現世と隠世の狭間にて、

まつやまぽんた

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ようこそ、隠世へ

此処が『 あの世?』

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『いや、訳がわからない訳がわからない』
独り言をぼそぼそと呟きまくる

回りを行き来するアヤカシたちは
独り言を言う私を怪しいものを見る様な眼で私をみる

濃い赤紫の空、まわりには提灯をぶら下げた屋台が沢山ある市場だろうか
辺り一面提灯のオレンジ色の灯りが所狭しと見える
特にお祭りとかいう訳では、なさそうだ

尻尾があるアヤカシ 角が生えた鬼の様なアヤカシ
美しく過ぎる艶やかな着物のアヤカシ
皆人間の様な風貌だ。幼い見た目から若い子、大人、老人
アヤカシたちは楽しそうに会話しガヤガヤと騒がしい

にしても、人間の私が居るのに皆興味を示さないなあ
あれじゃないの!?食っちまうぞ~とか!嫁になれ!とか

考えを巡らせていると、うさぎの様な耳をした
可愛いらしい子供の様なアヤカシに声をかけられた

「こんにちは!現世と隠世の狭間にようこそデス~!」
私がはてな となっていることもスルーし
キャピキャピした可愛い声で話を続ける、

「まずは住民登録をお願いするデスよ~!」
これには流石の私も『ははは ちょちょちょ!あんたさっきから何言ってる理由?私は人間よ!』

「ハイ!分かってマスよ~あなたは人間界つまり現世から隠世との狭間に来たのデス!詳しくは役所で説明してくれマスよ!役所はこの道を真っっ直ぐ進んで右手側の黒くて大きな建物デスよ!」
『あっ!待ってよ!』

私の制止も聞かずぴょんぴょんと跳ねて人混みへと奴は消えた
とりあえず、言われた通り役所へと進む。
『ここか、、』

真っ黒な壁と屋根レトロな外観にクロネコの形をした看板には
「ヤクシヨ」と紫の文字で書かれていた。
分厚いドアを開けると、キィィ...と気の軋む音

中の壁は黒く床は紫。いかにもあの世らしい
役所に来たであろうアヤカシたちもちらほらいる
窓口を見渡すと一つ間窓口がある
看板を見ると「現世のコト諸々」と書かれている

窓口のお姉さんは紅の髪に
アラビアンを感じさせる洋服
美人な姉御、といった所か 煙管をふかしながら
窓の外を見ていかにも気だるいそうに座っている

恐る恐る声をかける『す、すいませぇん』

「あら~ど~も~久々のお客様だわ~。」
『急にこの世界に来た、というか、なんというか』
私がう~んと悩んでいると、お姉さんが
「大丈夫よ、偶にあるコトなのでもすぐには元の世界には帰られない。もしかすると帰れないわね」
『ちょっと待ってよ!そんな...私死んだ理由?』

「死んだんじゃないわ、ココはわかり易く言うとあの世と現世の間よ。死んだんじゃないの、あなたみたいなニンゲンは此処ちは結構いるわよ」
「ほら、あそこに座ってるのは二年前くらいにココにきた桃ちゃん」

煙管が指す方向を見ると、角を生やした青年と
仲睦まじくお喋りをする女の子

『なぜ?なぜココにくるの?私は普段と変わらない生活をしてたのよ?』
「....人ならざる者、ね」
『...それって?』

「黄昏時、所謂、誰そ彼時」
「朝と夜の間現世と隠世が交じり合う一瞬の時、人ならざる者に出逢うかもしれない時間。」
「貴方、此処に来る時誰かに遭わなかった?...人ならざる者に」

煙管の煙が私を覆う。
そういえば誰かが後ろに居て、振り返った気がする
「貴方が出逢ったのは他でもない、貴方よ」

『はい?』

するとお姉さんはデスクの上のモニターを私に向けた
そこには私が家で食器を洗っている姿
『...こ、れは』
「誰ソ彼時、人ならざる者は生きているニンゲンに取り付くの。そしてその人を乗っ取るの」

「でもね彼らは悪さをする訳じゃない、貴方の今までの生活と全く変わらない行動をする。人になることに憧れているだけ、邪気なんてまったくないわ。」

確かに画面の中の私は会話や行動も普段通り

「この子が現世にいれば、貴方が居なくなったとは誰も思はないから安心して」
『あっ安心してって!できるわけないじゃない!いつ帰れるのよ!』
「そうね~、この子たちが満足するか、貴方が此処で生きていくかどちらかよ」
『まっ....』

待ってと言おうとした瞬間眩暈におそわれ私は倒れた
「色々あって疲れたでしょう。貴方の新しいお部屋に運んであげるわ」


目を開けると天井と電球が見えた、
横を向くと開け放たれた窓辺には赤い提灯がいくつか
連なっていて、なんともいえない空間を生み出していた。


頭が痛む、もうすこし寝よう、また明日考えれば、いいや

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