2 / 10
002.2/15
しおりを挟む
登校中も四方から何者かに見られてる気がしていた。雪も相まって寒いのなんのって!
僕は降雪だろうが自転車を走らせる。だがペダルに乗せる足が震える。ガタガタうるさいのだ。
まともに漕げないので降りてゆっくり歩いてゆく。隣を雪を被った車が通り過ぎていく。音が近づく事に脇腹を刺されるのではと警戒した。
「さっ……寒い(なぁ)……」
「寒いなぁ」
「えぇ!葛城優乃さん!ガタガタガタガタ」
「ガタガタうるさいのだ。静かにしな」
「……」
僕は振り向けなかった。
「ご機嫌麗しゅう。一応学校には行くみたいだな。麗乃とは別クラスだったな。さてどのラインがアウトかしっかりしておかないと音希田君の生活も思いのままにならない」
「そうですね。視界に入っただけで殺すとか勘弁して欲しいです」
「ハハハハ!そうだね!流石に視界に入っただけだなんてあの朝霧もしないだろう」
要くんを知っているな。どこまで僕の周りのことを知っているのだろう。
「しかし言っておこう、私は出来るぞ?お前が麗乃を視界に入れた瞬間に四肢を爆散させて千切り、オマケに炙って鍋にして食ってやってもいい。ネズミ捕りのように」
「御札を持ってる人が言うと説得力ありますねぇ!」
「さてレギュレーションを読みあげよう」
「よろしくお願いします」
葛城優乃の言うレギュレーション、つまるところ規制は思ったより緩かった。
『校内外の接触を禁ずる(夜はアウト)』
この1点を強調していた。あとはみだらな行為をしたら殺す。いやいやねぇよ。
あともう1つこれは救済措置にもならないのだが……
「じー」
無事登校した矢先、下駄箱の隅から黒い視線を感じた。
上履きをカランと落として履きながら顔を向ける。その視線は丁度去っていってしまった。長く綺麗な黒髪が後に残った。
むっこの香りは。
つられて歩くと募金活動をしている生徒がいた。どうやら校内修繕費のそれらしい。僕は罪悪感と苦笑いを1000円に込めて入れさせていただいた。
「ありがとうございます!」
「ちがっ……あのっ……ども───」
ささーっと自分の教室に移動した。遅刻ギリギリ。黒髪の少女が左側の2つ先の机から僕を睨んでいる。
やっぱり『生田目 紫重』だった。中学生の頃からの付き合いで今は同じクラス。要くんが学校に来なくなってから全然話してない。
そんなのだから僕から何かしたのだろう。記憶にないけど。でなければこんな強い視線飛ばさない!
ホームルーム後、紫重ちゃんは僕の机の前に来て見下してくれた。
「(なんだこの重圧)」
「何か言うことありますか」
「き、記憶にございません」
「そう───ならいい……です」
「え?そういう反応?」
段々と紫重ちゃんの顔が林檎色になっていく。焦点も合ってない。
「おい顔赤いぞ、熱あるのか?」
「な、ない!きききゃきょ……今日は36.4度」
「まぁ外寒かったもんなぁ」
「だっ、黙れ!今のナシ!」
『今回はきまりが悪いので、今私が話しかけたことは無かったことにしてください。わかりましたね?これは命令です』の意味だと理解した。
「───オーケー僕は何も知らない」
何を伝えたいのかは全く分からなかったが、次の次くらいには普通に喋れるようになるかもしれない。結果、四月に和解となったのだが。
紫重ちゃんが僕の前を去った後、クラスの皆が僕に視線を注いでいた。
待てまて、悪いのは叫んだ紫重ちゃんだろう?
放課後部室に行くとハルが毛布を被って椅子に座っている。天井を見上げて気絶している。口をバッコリあけて某沼の王のようだった。
「なんだ寝てんのかハル」
「お、廻さんじゃないですか……スピー」
「まさか、昨日泊まったんじゃないよな!?」
「えぇそのまさかですよ。ちょっとやりたいことありまして。そりゃもう寒かったですよ」
「バレない辺りすごいな」
「暖房なくても私は風邪ひきません」
ようやく首を戻したハルはメガネを指で上げて僕
方を向いた。
「で?何やってたんだ?」
「アタックαの次の作品です」
「家でやれば?」
「帰る時間をミスったのですー」
「ん?ということは僕と麗乃が帰った後か。いや家でやれよ」
僕も椅子に座ったと同時でドラがガラガラと開き跳ね返って閉まった。
「ぷっ……ははっおい麗乃」
「麗乃さん!空いてないですよ!力加減!」
今度はゆっくりとドアをあけて入ってきた。
真っ赤な頬、少し雪を被っていた。
麗乃は身体に着いた少し溶けた雪をほろった。
「渡り廊下さみいー。ここはやっぱり暖かいね。あっそうだ廻君、姉さんがね、町に来てるって。もうワクワクして───」
ドキリとして窓ガラス全てを見回した。安心しろここは校舎内だ。
「へ、へぇ~知らなんだ」
「それと───号外を出すよ」
「ど、どんな?」
「題して『バレンタインチョコ一番貰った野郎選手権』上位10名にインタビュー」
「面白いけど選手権って」
そこから僕達はアンケート用紙を作ることになった。この時だけは葛城優乃のことを忘れていられた。
こんな残酷なアンケートを考えられる悪魔葛城麗乃は果たして姉である葛城優乃とどちらが怖いのだろうか?
僕はその真相を確かめるべく悪魔的笑を浮かべながらアンケート作りに勤しんだ。
「HAHAHA!苦しめ男子生徒諸君!僕は最下位には居ないぞ!」
僕は降雪だろうが自転車を走らせる。だがペダルに乗せる足が震える。ガタガタうるさいのだ。
まともに漕げないので降りてゆっくり歩いてゆく。隣を雪を被った車が通り過ぎていく。音が近づく事に脇腹を刺されるのではと警戒した。
「さっ……寒い(なぁ)……」
「寒いなぁ」
「えぇ!葛城優乃さん!ガタガタガタガタ」
「ガタガタうるさいのだ。静かにしな」
「……」
僕は振り向けなかった。
「ご機嫌麗しゅう。一応学校には行くみたいだな。麗乃とは別クラスだったな。さてどのラインがアウトかしっかりしておかないと音希田君の生活も思いのままにならない」
「そうですね。視界に入っただけで殺すとか勘弁して欲しいです」
「ハハハハ!そうだね!流石に視界に入っただけだなんてあの朝霧もしないだろう」
要くんを知っているな。どこまで僕の周りのことを知っているのだろう。
「しかし言っておこう、私は出来るぞ?お前が麗乃を視界に入れた瞬間に四肢を爆散させて千切り、オマケに炙って鍋にして食ってやってもいい。ネズミ捕りのように」
「御札を持ってる人が言うと説得力ありますねぇ!」
「さてレギュレーションを読みあげよう」
「よろしくお願いします」
葛城優乃の言うレギュレーション、つまるところ規制は思ったより緩かった。
『校内外の接触を禁ずる(夜はアウト)』
この1点を強調していた。あとはみだらな行為をしたら殺す。いやいやねぇよ。
あともう1つこれは救済措置にもならないのだが……
「じー」
無事登校した矢先、下駄箱の隅から黒い視線を感じた。
上履きをカランと落として履きながら顔を向ける。その視線は丁度去っていってしまった。長く綺麗な黒髪が後に残った。
むっこの香りは。
つられて歩くと募金活動をしている生徒がいた。どうやら校内修繕費のそれらしい。僕は罪悪感と苦笑いを1000円に込めて入れさせていただいた。
「ありがとうございます!」
「ちがっ……あのっ……ども───」
ささーっと自分の教室に移動した。遅刻ギリギリ。黒髪の少女が左側の2つ先の机から僕を睨んでいる。
やっぱり『生田目 紫重』だった。中学生の頃からの付き合いで今は同じクラス。要くんが学校に来なくなってから全然話してない。
そんなのだから僕から何かしたのだろう。記憶にないけど。でなければこんな強い視線飛ばさない!
ホームルーム後、紫重ちゃんは僕の机の前に来て見下してくれた。
「(なんだこの重圧)」
「何か言うことありますか」
「き、記憶にございません」
「そう───ならいい……です」
「え?そういう反応?」
段々と紫重ちゃんの顔が林檎色になっていく。焦点も合ってない。
「おい顔赤いぞ、熱あるのか?」
「な、ない!きききゃきょ……今日は36.4度」
「まぁ外寒かったもんなぁ」
「だっ、黙れ!今のナシ!」
『今回はきまりが悪いので、今私が話しかけたことは無かったことにしてください。わかりましたね?これは命令です』の意味だと理解した。
「───オーケー僕は何も知らない」
何を伝えたいのかは全く分からなかったが、次の次くらいには普通に喋れるようになるかもしれない。結果、四月に和解となったのだが。
紫重ちゃんが僕の前を去った後、クラスの皆が僕に視線を注いでいた。
待てまて、悪いのは叫んだ紫重ちゃんだろう?
放課後部室に行くとハルが毛布を被って椅子に座っている。天井を見上げて気絶している。口をバッコリあけて某沼の王のようだった。
「なんだ寝てんのかハル」
「お、廻さんじゃないですか……スピー」
「まさか、昨日泊まったんじゃないよな!?」
「えぇそのまさかですよ。ちょっとやりたいことありまして。そりゃもう寒かったですよ」
「バレない辺りすごいな」
「暖房なくても私は風邪ひきません」
ようやく首を戻したハルはメガネを指で上げて僕
方を向いた。
「で?何やってたんだ?」
「アタックαの次の作品です」
「家でやれば?」
「帰る時間をミスったのですー」
「ん?ということは僕と麗乃が帰った後か。いや家でやれよ」
僕も椅子に座ったと同時でドラがガラガラと開き跳ね返って閉まった。
「ぷっ……ははっおい麗乃」
「麗乃さん!空いてないですよ!力加減!」
今度はゆっくりとドアをあけて入ってきた。
真っ赤な頬、少し雪を被っていた。
麗乃は身体に着いた少し溶けた雪をほろった。
「渡り廊下さみいー。ここはやっぱり暖かいね。あっそうだ廻君、姉さんがね、町に来てるって。もうワクワクして───」
ドキリとして窓ガラス全てを見回した。安心しろここは校舎内だ。
「へ、へぇ~知らなんだ」
「それと───号外を出すよ」
「ど、どんな?」
「題して『バレンタインチョコ一番貰った野郎選手権』上位10名にインタビュー」
「面白いけど選手権って」
そこから僕達はアンケート用紙を作ることになった。この時だけは葛城優乃のことを忘れていられた。
こんな残酷なアンケートを考えられる悪魔葛城麗乃は果たして姉である葛城優乃とどちらが怖いのだろうか?
僕はその真相を確かめるべく悪魔的笑を浮かべながらアンケート作りに勤しんだ。
「HAHAHA!苦しめ男子生徒諸君!僕は最下位には居ないぞ!」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
0
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる