異世界の力で奇跡の復活!日本一のシャッター街、”柳ケ瀬風雅商店街”が、異世界産の恵みと住民たちの力で、かつての活気溢れる商店街へと返り咲く!

たけ

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第七章 運命の報復

第89話 サルマットの息子家族を救え!

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 太郎たちがラムダの牧場を発ち、ジャイカへ向かい始めたちょうどその頃...。

 ジャイカの一角にある宿屋では、探知魔法が示す通り、お抱え医サルマットの家族が囚われの身となっていた。

 ハルス獣人国の手前に広がる宿場町ジャイカ。交易を求め、多種多様な商人が集まるほか、旅人や冒険者の中継地点としても利用されるため、昼夜を問わず活気に満ち溢れていた。

 街を行き交うのは獣人族だけではない。ドワーフ、エルフ、人族...。種族の垣根を越え、多くの者が集う賑やかな街である。

 ジャイカの広場では、物売りたちの活気ある声が飛び交い、異国の香辛料が入り混じった独特な香りが漂っている。一方、酒場からは賑やかな笑い声が響き、街の雰囲気をさらに盛り上げていた。

 そんな賑わいの中には、獣人族や人族向けの娼館も存在する。夜になると妖艶な灯りが街路に揺らめき、旅人や商人が酒と快楽に溺れる姿が見られた。この光景こそが、ジャイカが"眠らぬ街"と称される所以ユエンだった。

 賑わいに満ちるジャイカの街。その片隅に佇む宿屋には、サルマットの息子、シルマット一家が囚われていた。その宿屋はジャイカの数ある宿の中でも、こと人族に好まれる場所として知られている。

 宿屋”カッコウ”は、二階建てのレンガ作りで客室は十五室。 小ぢんまりとしたタタズまいながらも、清潔感と温かみが漂う。入口には、名前にちなんだカッコウの木彫りの置き物が飾られ、訪れる客を優しく迎えてくれる。

 料理の味付けは控えめで、人族の嗜好に寄り添った香辛料を抑えた料理は、異国の旅人たちにも馴染みやすく、多くの客に親しまれている。

 だが...。

 真夜中の三時。宿屋の片隅では、温かな灯りが静かに揺れている。その光は安心をもたらすどころか、囚われの一家をさらに孤独へと追いやっているようだった。

 シルマット一家は、手首を背中に縛られ、自由を奪われた生活が一ヶ月にも及ぶ。心を蝕む不安と絶望が、彼らの疲れ切った表情にじわじわと影を落としていた。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 一家の周囲には、六人の人族兵が無言の影のように佇んでいた。その目は冷たく、家族の些細な動きさえ見逃すまいと鋭く光っている。

 兵士の一人に嫌がらせの様に起こされた家族に対し、ため息交じりに一人の男が、家族に近づいた。

 兵士の中でもひときわ目に留まる巨躯の男、人族のギウス少佐だった。静かに家族の元に歩み寄ると、家族と目線を合わせるように屈み、ふと口を開く。

 「珈琲でも飲むかね...?」

 低く響く声が、張り詰めた空気をわずかに揺らした。シルマットはわずかに顔を上げ、くぐもった息を吐きながら静かに答える。

 「ありがとう...。だが、私にくれるよりも、娘のユッタに飲み物を与えてやって欲しい」

 その言葉には、長い拘束の中でも父親としての深い愛情が込められていた。縛られた手をわずかに動かしながら、シルマットは幼い娘ユッタをじっと見つめる。 その視線には、彼女を守りたいという切実な想いが滲んでいた。

 ギウスはその視線をしばし受け止め、目を細めると、静かに口を開いた。「了解した。お嬢ちゃん、オレンジジュースでも飲むかい?」

 ギウス少佐の厳つい顔立ちは、冷徹な軍人そのものだった。しかし、その声はまるで別人のように穏やかで、ユッタに向けられた優しさが滲んでいた。

 その瞬間、母親のエレスもわずかに表情を緩めた。緊迫した空間に、一瞬だけ安堵の気配が差し込み、張り詰めた空気がわずかに和らいだ。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 五年ほど前の話になるが、ギウスはかつて大元帥ダイゲンスイの地位にあり、ヒメール国王の父であるガッダン元国王を支えていた。しかし、その栄光は突如として地に落ちることになる。

