1 / 1
資格
しおりを挟む
雨が止まない。
耳が雨音に支配され、静けさが広がる部屋の中には地面に水滴の叩きつけられる音がやたらと大きく聞こえていた。
窓際から離れると一人では大きすぎるソファに腰掛け、目の前のテーブルに置かれていたリモコンでテレビの電源を入れる。
雨音をかき消すかのように、テレビの音のボリュームを上げ空虚なまま頬杖をついた。
〝続きまして次のニュースです〝
何千回と聞かされたはずのフレーズに無関心のまま、呆けた様にただモニターを眺め続けていた。
ふと隣にあった箪笥の上に置かれていた。今は伏せられたままの写真を一瞥し、再びモニターに目線を戻した。
雨の日曜日。いつも通り自分には関係ないと、無関心に情報だけをただ眼球に映し出し、何処か別の世界の話の様に読み上げられていくニュースを見ていた。
〝続きまして、今朝未明、、、、、、〝
ふと目にしたニュースに涙が思わず流れた。自分の子が自慰行為をやめず躾と称し命を奪ったと言う。
何故、親は分からなかったのであろう。自慰行為をやめさせるのは大切な事である。しかし、子どものそれは大人とは意味合いが違う。
ふと、昔の弟の事を思い出していた。一時期に股間を触るのが癖でよく咎めた覚えがある。成長と共に癖はなくなり、何故そうしてしまったのかは私が大人になってから知った。
自分の恥部を触る。それは人恋しさや愛情欲しさから来る行為の場合があるらしい。思えば弟はまだ小さかったが、母が妊娠中だった為にそうなってしまったのかも知れない。
ティッシュで涙と鼻をかみ、自分の興味の無いチャンネルに変えると立ち上がる。ゴミ箱に入っていた印の付いたカレンダーに、ティッシュを投げつけると上手くゴミ箱に入った。
一人では広く感じる部屋の中、望んだ所で叶わなかった事を悔いても仕方ない。引越しの荷物の続きでもしようか。
耳が雨音に支配され、静けさが広がる部屋の中には地面に水滴の叩きつけられる音がやたらと大きく聞こえていた。
窓際から離れると一人では大きすぎるソファに腰掛け、目の前のテーブルに置かれていたリモコンでテレビの電源を入れる。
雨音をかき消すかのように、テレビの音のボリュームを上げ空虚なまま頬杖をついた。
〝続きまして次のニュースです〝
何千回と聞かされたはずのフレーズに無関心のまま、呆けた様にただモニターを眺め続けていた。
ふと隣にあった箪笥の上に置かれていた。今は伏せられたままの写真を一瞥し、再びモニターに目線を戻した。
雨の日曜日。いつも通り自分には関係ないと、無関心に情報だけをただ眼球に映し出し、何処か別の世界の話の様に読み上げられていくニュースを見ていた。
〝続きまして、今朝未明、、、、、、〝
ふと目にしたニュースに涙が思わず流れた。自分の子が自慰行為をやめず躾と称し命を奪ったと言う。
何故、親は分からなかったのであろう。自慰行為をやめさせるのは大切な事である。しかし、子どものそれは大人とは意味合いが違う。
ふと、昔の弟の事を思い出していた。一時期に股間を触るのが癖でよく咎めた覚えがある。成長と共に癖はなくなり、何故そうしてしまったのかは私が大人になってから知った。
自分の恥部を触る。それは人恋しさや愛情欲しさから来る行為の場合があるらしい。思えば弟はまだ小さかったが、母が妊娠中だった為にそうなってしまったのかも知れない。
ティッシュで涙と鼻をかみ、自分の興味の無いチャンネルに変えると立ち上がる。ゴミ箱に入っていた印の付いたカレンダーに、ティッシュを投げつけると上手くゴミ箱に入った。
一人では広く感じる部屋の中、望んだ所で叶わなかった事を悔いても仕方ない。引越しの荷物の続きでもしようか。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。
月弥総合病院
僕君☾☾
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる