10 / 12
第一章 EXスキル本との出会い
第10話 ランクC【先端医療】の効果
しおりを挟む
ついに、ランクC【先端医療】作成に必要なスキル本が揃った。その中でも特に集めるのに苦労したのが【知識】のスキル本だ。
だが...何とか集めた。転機となったのは、バラモンの酒場で超大盛チャーハンを食べたあの日だった。その日、立て続けに【知識】のスキル本を3冊も見つけちまった。
あの超大盛チャーハン、味は最悪だけど、運気を上げる効果でもあるのか?
これまで散々探し回っても見つからなかった【知識】のスキル本が、その日はまるで示し合わせたかのようにポンポンと出てきた。本当に、見つかる時には見つかるものなんだな、としみじみ思う。
感慨深げに【知識】のスキル本を眺めていると、突然、マゼールが俺の脳内に語りかけてきた。
『お疲れさまでした!デニットさん!さあ、【先端医療】ランクD+を早速ランクCにあげちゃいませんか?』
その声を聞き、少し考え込むようにしてから俺は頷き、一息ついて静かに答えた。
「そうだな、俺も今そう思っていたよ、マゼール...!」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
俺の答えを聞いて嬉しそうに、『了解です!』と明るい声で返した後、マゼールは『コホン!』と咳払いをし、少し間を置いて続けた。
『では、ランクD+の【先端医療】と、【治療】、それに【知識】のスキル本をすべて混ぜ混ぜしちゃいますか⁉混ぜると、危険なことになりますよ~!それでも混ぜますか?』
この言い回しには、どうやら特別なこだわりがあるらしい。ポイントは、わざともったいぶるように言うことらしい。
「もちろん、イエスだ!」俺がそうマゼールに伝えると、嬉しそうに声を弾ませて答えた。
『了解です!混ぜ混ぜしちゃいますよ~!危険ですよ~!』と、どこか楽しげに言った後...。
『EXスキル、【混ぜるな危険!】の効果によって、ランクD+【先端医療】と、【治療】のランクDのスキル本、さらに【知識】のランクDのスキル本が混ざり合い、ランクCの【先端医療】となりました!』
やった!苦労したかいがあった。これで右腕が治るかもしれない。いや、治ってくれ!さらにこれで、ランクCのスキルを2つ所有することができた!
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
この世界で、Cランクのダブル持ちなんているのか?聞いたことがない。でも、仮にいるとしても、俺のように回復系と攻撃系のバランスが取れたCランク持ちは存在しないだろう。
ステータス画面を開き、至福のひと時を味わおうとすると、『コホン!』と脳内に響いた。そうだ、まずはスキルを使用して右腕の治療をしないと。
さあ、さっそく完成したスキル【先端医療】よ、俺の右腕を治してくれと強く念じた。するとその瞬間、俺の願いを聞き受けたかのように、右腕が淡い光に包まれた。
いいぞ!この調子で、俺の右腕を治しちまえ!
そして、まるで数分にも感じられる濃密な時間が過ぎ去り、淡い光が霧のように溶けていく。その後には、何度も見慣れた俺の腕が現れた。ただ、あの痛々しい傷跡はすっかり消えている...!
ついに治ったのか?俺は愛用のダガーを握り、右腕の感触を確かめた。
しかし...右腕は以前より力強く握れるものの、完全に元通りというわけではない。マゼールによると、回復は7割ほどだという。俺自身の感触ともほぼ一致している。
「くそっ!あと少しなのに!」
悔しさを滲ませながら、俺は近くに転がっていた石を蹴飛ばした。その瞬間、心が折れそうになる俺に、冷静な声がかけられる。
『大丈夫ですよ、デニットさん。方法はあります。落ち込んでいる時間があるなら、次の手を考えて行動しましょう。あなたには、私という心強い味方がついているんですから』
その優しくも力強い声に、俺は励まされた。しかし、心の奥底で疑問が湧いて来る。
マゼールは、なぜ俺にこんなにも親切にしてくれるんだ?宿主とはいえ...。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
最近では、宝箱の内容把握やスケジュール管理まで、【混ぜるな危険!】の効果を超えた働きをしてくれる。。
「マゼール、感謝してる。だけど...俺がお前にできることはないのか?ずっと頼りっぱなしで、胸が痛む。何か、俺に返せるものはないのか?」
俺は、胸にわいた気持ちをそのままマゼールにぶつけた。
『デニットさん...』
『デニットさん。私は、ずっとあの上層の隠し部屋に一人でいました。このダンジョンが誕生してから、ずっと...。意識のある者にとって、それはとても苦痛でした。でも、そんな中で貴方に見つけてもらえたんです。今...とても楽しいです。会話をすることが...。そして、貴方と一緒に行動できる喜びを感じています』
その声は、辛い思いを振り絞るように俺に語りかけてきた。こんなにも心を開いてくれるマゼール...初めてかもしれない。
何とかしてやりたい。いや、何としてでもマゼールの力になりたい...。そう俺は強く思った。
だが...何とか集めた。転機となったのは、バラモンの酒場で超大盛チャーハンを食べたあの日だった。その日、立て続けに【知識】のスキル本を3冊も見つけちまった。
あの超大盛チャーハン、味は最悪だけど、運気を上げる効果でもあるのか?
