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第十一章
105.眩い光
しおりを挟む青々とした晴天に包まれる中、日向は会社のビル一階の自動ドアを通り抜けてエントランス付近に集っている20~30人ほどのマスコミの前に姿を現した。
それによって機材を準備させていたカメラマンは一斉にフラッシュを焚き、記者はボイスレコーダーやマイクを挙って向ける。
無数の眩い光は日向の目をくらませて、心の準備が整うと皆に向けて一礼をした。
すると、左正面からマイクを向けている女性記者が先導をきる。
「高杉さん、明け方に報道された熱愛の件についてお聞かせいただけますか?」
「実はその件で仕事関係者及びファンの皆様に心配やご迷惑をおかけしているかと思って、ご報告させていただく事にしました」
日向は記者の1人1人を見つめるように目線を右から左へゆっくり流すと、カメラマンは一斉にフラッシュを焚いた。
「今朝、花丸スポーツのネット記事を確認させて頂きました。そこには写真付きで熱愛と報じられていましたが、事実無根のでっち上げ記事です。今回皆様の前に立ったのは誤報を食い止める為です」
そう伝えた瞬間、記者たちは不揃いに仲間と目配せをする。
「自分は俳優という職業柄、今日まで多くの目に触れてきました。そのせいもあって俳優としてのこの14年間、友達、そして家族に多大な犠牲や迷惑をかけてきたのも事実です。
実は去年、事故で両親を失いました。今は幼い妹と2人で生活しているので、生活補助として家政婦を雇っています。
写真に写ってる彼女は以前の家政婦です。当初は公私混同しないように心掛けていましたが、彼女は苦しい時や辛い時にそっと手を差し伸べてくれる存在で、その優しさにいつしか惹かれていました。でも、実際は俺の一方的な片想い。報道に出ていたような熱愛ではありません」
日向がきっぱりとそう言いきると、マスコミは新たな情報にざわつかせる。
だが、間髪入れずに話を続けた。
「報道に出たら彼女に迷惑がかかると思ってたので、俺は身を引きました。でも、そこに幸せなんてなかった。会いたくても我慢して、自ら連絡を絶って、俳優としての自分を生かす為に彼女への気持ちは闇に葬りました。
でも、想いは止められなかった。世界人口が80億人なら、彼女に出会えたパーセンテージは80億分の1。俺にはこれが奇跡的な出会いだと思ってます。それなのに、写真一枚でこんなニュース沙汰になるなんて……。
好きな人に気持ちを伝えるのは不可能なんでしょうか。俺は見世物でもないしプライベートを売るつもりはありません。ただ真剣に恋をしてただけなのに……。
それに、彼女はこんな誤報ですら胸を痛めてるはず。だから、今回の会見で騒ぐのは終わりにして下さい。これからも彼女を傷つけないで下さい。そっとしておいて下さい。俺の方からお願いします」
日向は胸の内を吐き出すと、マスコミの前で深々と頭を下げた。
すると、再びシャッターの嵐が正面から襲った。
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