初コイ@進行中 〜忘れられない初恋相手が親友の彼氏になっていた〜

伊咲 汐恩

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第四章

83.彼氏の名前は?

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  愛里紗達が勉強を始めると、手持ち無沙汰になった理玖はいつものノリで咲に問いかけた。



「ねぇねぇ。咲ちゃんって、いま付き合ってる奴いるの?」



  覗き込むように顔を斜めに傾けて微笑むと、咲は目線を合わせた。



  あー、キタ。
  その手の質問絶対すると思った。
  もしかして、咲を狙ってる?
  さっきからちょっかいばかり出してるし。

  なによ……。
  私には座布団すら出してくれなかったくせに。
  人を透明人間扱いにした挙句に居合わせた咲ばかりに話しかけて。
  こんな所で無駄話してないでさっさと帰ればいいのに。



咲「あっ……あ、うん」

理玖「へーっ。彼氏の名前は?」



咲「……あっ……い、今井……くんって言うの」

理玖「今井って言うんだぁ。今井くん、ちょっと今いいかい……なんつってな。今井、委員会いまいいかい。あはは……やっべー、早口言葉にもなるぞ。おい、聞いたか愛里紗?」

愛里紗「それって、渾身のギャグのつもり?  あんたの為を思ってハッキリ言うけど、ソレつまらないよ」


咲「あは……あははは。り……理玖くんって、結構面白いんだね」



  咲だってそのつまらないギャグにドン引きしてるよ。
  そんなに暇ならさっさと家に帰って部屋のド派手なインテリアでもいじってればいいのに。

  つまらないギャグで暴走してしまった理玖は、残念な事に一人で腹を抱えて笑っている。
  本当にどうしようもない。
  普段は優しい咲だって、正直『バカだな』って思っているはず。



理玖「ひーっ……ひーっ……。で、名字は今井って分かったけど、下の名前は何て言うの?」

咲「えっ!  名前?!  ……ええっと、それは……」

愛里紗「もう!  咲を笑わそうと思ってまた変な事を考えてるんでしょ。完全にお見通し。勉強の邪魔だから早く自分の家に帰って。それが嫌ならあっち行って。シッシッ」



理玖「……あのさ。随分冷たくない?  家まで届け物をした挙句に留守番をお願いされて一人で待ってたのに。あっさり追い出そうとするなんて酷いね、咲ちゃん?」

愛里紗「うっ……。じゃあ、せめて口を塞いでて」

咲「あははっ……」



  理玖はぷうっとホッペを膨らませていたが、腰を上げる素振りすら見せない。

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