8 / 230
修業
オレ、剣士じゃない。
しおりを挟む
三人組の一人はニヤッと笑いながら。
「お前、剣士じゃなくて、棍棒使いになるのか?」
ハッ………言われてみれば、今のオレ………剣士じゃない。
棍棒使いなんて職もないんだが。
剣士になる為に頑張ってきたつもりが……。
※鍛錬は剣士のモノをちゃんとしています。
呆然としながら、林へと向かっていこうとしたオレに。
「またお前、逃げんのかよ?棍棒使いの腕前、見てやるよ。」
普段なら、相手なんかしないんだけど、この時はどうかしてたんだろうな。
結果を言うと、木剣がショートソードに勝ちました。
「オレの剣が………。これ、無理言って買ってもらったんだぞ。」
半泣きになりながら、地面に刺さった剣の先を見ながら叫んでた。
研がれた刃ではなく、横面を叩けば、折れる。
「ただの木剣じゃないだろ、それ。卑怯だぞ。」
ただの木剣だと言った記憶はないのだが、この木剣……実は中に鉄芯が入ってるんだよね。
剣を折ったところで我に返った。
「これって……私闘じゃないよな?」
恐る恐る聞くと。
「ハァ~?お前、何言ってんだよ?」
「分かった。今日、オレとお前は何もなかった。それでいいよな?」
「剣、折ったくせに逃げんのか?」
こいつ、取り巻きのくせにウゼェ。
「そう言えば、何で一人なんだ?いつもの2人は?」
急に黙りこみ。
「オレがいたら、足手まといなんだって。しょうがないか、お前みたいな落ちこぼれにまで負けちゃうだから。」
下手に懐かれても困るので、無視する事にした。
さて、どうするかな………このまま、木剣を使うか……明日からショートソードに変えるか。
「なぁ、無視すんなよ。お前が折ったから、武器なくなったんだから。」
鬱陶しい。予備の武器も持たずに来る方が悪いんだろ。
「分かったよ。村まで連れてってやるよ。」
仕方ないので、村へ連れて帰ろうとしたが。
「帰る時はビート先生が居るから。お前と帰って、置いて帰られたら困るからさ。」
つまり、帰る時間まで相手してやるよって事らしい。
「………モンスターの代わりに練習台になりたいのか?」
男の横に振り下ろしながら、問いかけた。
あっ、コイツの名前、知りたくないから、見ない。
だから、名前は出てこないと思う。
顔を真っ青にして、走り去った。
【あぁ、またあの三人組、絡んでくるのかな。めんどくさいな。】
そんな事を考えながら、草原へと進んで行った。
目の前にコロコロと転がる灰色の物体……。
ダンゴムシっぽいな、こいつら………でかさは違い過ぎるけど。
気付くと目の前には5、6個の物体。
木剣でいつもの様に殴打してみるが、相変わらずコロコロと転がり続ける。
しかも、微妙に赤く光ってない?
もう少し強めに殴ってみたが、動き続ける。
しかも、数が増えてるよな……。
もしかして、光って、仲間呼んでるのか?
《碁蟲:旅人などを集団で襲う肉食昆虫。丸まるなど打撃耐性があり。食用可、硬い外殻に包まれた身はなかなか美味である。》
ケモンの時に思ったのだが、食用に向いてるかどうか……冒険中は多分、モンスターも食材なんだろうな。
だが、打撃耐性って、予想はしてたが……硬いよな、コイツ。
外殻の僅かな隙間とかを斬れば、倒せるんだろうが………剣を持ってない。
剣士を目指してるのに、剣を持ってない……剣士失格だなって、自分を責めていた。
だが、そんな事をしてる場合ではなさそうだ。
俺の周りを取り囲む様に碁蟲が集まってきていた。
丸まっての体当たりは木剣越しでもかなり重い。
〈お前、バカか?〉
久しぶりに登場した。
〈炎で焼けば、良いだろ。〉
あっ、そうだ……多分、炎だったら効果あるよな。
〈言っとくけど、火球とか出すなよ。〉
えっ?ダメなのか?出そうと思ってたんだけど。
〈お前の周りに炎の雨をイメージするんだ。範囲指定はしてやるから。〉
この前の草原の時もそうだが、コイツ……実は頼りになるんじゃないのか。
とりあえず言われた通り、炎の雨をイメージしながら、両手を突き出した。
舞い降りろ、紅き雫
よく燃えた、辺りから香ばしい香りがしている。
試しに焼けた碁蟲を食べてみた。
かなり淡白だったが、なかなか美味しかった。
急いで、その場から離れた。
どう見ても、魔法を使った事がバレバレ……。
流石に魔法が使える事は内緒にしてた方がいいのは分かっていたから。
家に帰り、ベッドに横になったが……冷静に自己嫌悪に陥っていた。
剣士を目指してたはずなのに、実戦で剣を使ってないのに気付かないで、弓を鍛錬しようなんて………何様のつもりなんだ、オレ。
「お前、剣士じゃなくて、棍棒使いになるのか?」
ハッ………言われてみれば、今のオレ………剣士じゃない。
棍棒使いなんて職もないんだが。
剣士になる為に頑張ってきたつもりが……。
※鍛錬は剣士のモノをちゃんとしています。
呆然としながら、林へと向かっていこうとしたオレに。
「またお前、逃げんのかよ?棍棒使いの腕前、見てやるよ。」
普段なら、相手なんかしないんだけど、この時はどうかしてたんだろうな。
結果を言うと、木剣がショートソードに勝ちました。
「オレの剣が………。これ、無理言って買ってもらったんだぞ。」
半泣きになりながら、地面に刺さった剣の先を見ながら叫んでた。
研がれた刃ではなく、横面を叩けば、折れる。
「ただの木剣じゃないだろ、それ。卑怯だぞ。」
ただの木剣だと言った記憶はないのだが、この木剣……実は中に鉄芯が入ってるんだよね。
剣を折ったところで我に返った。
「これって……私闘じゃないよな?」
恐る恐る聞くと。
「ハァ~?お前、何言ってんだよ?」