これまで散々探し回っても見つからなかった【知識】のスキル本が、その日はまるで示し合わせたかのようにポンポンと出てきた。本当に、見つかる時には見つかるものなんだな、としみじみ思う。
感慨深げに【知識】のスキル本を眺めていると、突然、マゼールが俺の脳内に語りかけてきた。
『お疲れさまでした!デニットさん!さあ、【先端医療】ランクD+を早速ランクCにあげちゃいませんか?』
その声を聞き、少し考え込むようにしてから俺は頷き、一息ついて静かに答えた。
「そうだな、俺も今そう思っていたよ、マゼール...!」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
俺の答えを聞いて嬉しそうに、『了解です!』と明るい声で返した後、マゼールは『コホン!』と咳払いをし、少し間を置いて続けた。
『では、ランクD+の【先端医療】と、【治療】、それに【知識】のスキル本をすべて混ぜ混ぜしちゃいますか⁉混ぜると、危険なことになりますよ~!それでも混ぜますか?』
この言い回しには、どうやら特別なこだわりがあるらしい。ポイントは、わざともったいぶるように言うことらしい。
「もちろん、イエスだ!」俺がそうマゼールに伝えると、嬉しそうに声を弾ませて答えた。
『了解です!混ぜ混ぜしちゃいますよ~!危険ですよ~!』と、どこか楽しげに言った後...。
『EXスキル、【混ぜるな危険!】の効果によって、ランクD+【先端医療】と、【治療】のランクDのスキル本、さらに【知識】のランクDのスキル本が混ざり合い、ランクCの【先端医療】となりました!』
やった!苦労したかいがあった。これで右腕が治るかもしれない。いや、治ってくれ!さらにこれで、ランクCのスキルを2つ所有することができた!
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
この世界で、Cランクのダブル持ちなんているのか?聞いたことがない。でも、仮にいるとしても、俺のように回復系と攻撃系のバランスが取れたCランク持ちは存在しないだろう。
ステータス画面を開き、至福のひと時を味わおうとすると、『コホン!』と脳内に響いた。そうだ、まずはスキルを使用して右腕の治療をしないと。
さあ、さっそく完成したスキル【先端医療】よ、俺の右腕を治してくれと強く念じた。するとその瞬間、俺の願いを聞き受けたかのように、右腕が淡い光に包まれた。
いいぞ!この調子で、俺の右腕を治しちまえ!
そして、まるで数分にも感じられる濃密な時間が過ぎ去り、淡い光が霧のように溶けていく。その後には、何度も見慣れた俺の腕が現れた。ただ、あの痛々しい傷跡はすっかり消えている...!
ついに治ったのか?俺は愛用のダガーを握り、右腕の感触を確かめた。
しかし...右腕は以前より力強く握れるものの、完全に元通りというわけではない。マゼールによると、回復は7割ほどだという。俺自身の感触ともほぼ一致している。
「くそっ!あと少しなのに!」
悔しさを滲ませながら、俺は近くに転がっていた石を蹴飛ばした。その瞬間、心が折れそうになる俺に、冷静な声がかけられる。
『大丈夫ですよ、デニットさん。方法はあります。落ち込んでいる時間があるなら、次の手を考えて行動しましょう。あなたには、私という心強い味方がついているんですから』
その優しくも力強い声に、俺は励まされた。しかし、心の奥底で疑問が湧いて来る。
マゼールは、なぜ俺にこんなにも親切にしてくれるんだ?宿主とはいえ...。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
最近では、宝箱の内容把握やスケジュール管理まで、【混ぜるな危険!】の効果を超えた働きをしてくれる。。
「マゼール、感謝してる。だけど...俺がお前にできることはないのか?ずっと頼りっぱなしで、胸が痛む。何か、俺に返せるものはないのか?」
俺は、胸にわいた気持ちをそのままマゼールにぶつけた。
『デニットさん...』
『デニットさん。私は、ずっとあの上層の隠し部屋に一人でいました。このダンジョンが誕生してから、ずっと...。意識のある者にとって、それはとても苦痛でした。でも、そんな中で貴方に見つけてもらえたんです。今...とても楽しいです。会話をすることが...。そして、貴方と一緒に行動できる喜びを感じています』
その声は、辛い思いを振り絞るように俺に語りかけてきた。こんなにも心を開いてくれるマゼール...初めてかもしれない。
何とかしてやりたい。いや、何としてでもマゼールの力になりたい...。そう俺は強く思った。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました
まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。
その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。
理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。
……笑えない。
人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。
だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!?
気づけば――
記憶喪失の魔王の娘
迫害された獣人一家
古代魔法を使うエルフの美少女
天然ドジな女神
理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ
などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕!
ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに……
魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。
「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」
これは、追放された“地味なおっさん”が、
異種族たちとスローライフしながら、
世界を救ってしまう(予定)のお話である。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした
夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。
しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。
彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。
一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。
久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。
事故は、予想外に起こる。
そして、異世界転移? 転生も。
気がつけば、見たことのない森。
「おーい」
と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。
その時どう行動するのか。
また、その先は……。
初期は、サバイバル。
その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。
有名になって、王都へ。
日本人の常識で突き進む。
そんな感じで、進みます。
ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。
異世界側では、少し非常識かもしれない。
面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる