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第1章 タロットカード
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「いや~、やっぱお前の占いよく当たるわ~」
「そうかな?役に立てたのならよかったよ」
「今後もよろしく頼むぜ、宇宮拓人くん」
「わかったわかった」
拓人は肩に腕を回して笑う友人につられ、笑顔を浮かべた。
「あ、今日僕ちょっと買うものがあるからここで」
「おっ、また占いの何かか?飽きないね~」
「趣味に飽きるも飽きないもないよ」
拓人は友人に別れを告げ、一つの建物に入った。中に入ると外の明るい雰囲気は消え、少し暗く淡い世界に包まれる。
六芒星のペンダント、アロマスプレー、パワーストーン…
ここは占いグズッズなどを取り扱う芒星堂という店だ。
宇宮拓人は占いをやっている。やっていると言っても占い師のような専門家ではなく、学校の友達を占ってあげるような個人趣味である。
始めたきっかけはテレビで見た手相占い。手のしわで今後が予想できてしまうという衝撃が拓人を惹きつけていた。拓人は本を買い漁り、占いに没頭した。
しかし最近、拓人は別の占いに興味を持ち、今日はその道具を買いに来たのだった。
「えーっと、タロットカードっと…。これか…結構種類あるんだな」
拓人はガラスケースに入れられたタロットカードの数々を眺めた。絵柄、雰囲気、値段…それぞれが色々なところで個性を発揮している。
「どれにしようかな…。やっぱりこれからパートナーとして占いをしてもらうんだし、一番気に入ったものを…」
そこで拓人は一つのタロットカードに目をとめた。パッケージの絵がとても繊細で綺麗だ。いや、それだけなら他のタロットカードも同等である。しかし、このタロットカードには何か惹かれるものを感じたのだ。もちろん拓人は霊能力的なものを持っているわけではないので、何かの気を感じるようなはっきりしたものはないが、なぜかこのタロットカードを使いたいという衝動に襲われたのだ。
拓人はそのタロットカードの値札に視線を移す。
「げっ!一万二千円?!」
想像以上の値段に拓人は思わず声をあげた。明らかに他のもの桁が違う。
拓人は財布を取り出し、すかさず相談を始める。今朝下ろしてきたばかりの福沢諭吉がこちらを見つめていた。
拓人は冷や汗を流し、諭吉とタロットカードを交互に見つめた。
値段的には痛いところがあるが、このカードを諦めることはできない気がした。
「すみません、このタロットカードください」
「ありがとうございました」
外へ出ると、占い店独特の雰囲気から解放され、清々しい風が吹いた。
「買ってしまった…」
しかし後悔はなかった。あのまま諦めていた方がきっと後悔していただろう。
拓人はそう思いながら軽くなった財布を見て苦笑をこぼす。
しばらくは出費を抑えなければいけないな。
「ただいま」
拓人は玄関のドアを開け呟いた。返事がないのはわかっている。これはもう癖のようなものだ。
小さなアパート。拓人はここで妹と暮らしている。両親は…もう、この世にいない。
昔、拓人が中学三年生の時である。両親は殺された。
妹と二人、友達と遊びに行っていた時のことだ。家に帰ると室内に異臭が立ち込めていた。奇妙な静けさが…そして、
赤いものが…部屋を染め上げていた。
荒らされた部屋。妹と二人その場で立ちつくした。
不思議と涙も叫びも出なかった。恐怖がなかったわけじゃない。状況が掴めなかったのだ。
先に思考が回り始めたのは妹だった。
「うあああああ…!!」
妹の絶叫に無我夢中で警察に連絡したのを覚えている。
その後の記憶は曖昧だ。
警察によると、両親は殺人事件に巻き込まれたらしい。隣町でも似たような事件があったようだ。犯人は拓人が高校二年生になった今も捕まっていない。大切な両親を殺した犯人を、拓人は今まで許したことがない。許そうとも思っていない。
両親を失った拓人たちは、しばらく他人のように冷たく笑わない人になっていた。心の中に溜まるのは負の感情ばかりであった。
その後、祖父母たちに薦めてもらい、拓人が高校に上がると同時にこの街へ来てアパートを借りた。妹は祖父母に引き取ってもらうつもりだったのだが、妹本人の希望で一緒に暮らすことになった。
祖父母の提案は正しく、新しい環境は拓人たちの傷を少しづつではあったが癒していった。今では沢山の友達もでき、拓人たちは充実した毎日を送っている。
「優花はまだ部活か」
妹の優花はテニス部に所属している。頭脳はともかく、スポーツは人一倍のスポーツ少女だ。
そういえばもうすぐ大会だと言っていた。最近帰りが遅いのはきっとその練習のせいだろう。
アパート内はキッチンと二つの部屋がある。二つの部屋はそれぞれ拓人と妹の部屋になっている。
拓人は自分の部屋に入り机に荷物を降ろすと、今日買ったタロットカードを取り出した。
丁寧にカードを箱から取り出していく。繊細な絵が拓人を見つめるように顔を出した。
その時、箱から音もなく一枚の黒い紙が机の上に落ちた。拓人は説明書のようなものかと思い、それを拾い上げた。
カードサイズの黒い紙。説明を表記するにはあまりにも小さい気がした。
そしてその紙に書かれた「赤い文字」に目を通した瞬間、拓人の体に悪寒が走った。鳥肌が立つのが嫌でもわかる。
『全カードを一度シャッフルし、その中から一枚引き出してください。これは必ず行ってください。行なわなかった場合、あなたはカードに殺されます』
殺され…?
は…?
いやいや冗談だろ。
拓人は慌ててその紙から目を離した。黒に支配されていた視界が世界の色を取り戻す。
冗談だと思っている反面、体は震えていた。誰かに見られている錯覚に襲われ、冷や汗が止まらない。
これは呪いのカードか何かなのだろうか。それとも制作側のいたずらなのか。
「カードに殺されます」と書かれている割にカードは普通だ。絵が動き出したり、急に喋り出したりする気配もない。
いたずらか何かだとしても、この紙の指示に従って損はないだろう。
拓人は馬鹿馬鹿しいと思いつつ、買ったばかりのタロットカードをシャッフルした。
「この中から一枚…」
拓人は変な緊張感とともにカードを一枚引き出した。
「死神…」
タロットカードの中に入っているカードなのだから何も驚くことはない。しかし先ほどの内容も合わさって、拓人は過剰な恐怖心に襲われた。
「…?!」
次の瞬間、突如部屋の中に強風が吹き荒れた。薄く目を開けると、強風の中心にカードがあることに気づいた。まるでカードから発生した竜巻だ。
部屋が無造作に荒らされていく。窓が強風に負け、ガンガンと派手な音を立てた。
目も開けられなくなり理解不能な状況下、ゆっくりと風が落ち着いていくと同時に、呑気な声が部屋に響いた。
「俺を引くとは、君はとてもツイてるねぇ」
拓人は一瞬、言葉の存在を忘れた。
真っ黒なフード、揺れる白髪。その下から覗く黄色い左目。そして…大鎌。
「死…神…」
「そう、俺は死神。呼び名はモルテ」
「モルテ…」
空気が揺らいだ。
「…っ!」
その瞬間、拓人の首元に大鎌の刃が当てられていた。黄色い瞳が笑いながら拓人に問う。
「君は死にたい?それとも殺されたい?」
拓人は状況を理解するまで、ただただその死神を見つめることしかできなかった。
「早く答えなよ」
「…どちらでも…ないです…」
ようやく言葉を絞り出した後、拓人は歯を食いしばった。そうでもしないと震えを抑えることができなかったのだ。
「どちらでもない?嘘をつくなよ。…あぁ、もしかして君は」
「別の誰かを殺したいって体かな?」
死神はニヤリと笑うと、大鎌を僕の首に振り下ろした。
「そうかな?役に立てたのならよかったよ」
「今後もよろしく頼むぜ、宇宮拓人くん」
「わかったわかった」
拓人は肩に腕を回して笑う友人につられ、笑顔を浮かべた。
「あ、今日僕ちょっと買うものがあるからここで」
「おっ、また占いの何かか?飽きないね~」
「趣味に飽きるも飽きないもないよ」
拓人は友人に別れを告げ、一つの建物に入った。中に入ると外の明るい雰囲気は消え、少し暗く淡い世界に包まれる。
六芒星のペンダント、アロマスプレー、パワーストーン…
ここは占いグズッズなどを取り扱う芒星堂という店だ。
宇宮拓人は占いをやっている。やっていると言っても占い師のような専門家ではなく、学校の友達を占ってあげるような個人趣味である。
始めたきっかけはテレビで見た手相占い。手のしわで今後が予想できてしまうという衝撃が拓人を惹きつけていた。拓人は本を買い漁り、占いに没頭した。
しかし最近、拓人は別の占いに興味を持ち、今日はその道具を買いに来たのだった。
「えーっと、タロットカードっと…。これか…結構種類あるんだな」
拓人はガラスケースに入れられたタロットカードの数々を眺めた。絵柄、雰囲気、値段…それぞれが色々なところで個性を発揮している。
「どれにしようかな…。やっぱりこれからパートナーとして占いをしてもらうんだし、一番気に入ったものを…」
そこで拓人は一つのタロットカードに目をとめた。パッケージの絵がとても繊細で綺麗だ。いや、それだけなら他のタロットカードも同等である。しかし、このタロットカードには何か惹かれるものを感じたのだ。もちろん拓人は霊能力的なものを持っているわけではないので、何かの気を感じるようなはっきりしたものはないが、なぜかこのタロットカードを使いたいという衝動に襲われたのだ。
拓人はそのタロットカードの値札に視線を移す。
「げっ!一万二千円?!」
想像以上の値段に拓人は思わず声をあげた。明らかに他のもの桁が違う。
拓人は財布を取り出し、すかさず相談を始める。今朝下ろしてきたばかりの福沢諭吉がこちらを見つめていた。
拓人は冷や汗を流し、諭吉とタロットカードを交互に見つめた。
値段的には痛いところがあるが、このカードを諦めることはできない気がした。
「すみません、このタロットカードください」
「ありがとうございました」
外へ出ると、占い店独特の雰囲気から解放され、清々しい風が吹いた。
「買ってしまった…」
しかし後悔はなかった。あのまま諦めていた方がきっと後悔していただろう。
拓人はそう思いながら軽くなった財布を見て苦笑をこぼす。
しばらくは出費を抑えなければいけないな。
「ただいま」
拓人は玄関のドアを開け呟いた。返事がないのはわかっている。これはもう癖のようなものだ。
小さなアパート。拓人はここで妹と暮らしている。両親は…もう、この世にいない。
昔、拓人が中学三年生の時である。両親は殺された。
妹と二人、友達と遊びに行っていた時のことだ。家に帰ると室内に異臭が立ち込めていた。奇妙な静けさが…そして、
赤いものが…部屋を染め上げていた。
荒らされた部屋。妹と二人その場で立ちつくした。
不思議と涙も叫びも出なかった。恐怖がなかったわけじゃない。状況が掴めなかったのだ。
先に思考が回り始めたのは妹だった。
「うあああああ…!!」
妹の絶叫に無我夢中で警察に連絡したのを覚えている。
その後の記憶は曖昧だ。
警察によると、両親は殺人事件に巻き込まれたらしい。隣町でも似たような事件があったようだ。犯人は拓人が高校二年生になった今も捕まっていない。大切な両親を殺した犯人を、拓人は今まで許したことがない。許そうとも思っていない。
両親を失った拓人たちは、しばらく他人のように冷たく笑わない人になっていた。心の中に溜まるのは負の感情ばかりであった。
その後、祖父母たちに薦めてもらい、拓人が高校に上がると同時にこの街へ来てアパートを借りた。妹は祖父母に引き取ってもらうつもりだったのだが、妹本人の希望で一緒に暮らすことになった。
祖父母の提案は正しく、新しい環境は拓人たちの傷を少しづつではあったが癒していった。今では沢山の友達もでき、拓人たちは充実した毎日を送っている。
「優花はまだ部活か」
妹の優花はテニス部に所属している。頭脳はともかく、スポーツは人一倍のスポーツ少女だ。
そういえばもうすぐ大会だと言っていた。最近帰りが遅いのはきっとその練習のせいだろう。
アパート内はキッチンと二つの部屋がある。二つの部屋はそれぞれ拓人と妹の部屋になっている。
拓人は自分の部屋に入り机に荷物を降ろすと、今日買ったタロットカードを取り出した。
丁寧にカードを箱から取り出していく。繊細な絵が拓人を見つめるように顔を出した。
その時、箱から音もなく一枚の黒い紙が机の上に落ちた。拓人は説明書のようなものかと思い、それを拾い上げた。
カードサイズの黒い紙。説明を表記するにはあまりにも小さい気がした。
そしてその紙に書かれた「赤い文字」に目を通した瞬間、拓人の体に悪寒が走った。鳥肌が立つのが嫌でもわかる。
『全カードを一度シャッフルし、その中から一枚引き出してください。これは必ず行ってください。行なわなかった場合、あなたはカードに殺されます』
殺され…?
は…?
いやいや冗談だろ。
拓人は慌ててその紙から目を離した。黒に支配されていた視界が世界の色を取り戻す。
冗談だと思っている反面、体は震えていた。誰かに見られている錯覚に襲われ、冷や汗が止まらない。
これは呪いのカードか何かなのだろうか。それとも制作側のいたずらなのか。
「カードに殺されます」と書かれている割にカードは普通だ。絵が動き出したり、急に喋り出したりする気配もない。
いたずらか何かだとしても、この紙の指示に従って損はないだろう。
拓人は馬鹿馬鹿しいと思いつつ、買ったばかりのタロットカードをシャッフルした。
「この中から一枚…」
拓人は変な緊張感とともにカードを一枚引き出した。
「死神…」
タロットカードの中に入っているカードなのだから何も驚くことはない。しかし先ほどの内容も合わさって、拓人は過剰な恐怖心に襲われた。
「…?!」
次の瞬間、突如部屋の中に強風が吹き荒れた。薄く目を開けると、強風の中心にカードがあることに気づいた。まるでカードから発生した竜巻だ。
部屋が無造作に荒らされていく。窓が強風に負け、ガンガンと派手な音を立てた。
目も開けられなくなり理解不能な状況下、ゆっくりと風が落ち着いていくと同時に、呑気な声が部屋に響いた。
「俺を引くとは、君はとてもツイてるねぇ」
拓人は一瞬、言葉の存在を忘れた。
真っ黒なフード、揺れる白髪。その下から覗く黄色い左目。そして…大鎌。
「死…神…」
「そう、俺は死神。呼び名はモルテ」
「モルテ…」
空気が揺らいだ。
「…っ!」
その瞬間、拓人の首元に大鎌の刃が当てられていた。黄色い瞳が笑いながら拓人に問う。
「君は死にたい?それとも殺されたい?」
拓人は状況を理解するまで、ただただその死神を見つめることしかできなかった。
「早く答えなよ」
「…どちらでも…ないです…」
ようやく言葉を絞り出した後、拓人は歯を食いしばった。そうでもしないと震えを抑えることができなかったのだ。
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