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第十一章
107.送られたメッセージ
しおりを挟む「もう、どうしたらいいかわかんないよ。私はあいつが好きで、あいつも私が好きでいてくれた。でも、連絡しちゃいけないなんて、本当に微妙」
『あいつって誰なの?』
ヒナタにそう聞かれた瞬間、電車はトンネルへさしかかった。
電波の本数が2本減っているが、そのまま気にせずチャット画面を打ち続けた。
「あいつは日向だよ。日向はね、俳優の高杉悟なんだ。『会いたい』って伝えたいのに、誓約書にサインをしたから伝えられないの。あ、そうだ! インスタにコメントを送ってみようかな。でも、ニックネームで登録されてるから、私からのメッセージなんて気づく訳ないか……」
打ち終わってから送信したけど、やはり電波が悪いせいか読み込み中に。
お陰で気持ちが消化しきれなくなって窓の外を眺めた。
しかし、トンネル内にいるせいで外の景色は真っ暗だ。
諦めをつけてカバンからワイヤレスイヤホンを出して電源をつけると、ようやくトンネルから抜けて窓から光が差し込んだ。
ーーところが、次の瞬間。
スマホからピコ~ンと聞き覚えのある通知音が鳴った。
「ん……?」
反応してスマホに目線を落とすと、画面上部にはインスタから一通のコメントが。
読もうと思ったけど、一通目の通知音が封切りに次々に通知音とコメントが表示されていく。
『「会いたい」って何よ! 私達も悟王子に会いたいに決まってるじゃない』
『最近静かだと思ったら、また【ユイ】なの? 黒玉子の人だよね。懲りないね~』
『ユイがまた荒らしに来たの? 好きな人の件で私達は傷心してるのに、今度はこっちがネットニュースになるよ』
まさかと思って画面全体を見ると、そこには勝手に開かれていた高杉悟のインスタの最新のストーリーのコメント欄に、私のニックネームで『会いたい』という言葉が打たれていた。
もちろん、打った覚えはない。
「えっ……、えっえっえええっ!! 一体……何が起きたの?」
想定外の展開を迎えて、驚くあまり大きなひとりごとが漏れてしまった。
すると、隣や向かいに座る人からの目線が刺さる。
どうしてこんな事態が起こってしまったんだろうと思って記憶を遡っていくと、事はトンネル内で起きたのではないかと思い始めた。
先ほど打った文章の中に含まれていた文字。
それは……。
・俳優の高杉悟
・『会いたい』
・インスタ
・コメント
・送って
もしかしたら、電波障害によってリア王がバグってしまった可能性がある。
AI機能が搭載されてるから、確かに別のアプリが勝手に起動してしまう事が度々あった。
でも、まさか勝手にインスタを起動させて、都合のいい文字だけを拾ってメッセージを送ってしまうなんて……。
信じられない。
確かにインスタにメッセージを送るのは有りかなと思ったけど、まさかヒナタが勝手に送信してしまうなんて……。
しかし、【ユイ】というニックネームが嫌われてるせいで、非難の嵐は延々と続いていく。
ただですら混乱してるのに、今度は気持ちが追いつけなくなってスマホの電源を静かに落とした。
ーーそれから30分後。
日向は事務所の会議室でインスタを開くと、久しぶりにコメント欄が荒れていた。
「あはは……、またかよ。今度は誰が荒らしたんだよ。記者会見の後だから仕方ないかもしれないけど、こっちはナーバスになってんのにさ……」
ひとりごとを漏らしながら画面をスクロールしていくと、問題発言の元にたどり着いた。
すると、そこには以前荒らしでファンから干され気味だった【ユイ】という名前で『会いたい』とのコメントが入っている。
ユイ……。
以前コメント欄に悪口を書き込んでいたから気になってたけど、今日は『会いたい』……か。
もしかしたらとは思っていたけど、やっぱりユイは結菜なのかな。
だとしたら、俺こそ会いたい気持ちが止まんなくなる。
一方、結菜は夕日を浴びたまま自宅に到着すると、机に置いていたスマホに一本の電話がかかってきた。
スマホを掴んで着信元を目で追うと、そこには……。
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