生贄ナウ

★白狐☆

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強襲と遭遇

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ーーーーーー西暦2270年。


 宇宙旅行がマストとなった時代。人類史上初の、時間の遡りを可能とした装置を開発したアラダ.ユミコ.ノアという人物が、利権と秩序と正統正常派閥内の過激派に暗殺された事から始まる。


 時間の遡りを可能とすれば、自国の絶対勝利は勿論の事。過去の過ちや失敗を回避し続け成功と栄光のみを手にする事が出来る。


 そんな夢を可能とする一人勝ちの確約された装置は、日本国内だけでなく海外から装置に関しての秘密を手に入れようと躍起になる国も現れる始末であった。


 国内の利権争いにつぎ海外勢力の脅威は苛烈を極め、やがて小さな火種は大きな火種へと変わるまでに時間は掛からなかった。


 戦争という最終手段は、だった一つの装置を巡り、日本対世界という構図を日本以外が満場一致で認めるまで時間が掛かるはずも無かった。


「今の状況こそ異常なのだよ。もし、あの装置が本物であればこの事態に対しての沈静化にまず使うべきだろう」


 時の総理はそう言い、極秘裏に有人でのタイムトラベルの決行を決意したのだった。


 いきなりの有人での時間移動など倫理的にも人権的にも許される事ではなかったが、戦争を回避できアラダ.ユミコ.ノアという科学者がこの世から不条理に居なくなる事を阻止出来るならばとの決断であった。


 この決断が功を奏し、アラダ.ユミコ.ノアが時間移動装置を完成させる直前に、時間を既に超えた勇気ある国の職員が事情を説明し、この装置は世間には報告せずに国の管理する物として秘密裏に開発が続けられたのだった。


 それがアズキ達の時代から約五十年前の話である。装置は公表されていない為、アズキ達の時代であっても知る者は少なく、国の極秘裏に保有する兵器としての扱いとなっていた。


ーーーーーー有人での時間移動の成功から十年が経ったある日、それは突然起こった。


 それは時間移動の時に起こるべくして起こる現象であった。時間移動の欠点が片道切符である事は今では既に関係者内では周知の事実となっていた。


 つまり、時間を遡ると戻って来れないのである。一度目の時間移動の際に移動を終えた先で、タイムマシン自体が消失していた事に始まる。


 初めは設計ミスや、計算ミスからそうなってしまうのかと思われたが、何度無人実験を繰り返しても機械だけが消失する現象は直らなかった。


 そんな不安定な片道切符の時間移動は、安全が確認出来なかった為、一度目の有人実験以降は全く行わなかった。そして、無人実験を繰り返してはいたが、何の進歩もないまま時は過ぎる。


 そして突然転機は現れる。一人の元国の職員が意を決し、自ら名乗り出た事で二度目の有人実験がようやく決行されるに至った。


 この時、既に十年の月日が流れており、この職員こそ初めて有人時間移動を成功させたクルーのうちの一人でもあった。


 二度目の有人時間移動を行った際。一週間
の時間の遡りを行い、実質的には成功をおさめる事になったが、一つの状況変化に気がついた職員はそれを報告すると再び違った問題となった。


 時間を戻った際、元いた人間が残っていれば同じ時間に同じ人間が二人いる事になる。俗に言うタイムパラドックスと呼ばれる現象を引き起こす代表的な例でもある。


 しかし、実際には同じ時間に二人の人物は存在出来ない様で、元いた人物は心太式に別の並行世界へ押し出される事が分かった。


 つまり、この時間移動は使えば使う程、タイムパラドックスが起こり続け、また今のこの世界も複数人の時間移動者が存在している
時点で、今ある世界は書き換えられた世界であり元には戻せないのだと発見した。


 此処までで話は終わるはずであった。しかし、並行世界と呼ばれる違う次元の同じ世界があると言う事は、押し出して無かったはずの場所を奪うという事になるが、逆もまた然りであった。


 つまり、二度目の有人時間移動の際に名乗りを上げた職員は、二度目の時間移動を成功させた後に、並行世界の自分自身に追い出された事から異常は始まる事になる。


 知らず知らずとはいえ、自分達だってやってしまっていた事態に、初めはただ怯えることすら出来なかったが、事態に慣れた頃にはとにかくこの悪循環をどう断つかだけを考え始めた。


 もし、この世がミルクレープの層の一枚に過ぎないとしたら、一度歪めば他の層に波上的に伝染されてしまう。歪みはやがて元いた場所を全く違う物に変えてしまう。


 そうして歪みからやがて生まれた時間の膿の様なものが、時間の狭間の世界。それが、今いる場所の正体なのだと見つけたまでは良かった。


 その狭間の世界から、有人時間移動を成功させた英雄と呼ばれるべき職員だったが、狭間の世界の人に突如として入れ替わった。周りの人間からは入れ替わったというより別人になったように感じたという。


 甲冑を着込み、手にはロングソードが携えらており、肩からは肉食獣に噛まれた様な痕が刻みこまれていた。


 同じ部分は顔だけで、話す言語も違えば好きな食べ物や知識も自分達が知っているものと偏りが顕著に現れていた。


 あまりの出来事に、一同騒然となったが甲冑を着込んだ職員がやって来た時間軸の計算と、別の並行世界の場所の特定に二年の月日を費やす事となった。


 別次元の人とは言え、かつて数多の功績を残した職員である事に違いないと手厚くもてなしているうちに、一年で片言ではあったが会話が可能となった。


 それを切っ掛けに、彼のいた世界の話を聞く事で彼のいた世界の場所の特定に、大きな貢献になったという。


 彼が元の世界に戻る事はなかったという。しかし一同は、彼のいた場所を見つける為に更なる研究を行いさらに二十年の月日の月日が経ち今の科学技術の進歩に至る事となった。
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