付き添いということで一緒に行動していいようだった。
いや、ほんとアリスももう参加しなくていいよね…?
アリスと共に移動した部屋には、第二王子レイナードともう1人の人物が居た。
背が高くメガネをかけオレンジ色の髪をした男性で、俺達より一回り年齢が上に見える。
第一王子のお茶会の次は、どうやら第二王子のお茶会が開かれるようだ…。
みんなが部屋のソファーに腰掛け、アリスがレイナード王子に声を掛ける。
「レイナード王子、質問があるのですがお聞きしてもよろしいでしょうか?」
「アリス、今ここには私達しかいない。ここでは身分を気にせずに話して欲しい。」
いや、王子相手に無理でしょ。
いくら親戚のアリスもそう簡単に打ち解けられるものではないだろう。
アリスは頷き、話し始める。
「ではレイナード。聞きたいのだが、貴様の兄は一体何を考えているのだ?」
アリス強い!!!
えっそんな感じでいいのか?大丈夫なのか!?
ハラハラしながらレイナード王子を見るが、王子は全く動じていない。
「アリス、レイでいい。」
「レイ、私達は一体何の茶番に付き合わされているのだ?」
アリスぅー!!!
いやほんと喧嘩腰!!!
え!?将来王族に仕える騎士になりたいんだよね!?
本当に大丈夫!?!?
レイナード王子はそれでも気にする事なくアリスの質問に答える。
「兄上のお茶会で花嫁候補者を探しているのは嘘ではない。
ただ兄上が探しているのではなく、兄上の周りの者が花嫁候補者になるものを集めて兄上に会わせているのだ。
兄上はその…。」
レイナード王子は言い淀み、隣に座る男性に視線をそらす。
その人は仕方ないと言った表情で話し始めた。
「初めましてお二人とも。私はレイナード王子の付き人でフィルと言います。
元々は庶民の出なので、王族や貴族に対する礼儀作法が苦手なんです。
出来れば気楽にお二人と話したいのですが構いませんか?」
庶民!親近感が湧く!俺もどちらかと言えば庶民派です!!!
アリスは構わないと答え、俺も同意して頷く。
するとフィルさんは柔らかく微笑み話してくれた。
「ありがとう。まずレオンス君、私は君と同じオメガなんだ。」
え!?フィルさんもオメガ!?オメガの…先輩!?
驚く俺の表情を見ながら、フィルさんが話し続ける。
「そして、第一王子のルーク殿下は…その…私の…番なんだ。」
えぇ!?!?!?
これにはアリスも驚いていた。
王子とフィルさんが番!?じゃあ王子のお茶会は一体!?!?!?
俺とアリスが何か話そうとすると、フィルさんが俺達の質問を遮るように話す。
「番と言っても、私と王子が勝手に相手が自分の番だと思っているだけなんだけれどね。
私が庶民の出なのは先ほど話したね?
私が10歳の時、血の儀式でオメガだと分かり、とある貴族のアルファの男性と婚約する事になったんだ。
そして私が15歳の時、婚約者の人と共に王宮へ招待されたんだ。
崇高なアルファとオメガの番としてね。
そして王宮に入り王様に謁見している時に、当時5歳だったルーク王子が何処からか現れこう言ったんだ。
その者は私の運命の番だ。ってね。」
そう話すフィルさんは少し照れていた。
いや、いやいやいやいや。
5歳が15歳にいきなり番宣言。…番って凄いね。
「ルーク王子はまだ10歳になっていないのに人前に出て、しかも血の儀式もまだなのに自分はアルファだと宣言したようなものだ。
そして私は婚約していたし王子より10歳も年上だ。周りはとても慌ててたね。」
とても楽しそうに話すフィルさん。
この人なかなか強そうだな。心臓が。
「ルーク王子はそれからあの手この手で私と番になろうとしたんだ。
5歳なのにすごい手腕を発揮してね。私も詳しくは知らないけれど。
そしてその結果、私は婚約者と婚約を破棄し、今に至るまでレイナード王子の付き人として仕えているんだ。」
んん???
フィルさんが婚約破棄したなら、もうルーク王子はフィルさんと婚約すれば良いのでは???
そんな俺の気持ちを読み取ってか、フィルさんはまた楽しそうに話す。
「いくら私が婚約破棄したからといって、いきなり5歳の子と婚約出来る訳なかったんだ。
ルーク王子は色々と強引に進めてしまっていたから、周りの者が付いていけなかったんだね。
私も付いていけてなかった1人だけど。
まずはルーク王子が10歳となり血の儀式を終えるまでは様子見となり、そして10歳になりアルファだと分かると取り敢えず他の婚約者候補とも会わせようとしたんだよ。
王子は全く取り合っていなかったけどね。
すると何処からか、オメガの可能性の高い男の子が、レオンス君の存在が知られるようになったんだ。」
俺の事!?みんなそんなに俺がオメガだと分かっていたのか!
「周りの者も必死に他の候補者を探していたんだろうね。そしてレオンス君との番の方が良いと思ったんだ。
貴族でもあるし、私の様に他に婚約者がいた訳でもないし。
私とレオンス君、2人並んでどちらが良いと言われればレオンス君だろう。
そしてルーク王子と周りの者達が最後の取り決めをしたんだ。
レオンス君が10歳になりオメガだった場合、お茶会を開いて婚約者候補として会うこと。
そして王子が20歳になるまでにレオンス君と婚約しなければ、私と婚約者に、番になってもいいという事になったんだ。」
ま…じか…。
え?俺達巻き込まれ?
というか…ちょっと待て…。
「後5年か…。」
隣にいたアリスが呟く。
そう!あと5年も付き合わされるのか!?
いやちょっと待てやめてくれおかしい俺らを何だと思っているんだ!?!?!?
「俺はアリスと婚約しているんだ!!!」
俺は思わず大声で言ってしまった。
アリスとレイナード王子は驚き、フィルさんは…笑っている。
そしてフィルさんが楽しそうに話す。
「そう…理不尽だよね。本当にあり得ないよね。
オメガだと言うだけで周りに良い様に振り回されているよね。
でもレオンス君。君も私もこの国に住んでいて、その国の偉い人達に逆らえる訳がないんだ。
もう諦めるしかない。5年経てば自由になると思って耐えるしかない。
これは本人達にしか分からないのだけれど、どうやら番は、それも運命の番と言うものは誰かが変えられるものでは無いんだよ。
周りの者は、5年あればルーク王子とレオンス君が自然と番になると思っているけれど、
王子も抵抗しているからレオンス君と2人きりにもなれていないし、このままだと2人が番になるのは一生かかっても無理だろうね。
君も王子と一緒に居るのが辛いみたいだし、今後はお茶会で王子に挨拶をしてからこの部屋に移動し、その後は自由に過ごすといいよ。
君達が快適に過ごせるよう、私とレイナード王子で出来る限りの事はするから。」
えぇ…。何という…。
俺は脱力しアリスの表情を見るが、アリスは何やら真剣に考え込んでいる。
…アリス…今すぐ冒険者になって旅立とうとしていないかな…。
だって5年て…これからどうするんだよ!
するとアリスは何か決心したような表情で話し始めた。
「そういう事情なら分かった。
私もレオンスもこの状況を受け入れて、これから5年間ここに通う事にする。
フィルさんとレイにはこれから色々とお世話になる。
レイ、先ほどは失礼な発言をしてしまい申し訳なかった。どうか許してほしい。」
そう言ってアリスはレイナード王子に頭を下げる。
「…いや、構わない。どうか頭を上げて欲しい。
アリスは本当に…昔から変わらないな。」
そう言ってレイナード王子が優しく微笑む。
王子が笑っている!ルーク王子もかっこいいが、レイナード王子もかっこいいな!思わず見惚れてしまう。
すると俺の視線に気付いたのか、レイナード王子は俺に視線を合わせる。
「レオンス…と呼んで良いのかな?私は今まで王子という立場で歳の近い者と関わる事が少なかったんだ。
もし良ければ、ここで過ごす時は…友達のように接して欲しい。」
友達!なるなるなる!友達なら全然良い!
そうだよ、友達になれば良いんだよ!みんな友達!
俺は先ほどまでの落ち込みや不安が嘘のように、とても嬉しくなっていた。
あれ?俺ってこんなに楽観的だったっけ?
でもまぁアリスも納得しているみたいだし、俺が今ここで何かを変えられる訳でも家に帰れる訳でもない。
他にやる事もないし、元々この世界で大人しく生きていく予定だったんだ。
場所が家から王宮の一室に変わっただけだ。しかも5年間だけだし。うん別に悪くないだろう!
俺は自然とレイナード王子に笑顔を向けていた。
「うん!レオンスで良い!友達になりたい!
レイナード王子、これからよろしくお願いします!」
「…レイでいい。よろしく、レオンス。」
それから俺たちは、これから5年間この王宮で快適に過ごせるよう色々と話し合う事になった。
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