 ヒメール第二王子の反乱が勃発し、王宮は混乱に包まれた。その混乱の中、ガッダン国王とゾウス第一王子は”いわれなき罪”をきせられ、冷たい石壁に囲まれた地下牢へと幽閉された。

 かつて広大な国を治めた王とその継承者は、闇と静寂に閉ざされた運命を背負わされた。王宮の華やかさとは正反対の、あまりにも残酷なものだった。

 しかし、それは単なる幽閉では終わらなかった。ガッダン元国王とゾウス王子は、極度の拷問と自白剤の多量投与により、身体も精神もムシバまれ、ただ地下牢の中で意思とは無関係に生かされ続けていた。

 ヒメール王子の乱による政変の嵐は、ガッダン国王に忠誠を誓った者たちを容赦なく飲み込んでいった。ガッダン国王とゾウス第一王子に仕えていた者たちは次々と捕らえられ、残された選択肢は残酷な二択。

 極刑か、地位を剥奪され迫害の標的となるか。いずれにせよ、誇り高き彼らにとっては耐え難い屈辱でしかなかった。

 ギウスもまた、運命に翻弄された者の一人だった。かつて王の側近として大元帥の地位を誇った彼にとって、ヒメール王に仕えることは耐えがたかった。そして、自身の立場の重さを考えれば、待ち受ける運命はただ一つ。逃れようのない死。 彼はそれを覚悟していた。

 しかし、現実は剣ではなく、降格という形で突きつけられた。大元帥から少佐へ。地位は大きく引きずり下ろされたものの、命は奪われなかった。ギウスが望んだ極刑は、蜃気楼のように消え去った。

 なぜ処刑されなかったのか。王宮の内外では憶測が飛び交い、人々の疑念は深まっていった。

 「ギウスは...ヒメール国王に寝返ったのではないか...?」

 憤りを露わにしたのはかつての同志、ガッダン元王派の者たちだった。彼らはギウスを「裏切り者」と罵り、忌々しげにその名を口にした。彼が生き延びたことこそ、ガッダン元国王を裏切った証拠だと人々は信じて疑わなかった。

 
◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 ギウス少佐に与えられた仕事は、かつての栄光とは程遠い屈辱だった。ヒメール王子派閥から課されたのは、王宮の掃除、伝令、珈琲農園での肉体労働...。そして、精神を崩壊したガッダン元国王とゾウス元王子の身の回りの世話。

 かつて大元帥として軍を率い、王の側近として国の命運を担った男が、今では雑務に追われる日々。それは、ただの降格ではない。誇りを踏みにじるための、徹底した嫌がらせだった。

 だが、ヒメール国王は、他の宰相や大臣とは異なる考えを持っていた。彼はギウスの才を高く評価していたのだ。

 ただの意趣返イシュガエしのために生かしたわけではない。むしろ彼を側近として迎え入れ、自らに忠誠を誓わせることができないか、慎重に策を巡らせていた。

 「この男の指揮があれば、獣人族も、エルフも、ドワーフ国も...すべて我が手に落ちる!」

 ヒメール国王はそう確信していた。

 ギウスを殺すことなど、造作もない。問題は彼の心を折り、自らの配下に引き入れるその日がいつ訪れるか...それだけだった。

 「自分に忠誠を誓うならば、元の地位、大元帥に戻してやる。好きなだけ金も女もくれてやるぞ!」ヒメール国王はそう言いながら、執拗にギウスを口説き続けた。

 しかし、ギウスは首を縦に振ることはなかった。それどころか、毅然とした態度でこう訴え続けた。 

 「私も仲間たちと同じように、極刑を与えてほしい」

 その言葉には、かつての誇り高き大元帥の面影が宿っていた。

 そんなヒメール国王の前に、一人の奴隷商人が現れる。ドリウスと名乗るその男が献上したのは、先代から受け継がれた秘薬、”精神を支配する薬”。 その名の通り、服用した者の心を縛り、意のままに操るという恐るべき代物だった。

 ヒメール国王はその薬を手に取り、冷酷な笑みを浮かべ呟いた。

 「これをギウスに使えば、ついに私に忠誠を誓うだろう」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 薬は無理やりギウスに飲まされた。すると、これまで頑なだった彼の態度が一変し、まるで別人のように従順な姿勢を見せ始めた。

 だが、ヒメール国王は疑念を捨てなかった。「演技で私を欺こうとしているのでは...ないか?」その不信を晴らすため、幽閉されている先代王、ガッダン元国王の元へギウスを送り、彼を殺すよう命じた。

 命令が下された瞬間、ギウスは動いた。剣を抜き放ち、一振りでガッダン元国王の首を刎ねた。その動きには一切の躊躇いもなく、冷酷なまでの正確さで、首は床に転がり、無機質な音を立てた。
 
 その光景を前に、ヒメール国王は歓喜した。「これで、この男の心は完全に我が手の内にある!」

 そして、ヒメール国王はギウスに、獣人王国を攻め落とすよう命じた。

 ギウスはただ軍を率いるのではなく、より巧妙な策を進言した。「”精神を支配する薬”を利用し、内部から崩壊させるのが最善かと」

 その言葉にヒメール国王は興味を示し、ギウスの計画を聞き入れた。

 計画の第一歩は、獣人王国の要である医師を掌握することだった。標的となったのは、ハルス獣人国王のお抱え医、サルマット。 彼の息子一家を誘拐し、冷酷な選択を突きつけた。

 「ハルス国王には毒薬を。 第二王子と第三王子には”精神を支配する薬”を飲ませるのだ」

 家族の命を盾に取られたサルマットは、抵抗する術を失った。 震える手で薬を調合し、王族へと投与することを余儀なくされた。

 その瞬間、すべてが決まった。王の体に毒が巡り、王子たちの瞳から思考の光が消えた。獣人王国の崩壊は、もはや時間の問題だった。

 ヒメール国王はその様子を見つめ、満足げに呟いた。「あと少しだ...あと少しで獣人国は滅びる」

 その瞳には、冷酷な光が宿っていた。

 この成功により、ヒメール国王は確信した。

 「ギウスは私を裏切らない。私の忠実な駒となる...!」と、満足げに呟いた。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 そんな折、宿屋で緊迫した場面が生じた。

 ユッタの母親は震える声で、「娘には抵抗する力もありません...。せめて、娘の拘束だけでも解いて頂けませんか?」と見張りの男たちに懇願した。

 その言葉には、母親としての必死さと、わずかな希望が込められていた。しかし、見張りの男は冷笑を浮かべ、無情な声で吐き捨てる。

 「できるわけねぇだろ!」

 次の瞬間、男の手が動いた。ナイフの柄が振り下ろされ、母親の頬を無慈悲に打ち据えた。鈍い音が響き、母親はその場に崩れ落ちた。

 「お母さん!!」

 母親が崩れ落ちる姿を見た娘のユッタは、大声で叫び泣き出した。

 「ぴーぴーうるせえぞ、クソガキ!!すぐに泣き止まねえとぶっ殺すぞ!!」

 その光景をの当たりにしたギウスは、怒りを露わにした。

 「何をしている!大切なお客さんだ!傷をつけるな!」 

 鋭い声で部下を怒鳴りつけると、それを見ていた連中から舌打ちがこぼれ、不満げな表情が広がった。

 「またかよ...」と、部下たちの一人が小さく呟いた。

 ギウスが獣人一家に甘い態度を取ることへの苛立ちは、彼らの間で渦巻いていた。食事も睡眠も十分与えられ、鬱憤晴らしの暴行さえも止められている。囚われの身とは思えぬ待遇に、部下たちは耐え難い不満を募らせていた。

 ギウス以外の兵士たちは、早くシルマット一家を殺してしまい、この厄介な見張りから解放されたいと願っていた。 

 その苛立ちは、ついに一人の男の口から爆発した。

 「もう我慢できねぇ!」 怒声が宿屋の空気を切り裂いた。

 「ギウスさん、あんた本当に生まれ変わったのか?ヒメール様に忠誠を誓っているのか?獣人なんてさっさと殺して、この面倒な仕事を終わりにしようぜ!」

 その言葉には、苛立ちと焦燥が滲んでいた。ギウスだけでなく、シルマット一家にも向けられたその叫びは、宿屋の空気をさらに重くした。

 ユッタは涙をこらえ、エレスの元へと身を寄せた。

 「ぴーぴーとうるさい孫娘の腕をサルマットに送りつけてやれば、獣の国王や王子たちに与えている薬をもっと増やすだろう。あんたが...甘すぎるんだよ!」

 男の声には、冷酷な悪意が満ちていた。

 周囲の男たちも殺気立ち、ギウスとシルマット一家を鋭い視線で睨みつける。

 「あんたがやらないのなら、俺らがやってやる!」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 限界を超えた男たちは、それぞれがナイフを抜き、じりじりとシルマット一家へと歩を進めた。その刃先がアカりに鈍く光り、不気味な輝きを放つ。

 ギウスは静かに息を吐き、低く呟いた。「ここら辺が限界みたいだな...もうあんたら家族を守ることはできない様だ。すまんな」

 そう言い終えると、ギウスはユッタの腕を縛っていたロープを一息に切り落とした。

 その行動に、男たちが激昂する。「なっ、てめー!ヒメール様に忠誠を誓ったんじゃねえのか!」 

 怒りに満ちた声が宿屋の空気を震わせた。

 ギウスは冷ややかな笑みを浮かべ、静かに言い放つ。

 「あんな量ごときで俺に効くと思うか?俺の精神を自由にしたいと思うのなら、湯舟にと注いで持ってこい!」

 その言葉には、揺るぎない自信と、彼の誇りが滲んでいた。

 ギウスは素早く動き、シルマットとエレスのロープを切り落とした。 鋭いナイフの刃がロープを裂き、自由を取り戻した二人に向けて、低く力強い声で促す。 

 「ここは私が時間を稼ぐ!すまなかったな、一ヶ月という長き時を...。北に行け!赤い屋根の家が見えるはずだ!そこまで逃げ切れ!私の仲間がいる。ギウスから聞いたと伝えるんだ...!」

 その言葉には、彼の覚悟と信念が込められていた。シルマット一家は窓へと向かい、逃げる準備を始めた。

 だが、その瞬間、兵士の一人が動いた。ナイフを振り上げ、シルマット家族に襲いかかろうとしたその男を、ギウスは後ろから羽交い絞めにする。

 「ゴキッ!」という音が響き、男の首の骨が無情にも折れた。

 「てめえ!」 怒声が宿屋の空気を切り裂いた。別の男がナイフを突きつけてきたその瞬間、ギウスは寸分の迷いもなく身を翻し、刃をかわした。

 次の瞬間、ギウスの手が動いた。男の手首を掴み、力を込めてへし折る。 

 「ぎゃあ~!!」

  男の悲鳴が響き渡り、苦痛に顔を歪めながらナイフを滑り落とした。

 「あと三人...何とかなるかもしれない」ギウスがそう思った瞬間、後方から響いた音が彼の思考を断ち切った。


 バスン!


 その瞬間、右脚に鋭い痛みが走った。視界が揺れ、右脚から力が抜け、ギウスの身体は支えを失い、無防備に崩れ落ちた。わずかな隙を突かれ、兵士の一人が放ったの矢が、深々と右脚を貫いていた。

 「簡単には殺さないぜ...!」

  冷酷な声が宿屋の空気を切り裂くように響き渡る。 男は次々と矢を放ち、右腕、左脚、そして左腕...矢は容赦なくギウスの身体を貫き、そのたびにギウスの身体を貫く鈍い衝撃音が部屋中に響き渡った。

 「早く人質を掴まえて戻ってこい!」男はギラギラとした目で他の兵士たちに命令し、吐き捨てるように続けた。「こいつの目の前で、全員をなぶり殺しにしてやる!」

 「はっ、それは面白い。おい、行くぞ!」にやにやと笑いながら別の男がドアを開けた、その瞬間...!

 馬鹿でかい獣人の右手が、男のこめかみを捉えた。その動きは素早く、力強く、男の表情が一瞬で恐怖に染まった。

 「もう...シルマット一家は保護したわ...」

  低く響く声が、男の耳元で語りかける。「なぶり殺しが好きだとは悪趣味だのう。ただ...なぶり殺されるのは、お前達だがな」

 男の耳元で不気味なほど優しい声で...ラムダがササヤいた。
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