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駆け引き
交渉の場
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とりあえず借金の減額の話が進んだかを確かめに騎士団の宿舎を訪ねたが………。
何故、気付かなかったのかな……災害級のモンスターが現れたのに、そんな雑用をする余裕などある訳ない事に。
仕方なしに女将さんに借金相手を聞き、訪ねていくと……いかにも用心棒らしき集団を両脇に携え、椅子にもたれかかっていた。
いかにも老猾そうな表情でこちらを値踏みする様に下から上を見ながら。
「で、今日は何の御用かな?」
あの母娘の借金についてだと言うと。
「キミが借金を建て替えると言うのか?」
頷くと。
「じゃあ、金貨50枚を払って貰おうか?」
ご、ごじゅ、50枚?確か話では20枚って……。それを言うと。
「それは以前の話でしょう?今はもうあの女の売却先も決まってるんだ。それをご破算にしても、それ以上の見返りがないとな。」
明らかに暴利過ぎるよ、それは。
素直に支払う訳にはいかないが、ここで剣を抜く訳にもいかなさそうだった。
例え、この用心棒の集団を倒せたとしても、騎士団か自衛団を来て、捕まるのは目に見えている。
だが、交渉の余地がある様には見えなかった。
ただの冒険者でしかないオレが相手にされる訳なく。
「さて、お客様のお帰りかな?」
だが、その瞬間……背後からある人影が。
「おぉ……随分、偉くなったんだな………。」
振り返ると、そこに居たのは見知った顔であった。
「これは……ロイ様……わざわざお越し頂きまして……本日はどの様な御用件で?」
そこに居たのはあの老翁であった。
「そこの若造はな、ワシの客人だ。話し相手が君だと聞いてな。その取引相手がそんなに大事なのか?」
先程までの態度と違い、顔を真っ青にしながら。
「そ、そんな事はございません。もうこの話はなかった事で。」
「だそうだ。良かったな。」
老翁は柔和な笑顔を浮かべ、こちらを見た。
だが、店の隅にあった機械にプレートをかざし、10枚の金貨を取り出し、テーブルに置いた。
「流石にそこまでやって頂く訳には。これであの母娘の借金は無くして下さい。」
金貸しはロイと呼ばれる老翁の表情を伺っていた。
「ワシの顔もお前のメンツも潰さない様にか。受け取って、借金の件はそれで終わりで良いな?」
金貸しは金貨を受け取り、無言で頷いた。
その場を後にして、表に出ると、老翁に深々と頭を下げた。
「ありがとうございます。お陰で助かりました。」
肩をポンポンと叩き。
「ワシもあそこの料理食えんようになるのは寂しいと思っただけだ。前金も、幾らか払える様になったか?」
頷くと、近くに設置されてる機械に向かい、金貨を受け取った。
革袋に入ったそれを差し出した。
老翁は受け取り、中身を確認し、こちらの顔を見あげた。
「こんなに良いのか?前金で金貨10枚は払えないだろうなと思っていたが、ワシの眼力も衰えたみたいだ、後は残り75枚だな。」
残りはセリへの改築費の支払いに充てるんだよな。
屋敷の改築と店舗になる改装の費用…合計40枚。
屋敷に戻り、セリに会いに行くと。
「とりあえず材料費と人件費だけで良いよ。それに店の改装費は家賃代わりだ。」
えっ?家賃?セリに家賃?
知らない所で話が進んでいるらしい。
借りる店舗もよく知らなかったんだよ。
こじんまりとした小さな店だと思っていたのに。
セリがココだよと指さした建物は優に一つのフロアに10軒は店が入るほどの広さであった。そんな二階建ての店舗であった。
何故、気付かなかったのかな……災害級のモンスターが現れたのに、そんな雑用をする余裕などある訳ない事に。
仕方なしに女将さんに借金相手を聞き、訪ねていくと……いかにも用心棒らしき集団を両脇に携え、椅子にもたれかかっていた。
いかにも老猾そうな表情でこちらを値踏みする様に下から上を見ながら。
「で、今日は何の御用かな?」
あの母娘の借金についてだと言うと。
「キミが借金を建て替えると言うのか?」
頷くと。
「じゃあ、金貨50枚を払って貰おうか?」
ご、ごじゅ、50枚?確か話では20枚って……。それを言うと。
「それは以前の話でしょう?今はもうあの女の売却先も決まってるんだ。それをご破算にしても、それ以上の見返りがないとな。」
明らかに暴利過ぎるよ、それは。
素直に支払う訳にはいかないが、ここで剣を抜く訳にもいかなさそうだった。
例え、この用心棒の集団を倒せたとしても、騎士団か自衛団を来て、捕まるのは目に見えている。
だが、交渉の余地がある様には見えなかった。
ただの冒険者でしかないオレが相手にされる訳なく。
「さて、お客様のお帰りかな?」
だが、その瞬間……背後からある人影が。
「おぉ……随分、偉くなったんだな………。」
振り返ると、そこに居たのは見知った顔であった。
「これは……ロイ様……わざわざお越し頂きまして……本日はどの様な御用件で?」
そこに居たのはあの老翁であった。
「そこの若造はな、ワシの客人だ。話し相手が君だと聞いてな。その取引相手がそんなに大事なのか?」
先程までの態度と違い、顔を真っ青にしながら。
「そ、そんな事はございません。もうこの話はなかった事で。」
「だそうだ。良かったな。」
老翁は柔和な笑顔を浮かべ、こちらを見た。
だが、店の隅にあった機械にプレートをかざし、10枚の金貨を取り出し、テーブルに置いた。
「流石にそこまでやって頂く訳には。これであの母娘の借金は無くして下さい。」
金貸しはロイと呼ばれる老翁の表情を伺っていた。
「ワシの顔もお前のメンツも潰さない様にか。受け取って、借金の件はそれで終わりで良いな?」
金貸しは金貨を受け取り、無言で頷いた。
その場を後にして、表に出ると、老翁に深々と頭を下げた。
「ありがとうございます。お陰で助かりました。」
肩をポンポンと叩き。
「ワシもあそこの料理食えんようになるのは寂しいと思っただけだ。前金も、幾らか払える様になったか?」
頷くと、近くに設置されてる機械に向かい、金貨を受け取った。
革袋に入ったそれを差し出した。
老翁は受け取り、中身を確認し、こちらの顔を見あげた。
「こんなに良いのか?前金で金貨10枚は払えないだろうなと思っていたが、ワシの眼力も衰えたみたいだ、後は残り75枚だな。」
残りはセリへの改築費の支払いに充てるんだよな。
屋敷の改築と店舗になる改装の費用…合計40枚。
屋敷に戻り、セリに会いに行くと。
「とりあえず材料費と人件費だけで良いよ。それに店の改装費は家賃代わりだ。」
えっ?家賃?セリに家賃?
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借りる店舗もよく知らなかったんだよ。
こじんまりとした小さな店だと思っていたのに。
セリがココだよと指さした建物は優に一つのフロアに10軒は店が入るほどの広さであった。そんな二階建ての店舗であった。
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