「分かった。今日、オレとお前は何もなかった。それでいいよな?」
「剣、折ったくせに逃げんのか?」
こいつ、取り巻きのくせにウゼェ。
「そう言えば、何で一人なんだ?いつもの2人は?」
急に黙りこみ。
「オレがいたら、足手まといなんだって。しょうがないか、お前みたいな落ちこぼれにまで負けちゃうだから。」
下手に懐かれても困るので、無視する事にした。
さて、どうするかな………このまま、木剣を使うか……明日からショートソードに変えるか。
「なぁ、無視すんなよ。お前が折ったから、武器なくなったんだから。」
鬱陶しい。予備の武器も持たずに来る方が悪いんだろ。
「分かったよ。村まで連れてってやるよ。」
仕方ないので、村へ連れて帰ろうとしたが。
「帰る時はビート先生が居るから。お前と帰って、置いて帰られたら困るからさ。」
つまり、帰る時間まで相手してやるよって事らしい。
「………モンスターの代わりに練習台になりたいのか?」
男の横に振り下ろしながら、問いかけた。
あっ、コイツの名前、知りたくないから、見ない。
だから、名前は出てこないと思う。
顔を真っ青にして、走り去った。
【あぁ、またあの三人組、絡んでくるのかな。めんどくさいな。】
そんな事を考えながら、草原へと進んで行った。
目の前にコロコロと転がる灰色の物体……。
ダンゴムシっぽいな、こいつら………でかさは違い過ぎるけど。
気付くと目の前には5、6個の物体。
木剣でいつもの様に殴打してみるが、相変わらずコロコロと転がり続ける。
しかも、微妙に赤く光ってない?
もう少し強めに殴ってみたが、動き続ける。
しかも、数が増えてるよな……。
もしかして、光って、仲間呼んでるのか?
《碁蟲:旅人などを集団で襲う肉食昆虫。丸まるなど打撃耐性があり。食用可、硬い外殻に包まれた身はなかなか美味である。》
ケモンの時に思ったのだが、食用に向いてるかどうか……冒険中は多分、モンスターも食材なんだろうな。
だが、打撃耐性って、予想はしてたが……硬いよな、コイツ。
外殻の僅かな隙間とかを斬れば、倒せるんだろうが………剣を持ってない。
剣士を目指してるのに、剣を持ってない……剣士失格だなって、自分を責めていた。
だが、そんな事をしてる場合ではなさそうだ。
俺の周りを取り囲む様に碁蟲が集まってきていた。
丸まっての体当たりは木剣越しでもかなり重い。
〈お前、バカか?〉
久しぶりに登場した。
〈炎で焼けば、良いだろ。〉
あっ、そうだ……多分、炎だったら効果あるよな。
〈言っとくけど、火球とか出すなよ。〉
えっ?ダメなのか?出そうと思ってたんだけど。
〈お前の周りに炎の雨をイメージするんだ。範囲指定はしてやるから。〉
この前の草原の時もそうだが、コイツ……実は頼りになるんじゃないのか。
とりあえず言われた通り、炎の雨をイメージしながら、両手を突き出した。
舞い降りろ、紅き雫
よく燃えた、辺りから香ばしい香りがしている。
試しに焼けた碁蟲を食べてみた。
かなり淡白だったが、なかなか美味しかった。
急いで、その場から離れた。
どう見ても、魔法を使った事がバレバレ……。
流石に魔法が使える事は内緒にしてた方がいいのは分かっていたから。
家に帰り、ベッドに横になったが……冷静に自己嫌悪に陥っていた。
剣士を目指してたはずなのに、実戦で剣を使ってないのに気付かないで、弓を鍛錬しようなんて………何様のつもりなんだ、オレ。
0
あなたにおすすめの小説
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―
ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」
前世、15歳で人生を終えたぼく。
目が覚めたら異世界の、5歳の王子様!
けど、人質として大国に送られた危ない身分。
そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。
「ぼく、このお話知ってる!!」
生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!?
このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!!
「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」
生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。
とにかく周りに気を使いまくって!
王子様たちは全力尊重!
侍女さんたちには迷惑かけない!
ひたすら頑張れ、ぼく!
――猶予は後10年。
原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない!
お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。
それでも、ぼくは諦めない。
だって、絶対の絶対に死にたくないからっ!
原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。
健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。
どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。
(全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる