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★白狐☆

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 雨が止まない。


 耳が雨音に支配され、静けさが広がる部屋の中には地面に水滴の叩きつけられる音がやたらと大きく聞こえていた。


 窓際から離れると一人では大きすぎるソファに腰掛け、目の前のテーブルに置かれていたリモコンでテレビの電源を入れる。


 雨音をかき消すかのように、テレビの音のボリュームを上げ空虚なまま頬杖をついた。


〝続きまして次のニュースです〝


 何千回と聞かされたはずのフレーズに無関心のまま、呆けた様にただモニターを眺め続けていた。


 ふと隣にあった箪笥の上に置かれていた。今は伏せられたままの写真を一瞥し、再びモニターに目線を戻した。


 雨の日曜日。いつも通り自分には関係ないと、無関心に情報だけをただ眼球に映し出し、何処か別の世界の話の様に読み上げられていくニュースを見ていた。


〝続きまして、今朝未明、、、、、、〝


 ふと目にしたニュースに涙が思わず流れた。自分の子が自慰行為をやめず躾と称し命を奪ったと言う。


 何故、親は分からなかったのであろう。自慰行為をやめさせるのは大切な事である。しかし、子どものそれは大人とは意味合いが違う。


 ふと、昔の弟の事を思い出していた。一時期に股間を触るのが癖でよく咎めた覚えがある。成長と共に癖はなくなり、何故そうしてしまったのかは私が大人になってから知った。


 自分の恥部を触る。それは人恋しさや愛情欲しさから来る行為の場合があるらしい。思えば弟はまだ小さかったが、母が妊娠中だった為にそうなってしまったのかも知れない。


 ティッシュで涙と鼻をかみ、自分の興味の無いチャンネルに変えると立ち上がる。ゴミ箱に入っていた印の付いたカレンダーに、ティッシュを投げつけると上手くゴミ箱に入った。


 一人では広く感じる部屋の中、望んだ所で叶わなかった事を悔いても仕方ない。引越しの荷物の続きでもしようか。
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