207 / 230
審査
選択
しおりを挟む
クルルはリョーの顔を見るなり、今にも掴みかかりそうな勢いで近付いてきた。
「酔ってるの?グランの仲間が怪我してるのに顔も出さないで………酒なんて飲んでたの?」
リョーは何も言わずに立っていた。
「そう、何も言えない?あの子達、グランを抜けるって。何とか引き止めようかと思ったけど、そんな事しなくていいって思ってるのよね。」
弁解しようと口を開こうとしたが…思い直し。
「そっか、抜けるのか。その方がいいのかもな。」
その瞬間、リョーの頬に強い衝撃が。
「そんなヤツだとは思わなかった。悪いけど、私も抜けさせてもらうから。」
そう言うと、クルルは走り去った。
リョーは頬をさすりながら、部屋へと戻った。
ベッドには丸くなった虎丸が寝ていた。
リョーも仰向けでベッドに倒れ込み、天井を見つめた。
「主、あんな言い方したら誰でも怒るよ。でも、主がやりたい様にやればいいよ。主は間違ってないよ。」
急に大人になった虎丸の優しい言葉にウルッとなりながら、リョーは何も言葉を発さなかった。
翌日、闘技場に姿を見せたルドラはリョーに頭を下げた。
「力不足でこんな結果になってしまうとは。弁明の余地もございません。」
リョーはルドラに顔を上げさせ。
「ルドラは頑張ってくれたよ。悪いのはオレだから、アタマなんて下げなくていい。」
その時だった、急に金文字先生が目の前に現れた。
〈………強くなる為に悪魔でもと言ったのにな。貸したモノは返してもらわないとな。〉
貸したモノ?リョーには身に覚えがなかったが。
〈袂を分かつなら、あの兎人に魔法の才を返却してもらわないと。〉
リョーは慌てた。
「そんな事は望んでない。」
〈全て奪う訳ではない。初期の回復魔法くらいは使えるくらいには才を伸ばしただろ。今の過剰な才は袂を分てば、逆に身を蝕み、滅ぼす結果にしかならん。それは虎丸が身をもって感じたはずだ。供給が絶たれる事については。〉
その言葉に虎丸を見ると、虎丸は物凄く寂しそうな表情を浮かべていた。
「………主、言う通りにしよう。」
全く納得出来ないが、それを受け入れるしかないのかと金文字先生に任せた。
リョーの手には白い珠ともう一つの球が戻ってきた。
白い珠は以前より一回り大きくなっていた。
〈利息だよ。〉
悪びれる素振りもなく、そう表示した。
リョーは何か言おうとした瞬間、突然リョーの身体を何かが襲ってきた…正しくはそんな感覚に襲われた。
リョーはその場に倒れ込んだ。
しばらくし、気が付くとそこには心配そうにリョーの顔を覗き込む虎丸のドアップが。
「主、急に倒れたから心配したんだよ。」
〈ごめん………返済させた反動だわ、これ。〉
返済させた反動って何?
〈以前より上位な回復魔法が使える様になってるだろ?〉
そう言われて、回復魔法を頭に浮かべると………確かに見た事も無い魔法の種類があった。
〈それが譲与したモノを返却してもらった際のメリットだから。〉
リョーはクルルの事が少し心配になったが、金文字先生は。
〈剣技とか自力で身に付いたモノには影響ないから。そっちの珠については今回は覚醒しなかったな。じゃあ、またな。〉
そう告げると、金文字先生は消えた。
「酔ってるの?グランの仲間が怪我してるのに顔も出さないで………酒なんて飲んでたの?」
リョーは何も言わずに立っていた。
「そう、何も言えない?あの子達、グランを抜けるって。何とか引き止めようかと思ったけど、そんな事しなくていいって思ってるのよね。」
弁解しようと口を開こうとしたが…思い直し。
「そっか、抜けるのか。その方がいいのかもな。」
その瞬間、リョーの頬に強い衝撃が。
「そんなヤツだとは思わなかった。悪いけど、私も抜けさせてもらうから。」
そう言うと、クルルは走り去った。
リョーは頬をさすりながら、部屋へと戻った。
ベッドには丸くなった虎丸が寝ていた。
リョーも仰向けでベッドに倒れ込み、天井を見つめた。
「主、あんな言い方したら誰でも怒るよ。でも、主がやりたい様にやればいいよ。主は間違ってないよ。」
急に大人になった虎丸の優しい言葉にウルッとなりながら、リョーは何も言葉を発さなかった。
翌日、闘技場に姿を見せたルドラはリョーに頭を下げた。
「力不足でこんな結果になってしまうとは。弁明の余地もございません。」
リョーはルドラに顔を上げさせ。
「ルドラは頑張ってくれたよ。悪いのはオレだから、アタマなんて下げなくていい。」
その時だった、急に金文字先生が目の前に現れた。
〈………強くなる為に悪魔でもと言ったのにな。貸したモノは返してもらわないとな。〉
貸したモノ?リョーには身に覚えがなかったが。
〈袂を分かつなら、あの兎人に魔法の才を返却してもらわないと。〉
リョーは慌てた。
「そんな事は望んでない。」
〈全て奪う訳ではない。初期の回復魔法くらいは使えるくらいには才を伸ばしただろ。今の過剰な才は袂を分てば、逆に身を蝕み、滅ぼす結果にしかならん。それは虎丸が身をもって感じたはずだ。供給が絶たれる事については。〉
その言葉に虎丸を見ると、虎丸は物凄く寂しそうな表情を浮かべていた。
「………主、言う通りにしよう。」
全く納得出来ないが、それを受け入れるしかないのかと金文字先生に任せた。
リョーの手には白い珠ともう一つの球が戻ってきた。
白い珠は以前より一回り大きくなっていた。
〈利息だよ。〉
悪びれる素振りもなく、そう表示した。
リョーは何か言おうとした瞬間、突然リョーの身体を何かが襲ってきた…正しくはそんな感覚に襲われた。
リョーはその場に倒れ込んだ。
しばらくし、気が付くとそこには心配そうにリョーの顔を覗き込む虎丸のドアップが。
「主、急に倒れたから心配したんだよ。」
〈ごめん………返済させた反動だわ、これ。〉
返済させた反動って何?
〈以前より上位な回復魔法が使える様になってるだろ?〉
そう言われて、回復魔法を頭に浮かべると………確かに見た事も無い魔法の種類があった。
〈それが譲与したモノを返却してもらった際のメリットだから。〉
リョーはクルルの事が少し心配になったが、金文字先生は。
〈剣技とか自力で身に付いたモノには影響ないから。そっちの珠については今回は覚醒しなかったな。じゃあ、またな。〉
そう告げると、金文字先生は消えた。
0
あなたにおすすめの小説
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―
ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」
前世、15歳で人生を終えたぼく。
目が覚めたら異世界の、5歳の王子様!
けど、人質として大国に送られた危ない身分。
そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。
「ぼく、このお話知ってる!!」
生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!?
このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!!
「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」
生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。
とにかく周りに気を使いまくって!
王子様たちは全力尊重!
侍女さんたちには迷惑かけない!
ひたすら頑張れ、ぼく!
――猶予は後10年。
原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない!
お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。
それでも、ぼくは諦めない。
だって、絶対の絶対に死にたくないからっ!
原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。
健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。
どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。
(全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる