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第2章 メイドとして
迷子の男の子
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「うん。これで大丈夫ね」
メイド長が満足げに頷く。
翌朝、ロゼが来ていたのはメイド服ではなかった。変わりに来ていたのはフード付きのよそ行き服だ。と言ってもそんな豪華なものではなく、動きやすさを重視した身軽なものだ。
「街中はメイド服じゃ目立つからね。みんなその服を着ることになってるの。フードが付いているのは初めてだけれど。ユリナが一晩かけてつけてくれたのよ。それで瞳はともかく、髪は隠れるでしょう?」
ロゼは今日買い出しの当番で街に赴く日だった。その中で青い髪が目立たないようにと服にフードをメイド仲間がつけてくれたのだ。
「ありがとうございます、ユリナさん」
「いいのいいの。気に入ってもらえたなら何よりよ」
ロゼはフードをかぶってみた。深めのフードは目立ってしまう髪を難なく隠してくれた。
「街への行き方は地図を見て分かるわね。行きつけの店はここ。この通りをまっすぐいったテント街の一角にあるわ。そしてこれが買い出しのメモね」
ロゼはメイド長に渡された地図とメモを交互に見つめた。テント街への行き方は城から出てそう遠くないので迷うことはないだろう。あとはお店を間違わないことだ。
「わかりました。行ってきます」
「気をつけてね。いってらっしゃい」
メイド仲間に見送られてロゼは城を後にした。
****************
「この通りをまっすぐ…」
ロゼは地図で自分のいる位置を確認しながらテント街に向かっていた。
「う…うっ、ひくっ…」
その時聞こえてきた声にロゼは足を止め、視線を上げた。明らかに子供の泣き声だ。見ると道の先に座り込んで泣いている男の子がいた。ロゼは迷うことなく男の子へ近づいていく。
「どうしたの?大丈夫?」
そっと声をかけると男の子は顔を上げ、ロゼを見つめた。その瞳には大粒の涙が溜まっている。
「お父さんと喧嘩して、お家飛び出したら迷子になっちゃった…うぅ…」
ロゼは泣きじゃくる男の子の頭を撫でると「じゃあ一緒にお家まで送って行ってあげる」と言って地図を見つめた。
「お家はどの辺かわかる?」
ロゼは地図を見せたが男の子は首を振った。案の定地図は難しかったようだ。
「んー…じゃあお家の周りに何か目立ったものとかなかった?」
男の子はしばらく考え込んだ後こう言った。
「お家の周りにいっぱいテントがあった」
それを聞いてロゼはテント街だと確信した。行き先はロゼと同じだ。
「わかった。お姉ちゃんも今からそこに行くから一緒に行こう」
ロゼは男の子の手をとってゆっくり歩き出した。幸いテント街はこの通りを抜けてすぐだ。男の子はきっとどこからか裏道に入ってここにきてしまったのだろう。
「ちゃんとお家に帰れるからね」
「うん」
ロゼは男の子を励ましながら通りを抜けていった。
****************
「うわぁ…テント街ってこんなところなんだ」
ロゼは通りを抜けるなり思わず声をあげた。
小さい頃から青い髪や瞳は良くも悪くも目立って危ないからと、ロゼの家ではお父さんが買い物に行くことに決まっていた。そのためロゼが街に来たのは初めてのことであった。
「お姉ちゃんここ来るの初めてなの?」
男の子が心配そうに尋ねた。
「あ、うん。でも大丈夫。ちゃんとお家見つけるまで一緒にいるからね。にしてもテント街って結構広いんだなぁ。お家どの辺なんだろう」
ロゼは辺りを見渡した。街一角がお店のテントで埋まっている。男の子のお家もきっと何かの店をやっているのだろう。テント街は買い物をする人々で賑わっていた。
「じゃあ順に回っていこうか」
ロゼはそう言って、はぐれないように男の子の手を握りなおすと、男の子のペースに合わせてゆっくりと歩き出した。男の子のお家を探すついでに自分が行くべき店も確認していく。
「今日も新鮮な果物揃ってますよー!」
「おいしいお魚はいかが?」
「そこのお姉ちゃん、このドレス試してみないかい?」
たくさんの声が飛び交う中ロゼは歩みを進めていた。しかしその途中、男の子が急に立ち止まった。
「どうしたの?」
「…お腹すいた」
男の子はそういうとしゃがみ込んでしまった。
「大丈夫?ご飯食べてないの?」
「うん。昨日夜にパンを一つ食べたっきり何も食べてない…」
ロゼはそれを聞いて驚いた。パン一つじゃまともな食事とは言えないだろう。しかも朝食は食べていないという。
「待ってて!」
ロゼは男の子をテント街の端に座らせると、一つのお店に向かった。
「すみません。このベーコンチーズのパイひとつください」
「はいよ」
ロゼはパイをひとつ買うと、男の子の元へ戻った。買い出しのお金を使ってしまい、怒られるのは確定だ。しかし今はそんなことどうでもよかった。
「これ食べて」
「え、でも…」
「気にしなくていいから。お腹空いてるんでしょ?これからまだ歩くだろうし、元気出して欲しいから」
「ありがとう、お姉ちゃん」
男の子は嬉しいそうにパイにかじりついた。ロゼはその笑顔を見ながらそっと癒されていた。
パイを食べ終えた後、ロゼたちは再びお家探しを始めていた。テント街に入ってから随分と歩いたが男の子の家は現れない。
その時、テント街の隙間から海風が吹いた。
ふわっとロゼのフードが持ち上げられる。
「あ…」
気づいた時にはもう手遅れだった。辺りから物珍しそうな視線が注がれる。男の子もロゼのなびく髪を見て口を開けていた。
ロゼは慌ててフードを被りなおすと、男の子の手を引いて歩き出した。
「あ!お父さん!」
そこから数歩歩いた時、男の子は嬉しそうに駆け出していった。どうやらお家が見つかったらしい。
「よかったぁ…」
ロゼは安堵の息を漏らした。さっきの出来事のせいで心臓は無駄にばくばくしている。
「お嬢ちゃん!」
ロゼはハッと顔を上げた。見ると男の子のお父さんらしい親父さんがこちらに手を振っていた。
「初めまして。息子のケイを送ってくださり、ありがとうございました。ほらケイ、お礼を言いなさい」
「ありがとうございました」
ケイは親父さんに言われて頭を下げた。
「いえいえ!お家に帰れてよかったです」
「お嬢ちゃん綺麗な瞳をしてるね。まるで海を写したかのようだ。それに髪も。さっきフードが取れたのを見てしまってね」
ロゼはそう言われてあはは…と苦笑いを浮かべた。
「お嬢ちゃんどこから来たんだい?綺麗な服を着てるね。どこかの貴族の娘かな?」
「あ、いえ。私はお城で働かせていただいてるメイドです。今日は買い出しに…」
「へぇそうかい。ちょうど今うちの野菜を使ったスープができたんだが、ケイがお世話になったお詫びに食べて行かないかい?」
「ありがたいんですけど、お使いが…」
「いいからいいから」
遠慮するロゼを親父さんは笑顔で招き入れた。
「じゃあ少しだけお邪魔させていただきます」
ロゼはその笑顔に負け、お家に少しお邪魔させていただくことになった。
その時の親父さんの小さな笑みに気づく者はいなかった。
メイド長が満足げに頷く。
翌朝、ロゼが来ていたのはメイド服ではなかった。変わりに来ていたのはフード付きのよそ行き服だ。と言ってもそんな豪華なものではなく、動きやすさを重視した身軽なものだ。
「街中はメイド服じゃ目立つからね。みんなその服を着ることになってるの。フードが付いているのは初めてだけれど。ユリナが一晩かけてつけてくれたのよ。それで瞳はともかく、髪は隠れるでしょう?」
ロゼは今日買い出しの当番で街に赴く日だった。その中で青い髪が目立たないようにと服にフードをメイド仲間がつけてくれたのだ。
「ありがとうございます、ユリナさん」
「いいのいいの。気に入ってもらえたなら何よりよ」
ロゼはフードをかぶってみた。深めのフードは目立ってしまう髪を難なく隠してくれた。
「街への行き方は地図を見て分かるわね。行きつけの店はここ。この通りをまっすぐいったテント街の一角にあるわ。そしてこれが買い出しのメモね」
ロゼはメイド長に渡された地図とメモを交互に見つめた。テント街への行き方は城から出てそう遠くないので迷うことはないだろう。あとはお店を間違わないことだ。
「わかりました。行ってきます」
「気をつけてね。いってらっしゃい」
メイド仲間に見送られてロゼは城を後にした。
****************
「この通りをまっすぐ…」
ロゼは地図で自分のいる位置を確認しながらテント街に向かっていた。
「う…うっ、ひくっ…」
その時聞こえてきた声にロゼは足を止め、視線を上げた。明らかに子供の泣き声だ。見ると道の先に座り込んで泣いている男の子がいた。ロゼは迷うことなく男の子へ近づいていく。
「どうしたの?大丈夫?」
そっと声をかけると男の子は顔を上げ、ロゼを見つめた。その瞳には大粒の涙が溜まっている。
「お父さんと喧嘩して、お家飛び出したら迷子になっちゃった…うぅ…」
ロゼは泣きじゃくる男の子の頭を撫でると「じゃあ一緒にお家まで送って行ってあげる」と言って地図を見つめた。
「お家はどの辺かわかる?」
ロゼは地図を見せたが男の子は首を振った。案の定地図は難しかったようだ。
「んー…じゃあお家の周りに何か目立ったものとかなかった?」
男の子はしばらく考え込んだ後こう言った。
「お家の周りにいっぱいテントがあった」
それを聞いてロゼはテント街だと確信した。行き先はロゼと同じだ。
「わかった。お姉ちゃんも今からそこに行くから一緒に行こう」
ロゼは男の子の手をとってゆっくり歩き出した。幸いテント街はこの通りを抜けてすぐだ。男の子はきっとどこからか裏道に入ってここにきてしまったのだろう。
「ちゃんとお家に帰れるからね」
「うん」
ロゼは男の子を励ましながら通りを抜けていった。
****************
「うわぁ…テント街ってこんなところなんだ」
ロゼは通りを抜けるなり思わず声をあげた。
小さい頃から青い髪や瞳は良くも悪くも目立って危ないからと、ロゼの家ではお父さんが買い物に行くことに決まっていた。そのためロゼが街に来たのは初めてのことであった。
「お姉ちゃんここ来るの初めてなの?」
男の子が心配そうに尋ねた。
「あ、うん。でも大丈夫。ちゃんとお家見つけるまで一緒にいるからね。にしてもテント街って結構広いんだなぁ。お家どの辺なんだろう」
ロゼは辺りを見渡した。街一角がお店のテントで埋まっている。男の子のお家もきっと何かの店をやっているのだろう。テント街は買い物をする人々で賑わっていた。
「じゃあ順に回っていこうか」
ロゼはそう言って、はぐれないように男の子の手を握りなおすと、男の子のペースに合わせてゆっくりと歩き出した。男の子のお家を探すついでに自分が行くべき店も確認していく。
「今日も新鮮な果物揃ってますよー!」
「おいしいお魚はいかが?」
「そこのお姉ちゃん、このドレス試してみないかい?」
たくさんの声が飛び交う中ロゼは歩みを進めていた。しかしその途中、男の子が急に立ち止まった。
「どうしたの?」
「…お腹すいた」
男の子はそういうとしゃがみ込んでしまった。
「大丈夫?ご飯食べてないの?」
「うん。昨日夜にパンを一つ食べたっきり何も食べてない…」
ロゼはそれを聞いて驚いた。パン一つじゃまともな食事とは言えないだろう。しかも朝食は食べていないという。
「待ってて!」
ロゼは男の子をテント街の端に座らせると、一つのお店に向かった。
「すみません。このベーコンチーズのパイひとつください」
「はいよ」
ロゼはパイをひとつ買うと、男の子の元へ戻った。買い出しのお金を使ってしまい、怒られるのは確定だ。しかし今はそんなことどうでもよかった。
「これ食べて」
「え、でも…」
「気にしなくていいから。お腹空いてるんでしょ?これからまだ歩くだろうし、元気出して欲しいから」
「ありがとう、お姉ちゃん」
男の子は嬉しいそうにパイにかじりついた。ロゼはその笑顔を見ながらそっと癒されていた。
パイを食べ終えた後、ロゼたちは再びお家探しを始めていた。テント街に入ってから随分と歩いたが男の子の家は現れない。
その時、テント街の隙間から海風が吹いた。
ふわっとロゼのフードが持ち上げられる。
「あ…」
気づいた時にはもう手遅れだった。辺りから物珍しそうな視線が注がれる。男の子もロゼのなびく髪を見て口を開けていた。
ロゼは慌ててフードを被りなおすと、男の子の手を引いて歩き出した。
「あ!お父さん!」
そこから数歩歩いた時、男の子は嬉しそうに駆け出していった。どうやらお家が見つかったらしい。
「よかったぁ…」
ロゼは安堵の息を漏らした。さっきの出来事のせいで心臓は無駄にばくばくしている。
「お嬢ちゃん!」
ロゼはハッと顔を上げた。見ると男の子のお父さんらしい親父さんがこちらに手を振っていた。
「初めまして。息子のケイを送ってくださり、ありがとうございました。ほらケイ、お礼を言いなさい」
「ありがとうございました」
ケイは親父さんに言われて頭を下げた。
「いえいえ!お家に帰れてよかったです」
「お嬢ちゃん綺麗な瞳をしてるね。まるで海を写したかのようだ。それに髪も。さっきフードが取れたのを見てしまってね」
ロゼはそう言われてあはは…と苦笑いを浮かべた。
「お嬢ちゃんどこから来たんだい?綺麗な服を着てるね。どこかの貴族の娘かな?」
「あ、いえ。私はお城で働かせていただいてるメイドです。今日は買い出しに…」
「へぇそうかい。ちょうど今うちの野菜を使ったスープができたんだが、ケイがお世話になったお詫びに食べて行かないかい?」
「ありがたいんですけど、お使いが…」
「いいからいいから」
遠慮するロゼを親父さんは笑顔で招き入れた。
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