「危険ですよ~危険ですよ~混ぜると危険ですよ~!」平凡スキルを混ぜ合わせ、最強スキルに変えちゃうEXスキルと、中年冒険者の成り上がり物語!

たけ

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第一章 EXスキル本との出会い

第12話 ダンジョンの意図

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 お目当ての宝箱を回収するのが難しくなっちまう。もし9階まで進めるようになると、その問題はさらに深刻化するだろう。なぜなら、宝箱の中身は20分ごとに変わってしまうからだ。

 「9階で宝箱を回収している間に、1階でお目当ての宝箱が出てきたら、取りに行けなくなってしまうな」

 『そうです、デニットさん!さすがですね!私も同じことを考えていました!』

 でも、俺と組んでくれる奴なんていないし、俺も誰かと組みたくもない。エレンのやつに頼めば喜んで力を貸してくれるだろうが...。人の負い目を利用するのは気が進まない。それに、戦闘奴隷を買う金もない。

 うーん、さてどうしたもんか...。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 まあ、9階まで行けるなら、それなりのスキル本や財宝が手に入りそうだ。だが、あとのことを考えると、スキル本はどれも手放したくない。まあ、財宝は別だがな...。

 『デニットさん。まずは、やれるだけやってみましょう。戦闘奴隷の購入も視野に入れます。そのために、手に入れたいスキルがない場合や、高価な財宝が見つかった時は、その...駆けつけてもらうことになると思います』

 マゼールは、少し申し訳なさそうに俺に言った。俺の身体への負担を心配してくれているのだろう。まあ、40歳のオッサン冒険者だからな。なーに、まだまだいける。今までの人生で、休養はたっぷり取ってきたしな。

 こうして、マゼールと俺はお互いの考えを確認し合った。これからもっともっと強くなってやる。そんな思いに浸っていた俺だったが、不意にマゼールが慌てた声を上げた。

 『デニットさん!早速、7階に【知識】が出ました!走って下さい!』

 「なに⁉おうよ!」

 幸先がいい。まるでダンジョンが俺たちの新たな門出を祝ってくれているかのようだ。

 俺たちの冒険は、これからもっと進化していく。果てしなくな...。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 「よし!【再生】スキルをゲットしたぞ!次は何階に行けばいいんだ、マゼール?」

 『さすがです、デニットさん!スキル【再生】は、様々な使い道があるスキルです。非常に素晴らしいです!これで3個目です!さて、次は1階にダッシュです!スキル【細胞】が現れました!これも希少なスキルですよ!』

 「取ったぞ、マゼール!次は...」

 『今度は4階...』

 てな感じで俺たちは、休憩もそこそこにスキル本を集めに夢中になっていた。マゼールのおかげで宝箱の中身が完全に把握できるため、貴重なスキル本や、高価なお宝を次々と手に入れることができた。

 そしてついに、【雷炎氷刃ライエンヒョウジン士】の作成に必要なスキル本を全て集め終えたことで、マゼールの力を借りてランクCになれた。この結果、ダンジョンの9階まで安全に進出できるようになった。

 ダンジョンの9階までには、45個の宝箱がある。つまり、1フロアに5個ずつ配置されており、さらに20分ごとに宝箱の中身が変わる仕組みだ。

 45個もの宝箱があれば、大抵一つか二つはレアなスキル本か、高価な貴重品が含まれていることが多い。

 だから俺たちは、1階から9階までを行ったり来たりする羽目になった。確かに忙しい。だが、レアなスキル本や、これまでの俺じゃ到底手に入れられなかった貴重品を手に入れるのは、やはり格別の喜びだ。それに、マゼールが喜んでくれるのも...悪くない。

 マゼールの指示が乱れ飛ぶ。俺たちは凄まじい勢いで貴重なスキルを集めていく。マゼールの想いを聞いてから、まだ二ヶ月も経っていない。それなのに、すでにランクBの【高度先端医療】が完成しそうな勢いだ。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 【高度先端医療】の完成が見えてきた頃から、何となくだが、ダンジョンが生きている、意思を持っている様な気がしてならない。さらに言えば、マゼールと俺は、このダンジョンに遊ばれているような気すらしている。

 2階で貴重な貴金属をゲットしたかと思えば、今度は7階にスキル本【扉】が出現する。そしてまた、2階に別の貴重なスキル本が出現する。まるで...俺たちをからかっているかのようだ。

 あるいは、なまった俺の体を鍛え直すために、ダンジョンが意図的に上へ下へと走らしている気がする。

 ありがた迷惑な話だ...本当に。

 だがその結果、倒した敵はそこまで多くないはずなのに、基礎能力の上がり方が異常だ。レベルがたった2つ上がっただけとは思えないほど、数値の伸びがえげつなかった。

 40歳にして、この身体能力の上昇は明らかに常軌を逸している...ように感じる。

 ステータスオープン...。数か月前のLv.31の状態と比べると、俺の身体能力の向上は、明らかに違う。


 Lv.33 デニット・バロット 40歳 人族
             
 HP   :  360(240)
 MP   :  122(70)
 STR(筋力)   : 82(42)  
 DFT(防御力): 94( 62)
 INT(賢さ)  : 78( 52)
 AGI(素早さ) : 152 (70)
 LUK(運)  : 100( 70)

 ※ ( )内はLv.31時点。

 取得スキル
 EXスキル(1/1) 混ぜるな危険! 
 EX波及スキル(1/15) 先端医療(C)
             雷炎氷刃士(C)                 
 取得スキル(0/3)


 さて、続きを進めるか。そんな悠長な俺に対し、次の瞬間、焦りに満ちた声でマゼールが告げた。

 『デニットさん!大変です。9階にが出現しました!』
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