転生したら、HEROになれるはず

緋咲 ツバメ

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交渉

黒きリザードマン

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「じゃあ、これ外して貰える?」
リョーは両手にはめられた枷を見せながら。
すると、大慌てて外しに来たが、手が震える様でなかなか外す事が出来ない。
「そんなに震えなくても……。」
虎丸はこちらを見ながら、話しかけてきた。
「それ、壊れるよ…結構簡単に。」
その言葉に少し戸惑いながら、鍵を外されるのを待った。
流石に壊してしまうのは問題があるんだよね、手枷なんだから。
何とか手枷を外してもらい、黒きリザードマンに会いに行った。
そこに居たのは、先ほど頭をよぎった可能性であったらしい。
黒きリザードマンは気付くなり、頭を下げながら、出迎えてくれた。
「ボス、ご無事で。」
だが、以前より一回り以上は体つき大きくなり、更に表皮はまるで甲冑の様な様相になっていた。
「……ルドラでいいんだよね。」
一瞬、ルドラは戸惑った表情を浮かべた後、首を縦に動かした。
「えぇ、勿論。」
賭けは成功したらしい。
だが、陽気に話す姿を見てる兵士達はかなりビクビクとしていた。
「それでボス、捕まったと聞いたのですが、大丈夫なんですか?」
心配してるルドラに適当に相づちを打ちながら、我慢出来ずにルドラの表皮を撫でてみた。
以前も多少の硬さは感じたが、まるで別モノであった。
素手で殴ったりすれば、ザクロのようになってしまうのは想像できた。
ルドラは少し口調を荒らげて。
「聞いてるんですか、ボス?」
ルドラから手を離し、ルドラを見ながら頭を悩ませる事になった。
黒きリザードマンがルドラなのは分かったが、何も解決はしてない事に気付いた。
ルドラを連れて戻る訳にも行かないんだろう。
虎丸は置いてきたままなので、戻らない訳にもいかない。
とりあえず一旦、部屋に戻り、ルドラについて説明する事にした。
部屋の中の空気は安堵感と絶望感が混じりあっていた。
「で、どうすれば許して頂ける?」
ロイドは頭を下げながら。
「別に許す、許さないとか……。」
黒幕であったトリトル卿は絶命したし、別に終わりでも良いんだけどな。
だが、その瞬間……いつもの金文字先生が。
その先生が出す条件を提示してみた。
その内容は……欲張り過ぎだろと思う内容であったが、ロイド達はすんなりとほとんどを受け入れるらしい。
ちゃんとしたカタチで交渉したいらしく、ロイド、シュラル、ダインら国の代表三名とアドバイザーとしてフランとの話し合いをする事になった。
こちらは虎丸と2人なのに……。
まぁ、特に揉める事もなく、交渉は進んでいき。
和解案もほぼまとまりかけた時、唸り声がした。
緊張感が走ったが、声の主はいつもと変わらないトーンで。
「主、お腹空いた。早く何か食べに行こうよ。」
捕えられてから、十分な量を与えられていたとは思えない虎丸は恨めしそうにこちらを見上げていた。
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