Re.start ~学校一イケメンの元彼が死に物狂いで復縁を迫ってきます~

伊咲 汐恩

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第六章

24.まさかの訪問

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  蓮が頭を下げた日の翌日の、土曜日の午前9時半。
  新しい恋が軌道に乗って順風満帆に過ごしていたが、この日を境に私の心は不協和音の一途を辿っていく。


  今日は先生と週一デートの日。
  約束の時間は午前11時。
  先生が迎えに来るまで時間がたっぷりあるからのんびりとデートの支度をしていると、こんなに早い時間から自宅のインターフォンが鳴った。


  デートの連絡はLINEオンリーだから、先生がインターフォンを押す事はない。
  気にも留めずに洗面所で髪の毛をコテで巻いていると、インターフォンに出た母親がリビングから私を呼んだ。



「梓~。蓮くんが遊びに来たわよ。早く出てあげて」

「えっ!  蓮が?」



  一瞬耳を疑った。
  付き合ってもないのに、休みの日に何の用が?
  しかも、朝っぱらから家に来るなんて……。

  予想外の訪問に首を傾げながらも、玄関付近で掃除機を持った母にすれ違いざまに言われた。



「蓮くんが来るなんて久しぶりね~。最近姿を見なかったから、てっきり別れたのかと思ってたわよ。ほら、早く行きなさい」

「あ、うん……」



  母は私達が別れた事を知らない。

  実は、母は蓮の事が大のお気に入りだった。
  笑顔がかわいい上に愛想がいい。
  更にうちは親子揃ってイケメン好き。
  多分遺伝子が関係している。

  母は蓮が遊びに来る度に、蓮を見る目的で何度も部屋とキッチンを往復していた。



  玄関扉を開けると、そこにはニカっと無邪気に微笑んでいる蓮が扉の向こうで待ち構えていた。
  深刻そうにしていた昨日とは表情が一変。
  いつも通りの蓮がそこにいる。



「突然家に来てどうしたの?  私に何か用?」

「あのさ、今から俺とデートしよ」


「今からって、気は確か?  そんなの無理に決まってる。私にも予定はあるから」

「梓のダメはOKって意味だろ?  2年も付き合ったからよ~く知ってるよ。……ほら、ブツブツ言ってないで行こ」


「ちょ、ちょっと……蓮!」



  蓮は嫌がる梓の手首を掴むと玄関から外へと引っ張り出した。
  そして、明るい声で廊下の奥に居る母に向かって一言。



「おばさーん。梓借りま~す」

「ウフフ。行ってらっしゃい」

「お母さーん!  何処にも行かないってばぁ」



  閉ざされていく扉の向こうの母親は、私の思いとは裏腹ににこやかに手を振っている。

  お母さん、勘弁してよ。
  行ってらっしゃいじゃないでしょ。
  娘の嫌がってる姿が見えないの?

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