オレ様黒王子のフクザツな恋愛事情 〜80億分の1のキセキ〜

伊咲 汐恩

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第四章

31.相談

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  ーー場所は、学校の最寄り駅付近の商店街。
  ここは、快速が止まらないくらい小さな駅だけど、電車の高架下をくぐった先は商店街になっている。
  みちると2人で駅前のファーストフード店でお茶をする約束をしていたので、放課後に目的地へ向かっていた。
  その最中、彼女はカバンを肩にかけ直して嬉しそうに口を開いた。



「8月24日から池袋のレインシャインでドキ王のイベントがあるの知ってる?」

「知ってる!  グッズ販売するんだってね。みちるは行くの?」


「友達でドキ王やってる人少ないから1人で行くかどうか悩んでたんだけど……。結菜さえ良ければ一緒にどう?」

「うん、行きたい!  推しキャラグッズが販売してるといいね」



  長年憧れていた友達との寄り道。
  それどころか共通の話題で盛り上がれるなんて最高に楽しい。
  勇気を出した先に幸せが待ち受けていたなんて知らなかったよ。

  新しい自分に生まれ変わってから、こうやって色々思う事が増えた。
  数日前までは、学校が終わったら直帰するのが当たり前だったから、いま思えば青春の大半を無駄に過ごしてたかもしれない。


  みちると喋りながらワクドナルドに向かっていると、有名ブランドのブティック店の窓越しに高杉悟あいつのポスターが飾られていた。
  高さはおよそ2メートルほど。
  白シャツを腕まくりしてグレーのワイドパンツを履いて、ラフな感じでイスに腰をかけて人差し指を唇に触れさせている。
  それが人形のようにキレイだったせいか、思わず目線が吸い込まれた。

  顔を合わせる度に普通に接してるけど、私はこの人の家に行って家事や妹の世話してるんだよね。
  ……なんか、信じられない。
  ファンからしたら羨ましい話かもしれないけど、あいつは自分勝手だし、俺様だし、生意気で本当についていけないんだから……。



「あれ?  結菜って高杉悟が好きなの?」



  ポスターをじっと見つめてたせいか、みちるに気づかれてしまった。
  焦って反対側のみちるに目を向けて手を横に振る。



「そんなことないっ!!  全然ないないない!!  高杉悟のポスターなんて見てないし、たまたま洋服屋さんを見てただけだよ」

「……あ、そう?(の割には動揺してるな)高杉悟ってさぁ~、めっちゃイケメンだよね。何とかライダーに出てきそうなほどキリっとした顔立ちだし、何と言っても印象的なのが俺様キャラ。笑ってる顔も泣いてる顔も怒ってる顔もカッコ可愛いでキュンキュンしちゃう」


「(実は毎日教室で顔を合わせてるよ)……そ、そう?  実際会ったら全然大した事ないかもしれないよ?  性格だってものすんごく悪いかもしれないし」

「ん~、そうかなぁ。あんまり悪い印象ないけどなぁ……。まぁ、結菜は二階堂ひと筋だから芸能人なんて興味ないか」


「そうなの!  あいつ……いやっ、俺様男になんて興味ないから!!」  



  ……私、どうやら嘘をつくのが苦手みたい。
  こんな大きな声で言い返してたら逆に好きだと勘違いされちゃうかも。

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