オレ様黒王子のフクザツな恋愛事情 〜80億分の1のキセキ〜

伊咲 汐恩

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第十一章

106.ネット民の反応

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  俺はメディアに本音をさらしてリスクを背負ってしまったけど、それよりも結菜を守る事を優先した。
  誤報で世間からの批判をあびさせるより、俳優人生を潰したほうが被害が最小限に抑えられるから。

  ビル内の向こう側で一部始終を見ていた堤下は、額に手を押さえてふぅと深いため息をつく。
  すると、奥から現れた女性の冴木部長はカツカツとヒールの音を鳴らしながら、堤下の隣に立ってポンっと肩を叩いた。



「あの子、なかなかやるじゃない」

「……」


「胸の内をさらけ出してみんなに理解を求めようと思ったのね。高校生とは思えなほどしっかりしてる。あの子はこれからもいい俳優になれそうね」



  堤下は自分なりの誠意を見せつけた日向を見て、今日までの自分を思い返していた。
  そして、LINEメッセージ一本で解雇へ追いやった結菜の事も同時に……。


  ーー場所は高校。
  昼休みに廊下で1人スマホのネットニュースで日向の会見を見た陽翔は、画面を見たまま呟いた。



「何だ、あいつかっこいいじゃん」



  日向の気持ちを察しつつも最後は口にしなかったが、1人の男として勇ましい一面を見せつけられた瞬間、走り続けていた気持ちにブレーキがかかった。
  更に、度々自分と結菜の間に割って入ってきた事が思い起こされると、もう自分が入る隙がないと悟った。


  ーーちょうどその頃。
  屋上のいつもの場所に腰をかけてスマホで会見を見ていた結菜は、日向の言動に感極まって両目からポロポロと涙を滴らせた。

  バカ……。
  あいつったら何やってるのよ。
  あれだけ報道される事を嫌がってたのに、自分から突っ込むなんて信じられない。

  でも、どうしてかな。
  嬉し涙が止まらないよ。
  私は日向が好きで、日向も私が好き。
  いまこの瞬間にはっきりと両想いだと判ったのに、この想いが繋がれないなんて……。


  会いたい。 
  でも、私達の間には誓約書がある。
  だから、彼がこうやって気持ちを伝えてくれても、この先ずっと平行線だ。
  好きな人に好きと言えないなんて、生き地獄と同じなんだね。
  

  ーー帰りの電車内。
  私は車窓から光を浴びて座席に座ったままスマホを片手に会見後のネットニュースをスクロールしていた。

  ネット民の反応は二つに割れている。
  彼の度胸に賞賛する声と。
  人気絶頂期なのに脇が甘いと批判の声。

  もちろん私にはどちらが正解なのかわからない。
  彼は私のプライベートを守ろうとして会見に挑んでくれたけど、その反面俳優人生を犠牲にしている。
  しかも、今度は新たな火種がどこに向かうかわからない。
  でも、私がしてあげられる事なんて一つもない。
  画面の向こうの彼を見ているだけで恋しくなるだけ。

  私は行き場のない気持ちを吐き出そうと思ってリアル王を開いた。
  ゲームを始めた当初は王子様を育てる事で精一杯だったのに、今や悩みの吐け口になっている。

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