「危険ですよ~危険ですよ~混ぜると危険ですよ~!」平凡スキルを混ぜ合わせ、最強スキルに変えちゃうEXスキルと、中年冒険者の成り上がり物語!

たけ

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第一章 EXスキル本との出会い

第10話 ランクC【先端医療】の効果

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 ついに、ランクC【先端医療】作成に必要なスキル本が揃った。その中でも特に集めるのに苦労したのが【知識】のスキル本だ。

 だが...何とか集めた。転機となったのは、バラモンの酒場で超大盛チャーハンを食べたあの日だった。その日、立て続けに【知識】のスキル本を3冊も見つけちまった。

 あの超大盛チャーハン、味は最悪だけど、運気を上げる効果でもあるのか?

 これまで散々探し回っても見つからなかった【知識】のスキル本が、その日はまるで示し合わせたかのようにポンポンと出てきた。本当に、見つかる時には見つかるものなんだな、としみじみ思う。

 感慨深げに【知識】のスキル本を眺めていると、突然、マゼールが俺の脳内に語りかけてきた。

 『お疲れさまでした!デニットさん!さあ、【先端医療】ランクD+を早速ランクCにあげちゃいませんか?』

 その声を聞き、少し考え込むようにしてから俺は頷き、一息ついて静かに答えた。

 「そうだな、俺も今そう思っていたよ、マゼール...!」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 俺の答えを聞いて嬉しそうに、『了解です!』と明るい声で返した後、マゼールは『コホン!』と咳払いをし、少し間を置いて続けた。

 『では、ランクD+の【先端医療】と、【治療】、それに【知識】のスキル本をすべて混ぜ混ぜしちゃいますか⁉混ぜると、危険なことになりますよ~!それでも混ぜますか?』

 この言い回しには、どうやら特別なこだわりがあるらしい。ポイントは、わざともったいぶるように言うことらしい。

 「もちろん、イエスだ!」俺がそうマゼールに伝えると、嬉しそうに声を弾ませて答えた。

 『了解です!混ぜ混ぜしちゃいますよ~!危険ですよ~!』と、どこか楽しげに言った後...。

 『EXスキル、【混ぜるな危険!】の効果によって、ランクD+【先端医療】と、【治療】のランクDのスキル本、さらに【知識】のランクDのスキル本が混ざり合い、ランクCの【先端医療】となりました!』

 やった!苦労したかいがあった。これで右腕が治るかもしれない。いや、治ってくれ!さらにこれで、ランクCのスキルを2つ所有することができた!


◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 この世界で、Cランクのダブル持ちなんているのか?聞いたことがない。でも、仮にいるとしても、俺のように回復系と攻撃系のバランスが取れたCランク持ちは存在しないだろう。

 ステータス画面を開き、至福のひと時を味わおうとすると、『コホン!』と脳内に響いた。そうだ、まずはスキルを使用して右腕の治療をしないと。

 さあ、さっそく完成したスキル【先端医療】よ、俺の右腕を治してくれと強く念じた。するとその瞬間、俺の願いを聞き受けたかのように、右腕が淡い光に包まれた。

 いいぞ!この調子で、俺の右腕を治しちまえ!

 そして、まるで数分にも感じられる濃密な時間が過ぎ去り、淡い光が霧のように溶けていく。その後には、何度も見慣れた俺の腕が現れた。ただ、あの痛々しい傷跡はすっかり消えている...!

 ついに治ったのか?俺は愛用のダガーを握り、右腕の感触を確かめた。

 しかし...右腕は以前より力強く握れるものの、完全に元通りというわけではない。マゼールによると、回復は7割ほどだという。俺自身の感触ともほぼ一致している。

 「くそっ!あと少しなのに!」

 悔しさを滲ませながら、俺は近くに転がっていた石を蹴飛ばした。その瞬間、心が折れそうになる俺に、冷静な声がかけられる。

 『大丈夫ですよ、デニットさん。方法はあります。落ち込んでいる時間があるなら、次の手を考えて行動しましょう。あなたには、私という心強い味方がついているんですから』

 その優しくも力強い声に、俺は励まされた。しかし、心の奥底で疑問が湧いて来る。

 マゼールは、なぜ俺にこんなにも親切にしてくれるんだ?宿主とはいえ...。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 最近では、宝箱の内容把握やスケジュール管理まで、【混ぜるな危険!】の効果を超えた働きをしてくれる。。

 「マゼール、感謝してる。だけど...俺がお前にできることはないのか?ずっと頼りっぱなしで、胸が痛む。何か、俺に返せるものはないのか?」

 俺は、胸にわいた気持ちをそのままマゼールにぶつけた。


 『デニットさん...』


 『デニットさん。私は、ずっとあの上層の隠し部屋に一人でいました。このダンジョンが誕生してから、ずっと...。意識のある者にとって、それはとても苦痛でした。でも、そんな中で貴方に見つけてもらえたんです。今...とても楽しいです。会話をすることが...。そして、貴方と一緒に行動できる喜びを感じています』

 その声は、辛い思いを振り絞るように俺に語りかけてきた。こんなにも心を開いてくれるマゼール...初めてかもしれない。

 何とかしてやりたい。いや、何としてでもマゼールの力になりたい...。そう俺は強く思った。
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