生贄ナウ

★白狐☆

文字の大きさ
4 / 6

強襲と遭遇

しおりを挟む
ーーーーーー西暦2270年。


 宇宙旅行がマストとなった時代。人類史上初の、時間の遡りを可能とした装置を開発したアラダ.ユミコ.ノアという人物が、利権と秩序と正統正常派閥内の過激派に暗殺された事から始まる。


 時間の遡りを可能とすれば、自国の絶対勝利は勿論の事。過去の過ちや失敗を回避し続け成功と栄光のみを手にする事が出来る。


 そんな夢を可能とする一人勝ちの確約された装置は、日本国内だけでなく海外から装置に関しての秘密を手に入れようと躍起になる国も現れる始末であった。


 国内の利権争いにつぎ海外勢力の脅威は苛烈を極め、やがて小さな火種は大きな火種へと変わるまでに時間は掛からなかった。


 戦争という最終手段は、だった一つの装置を巡り、日本対世界という構図を日本以外が満場一致で認めるまで時間が掛かるはずも無かった。


「今の状況こそ異常なのだよ。もし、あの装置が本物であればこの事態に対しての沈静化にまず使うべきだろう」


 時の総理はそう言い、極秘裏に有人でのタイムトラベルの決行を決意したのだった。


 いきなりの有人での時間移動など倫理的にも人権的にも許される事ではなかったが、戦争を回避できアラダ.ユミコ.ノアという科学者がこの世から不条理に居なくなる事を阻止出来るならばとの決断であった。


 この決断が功を奏し、アラダ.ユミコ.ノアが時間移動装置を完成させる直前に、時間を既に超えた勇気ある国の職員が事情を説明し、この装置は世間には報告せずに国の管理する物として秘密裏に開発が続けられたのだった。


 それがアズキ達の時代から約五十年前の話である。装置は公表されていない為、アズキ達の時代であっても知る者は少なく、国の極秘裏に保有する兵器としての扱いとなっていた。


ーーーーーー有人での時間移動の成功から十年が経ったある日、それは突然起こった。


 それは時間移動の時に起こるべくして起こる現象であった。時間移動の欠点が片道切符である事は今では既に関係者内では周知の事実となっていた。


 つまり、時間を遡ると戻って来れないのである。一度目の時間移動の際に移動を終えた先で、タイムマシン自体が消失していた事に始まる。


 初めは設計ミスや、計算ミスからそうなってしまうのかと思われたが、何度無人実験を繰り返しても機械だけが消失する現象は直らなかった。


 そんな不安定な片道切符の時間移動は、安全が確認出来なかった為、一度目の有人実験以降は全く行わなかった。そして、無人実験を繰り返してはいたが、何の進歩もないまま時は過ぎる。


 そして突然転機は現れる。一人の元国の職員が意を決し、自ら名乗り出た事で二度目の有人実験がようやく決行されるに至った。


 この時、既に十年の月日が流れており、この職員こそ初めて有人時間移動を成功させたクルーのうちの一人でもあった。


 二度目の有人時間移動を行った際。一週間
の時間の遡りを行い、実質的には成功をおさめる事になったが、一つの状況変化に気がついた職員はそれを報告すると再び違った問題となった。


 時間を戻った際、元いた人間が残っていれば同じ時間に同じ人間が二人いる事になる。俗に言うタイムパラドックスと呼ばれる現象を引き起こす代表的な例でもある。


 しかし、実際には同じ時間に二人の人物は存在出来ない様で、元いた人物は心太式に別の並行世界へ押し出される事が分かった。


 つまり、この時間移動は使えば使う程、タイムパラドックスが起こり続け、また今のこの世界も複数人の時間移動者が存在している
時点で、今ある世界は書き換えられた世界であり元には戻せないのだと発見した。


 此処までで話は終わるはずであった。しかし、並行世界と呼ばれる違う次元の同じ世界があると言う事は、押し出して無かったはずの場所を奪うという事になるが、逆もまた然りであった。


 つまり、二度目の有人時間移動の際に名乗りを上げた職員は、二度目の時間移動を成功させた後に、並行世界の自分自身に追い出された事から異常は始まる事になる。


 知らず知らずとはいえ、自分達だってやってしまっていた事態に、初めはただ怯えることすら出来なかったが、事態に慣れた頃にはとにかくこの悪循環をどう断つかだけを考え始めた。


 もし、この世がミルクレープの層の一枚に過ぎないとしたら、一度歪めば他の層に波上的に伝染されてしまう。歪みはやがて元いた場所を全く違う物に変えてしまう。


 そうして歪みからやがて生まれた時間の膿の様なものが、時間の狭間の世界。それが、今いる場所の正体なのだと見つけたまでは良かった。


 その狭間の世界から、有人時間移動を成功させた英雄と呼ばれるべき職員だったが、狭間の世界の人に突如として入れ替わった。周りの人間からは入れ替わったというより別人になったように感じたという。


 甲冑を着込み、手にはロングソードが携えらており、肩からは肉食獣に噛まれた様な痕が刻みこまれていた。


 同じ部分は顔だけで、話す言語も違えば好きな食べ物や知識も自分達が知っているものと偏りが顕著に現れていた。


 あまりの出来事に、一同騒然となったが甲冑を着込んだ職員がやって来た時間軸の計算と、別の並行世界の場所の特定に二年の月日を費やす事となった。


 別次元の人とは言え、かつて数多の功績を残した職員である事に違いないと手厚くもてなしているうちに、一年で片言ではあったが会話が可能となった。


 それを切っ掛けに、彼のいた世界の話を聞く事で彼のいた世界の場所の特定に、大きな貢献になったという。


 彼が元の世界に戻る事はなかったという。しかし一同は、彼のいた場所を見つける為に更なる研究を行いさらに二十年の月日の月日が経ち今の科学技術の進歩に至る事となった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

令嬢失格な私なので

あんど もあ
ファンタジー
貴族の令息令嬢が学ぶ王都学園。 そこのカースト最下位と思われている寮生の中でも、最も令嬢らしからぬディアナ。 しかしその正体は……。

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

無限在庫チートで異世界を買い占める〜窓際おじさんが廃棄予定のカップ麺で廃村エルフと腹ペコ魔王を救済したら最強商会ができました〜

黒崎隼人
ファンタジー
物流倉庫で不良在庫の管理に追われるだけの42歳、窓際サラリーマンのタケシ。 ある日突然、彼は見知らぬ森の中へと転移してしまう。 彼に与えられたのは、地球で廃棄される運命にあったあらゆる物資を無尽蔵に引き出せる規格外のスキル「無限在庫処分」だった。 賞味期限間近のカップ麺、パッケージ変更で捨てられるレトルトカレー、そして型落ちの電動工具。 地球ではゴミとされるこれらの品々が、異世界では最強のチートアイテムと化す! 森で倒れていたエルフの少女リリアをカップ麺で救ったタケシは、領主の搾取によって滅亡寸前だった彼女の村を拠点とし、現代の物資と物流ノウハウを駆使して商会を立ち上げる。 美味しいご飯と圧倒的な利便性で異世界の人々の胃袋と生活を掴み、村は急速に発展。 さらには、深刻な食糧難で破綻寸前だった美少女魔王ルビア率いる魔王軍と「業務提携」を結び、最強の武力を物流の護衛として手に入れる! 剣も魔法も使わない。武器は段ボールと現代の知識だけ。 窓際おじさんが圧倒的な物量で悪徳領主の経済基盤をすり潰し、異世界の常識を塗り替えていく、痛快・異世界経営スローライフ、開幕!

夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。

Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。 そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。 そんな夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。 これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。 (1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

処理中です...