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新世代
開戦
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久々の大戦の予感にオルトヴィーンとその配下は色めき立っていた、国王の初陣であると共に主戦場が自領の隣接地とあって、働き如何によってはさらなる領地拡大にも繋がる、そんな事を考えるとどうしても興奮を隠しきれないでいた。
以前の大戦に比べれば奇襲的な意味合いが強く、軍勢もかなり少なかったが、それでも大きく版図が変わるかもしれない、そんな高揚感を皆が共有していた。
「フリートヘルム様が心配ですかな?」
オルトヴィーンの側近が声を掛けるが、薄く笑い否定する。
「心配いらんよ、死神の護衛付きだからな」
日が昇りだし、側近に促されオルトヴィーンは号令をかける。
「何度も我が領を欲せんと侵攻して来たリンブルクに今こそ目にもの見せてやらん!全軍進めい!」
日の出と共に始まった攻撃は目立った反撃のないまま国境近くの村アラスを重包囲する形で膠着状態となった。
元々目立った抵抗の意思もなく、籠城した上で援軍を待つ戦術であるだけに、ここまでは両軍とも計算通りの展開を迎えていた。
元々最前線の村アラスのみで伯爵領からの軍勢に対抗するのには限界があり、アラス北西にあるエンナ、アラス北方にある城塞都市カディス、その3か所が相互防御で補い合う間にさらなる援軍で撃退する。それが必勝の迎撃策であった。
もちろん最初から迎撃困難な大軍が来る場合も考えられたが、その場合は準備段階の動きで動向はある程度分かってしまうものであった、諜報活動にはどの国も余念がなかったのだから。
今回のケースは結婚式を隠れ蓑に、侯爵領を中心に少しづつ兵を移動させ、敵が気付かぬうちに一気に最前線のみを落とすという当初の戦略に少し手を加え、一気に三か所を制圧するというものであり、オルトヴィーンの役割はこのアラス包囲でほぼ終了と言ってよかった、あとはフリートヘルム・テオドールの遊撃隊、国王自ら率いヴァレンティンが補佐をする本隊、の結果待ちであった。
「しかし、このような大胆な策よく思い付くものだな」
誰ともなしに呟くオルトヴィーンの言葉に側近が質問する。
「レイヴン卿の秘蔵の軍師だそうですが、カイ殿の他にそのような方がおられたのですか?」
その質問に、ゲルトラウデの姿を思い出し苦笑いを浮かべた、『可愛い少女だ』といっても冗談だと思うだろうな、そう思うと愉快な気分にさえなっていた。側近たちはその笑いの意味がわからず困惑するのみであった。
モゾモゾと食事をとるテオドールとフリートヘルム一行は皆黙って食事をしていた、緊張感はあったが正直退屈であった。
「お口に会いますか?」
うまくなさそうに食べているフリートヘルムに暇つぶしも兼ねて質問した。
「正直保存食は塩味が濃すぎるな、まあ日持ちさせるため仕方ない事ではあるのだがな」
「まぁ祝勝パーティーまでの我慢ですね」
もう祝勝パーティーの話を始めているテオドールのことがこういう時には非常に頼もしかった、しかしテオドールとて絶対の自信があるわけではなかった、なにしろ今までの戦闘経験は、盗賊退治、村の防衛戦、くらいなもので侵攻戦は今回が初めてである、愉快なことでも考えなければやっていられないというのが本音であった、ただでさえ村へ戻る時間も村から援軍を呼び寄せる時間もないため、王都に連れてきた若年者ばかり25名を引き連れての出陣であり、周りにはベテランと言える者は一人もいない、しかも今回の旅行で村から同行した娘と婚約が成立したカップル4名、王都で歌姫を射止めた者1名の計5名が新婚予定なのである、未亡人を作ってしまったらどうしようか、考えると胃に穴が開きそうな痛みを覚える。
こういった不安感を女で紛らわせたいという気持ちもこうなってみると分かる気がする、しかし、チラッとアストリッドを見ると、手を出したら斬られるな、と気分が萎えるのが自分でもはっきりと分かった。そういう意味では、兵士の暴走防止にこれ以上ない防波堤となってた。
「しかし、暇ですな」
そのアストリッドがボソリと呟く、出陣前に目立つ行動の絶対厳禁を言い渡しており、やっと戦場で暴れられるという時に隠密行動をすることになり、かなりフラストレーションがたまっていた。
「この作戦は少数で敵の多数を撃つという兵法の常道から外れたものです、要となるのはあなたのような一騎当千の剣士でしょうね、その剣を振るう時まであとしばらくの我慢ですよ」
彼女はテオドールのその言葉を聞くと非常に満足そうに頷いていた、戦闘を餌にするとおとなしくなる、絶対に育て方を間違ったとしか思えないが、剣の腕だけ見れば育成に成功したとも言えなくはないため、難儀なものを感じていた。
「作戦で思い出したのだが、ゲルトラウデ殿少しいいかな?」
いきなりフリートヘルムに名指しされ少し驚いたが、作戦説明なら自信があるのが、勝手に話してもいいものかどうか、テオドールの方をチラッと見ると、頷くテオドールが見えた事もあり、「はい」と了承の返事を出した。
「作戦立案は非常に見事と感服したのだが、卿らの立場であれば、アラスのみを落とすという従来の作戦の方がこのようなリスクを負わなくてよく、あえてこの作戦を提案する必要はなかったのではないかな?」
彼の質問にゲルトラウデは固まってしまった、如何に攻略するか?それのみを考えてゲーム感覚で以前に立案した作戦を急に振られて発表したというだけであり、それ以上の事はあまり考えていなかったというのが本音であった。
「理由はわりと簡単なんですよ、質問で返させていただきますが、アラスのみを落とし伯爵領に組み込んだとして維持はどうなると思いますか?」
ゲルトラウデが固まっている様子を見たテオドールからの回答に対し、フリートヘルムは少し考えると、回答を出した。
「不可能とまでは言わんが、維持にはかなりの負担がかかりそうだな」
「でしょうね、リンブルクにしてもとっとと取り戻したいから攻め寄せてきて泥沼の紛争地帯と化す可能性が高いのでは?そんな事を考えたんですよ、そうなればその都度援軍を要請されて、それこそ戦費でえらいことになります。だったらむしろ、3つ全て取ればこの地域を諦めざるを得ないだろう、という考えですね」
その説明を受けフリートヘルムは感心すると同時にこのテオドールの本質が戦略家なのではないか?と思うようになってきていた、直接的には知らないが先代のレギナントは父から聞く話によれば戦術家としての色合いが強かったように思われた、しかし今の話を聞く限りでは、その発想は戦術家のそれではなく広域的視野に立った戦略家のそれであるように考えられた。
そして同時にもう一つの疑問もわいてきた、論功行賞で何を要求するつもりなのであろうか?という部分であった、奪取した地域全てを伯爵領に組み込みなど絶対にありえないだろう、どこを領有するにしろ飛び地となるわけだが、その要求が通るか通らないかは分からないが、彼はどこを狙うのであろうか?そんな事が気になった。
「見事な戦略眼でありますな、戦後どの地域を報酬として要求されるおつもりですかな?」
「ああ、そういう面倒な交渉は全部まかせることにしています」
即答であった、誰に任せるつもりなのかは言わなくても分かっていた、あれが出てくると、何を要求してくるのか空恐ろしい、そんな事を考えながら、まったく別の質問を開始した。
「そういえば、第二子はまだですかな?父も首を長くして待っています、是非がんばってみては?」
「本音は?」
「妊娠中なら出てこないだろう、流石に」
フリートヘルムも随分と丸くなったものだと、そんな事を考えてしまった。以前なら戦場でそんな冗談を言う事などまずなかったと思われるが、実戦を経験し、屈辱を味わい、かなり人間ができてきたのかもしれない。しかし、そんな談笑もフリートヘルムの側近の呟きで凍り付いてしまった。
「女は子を産むたびに強くなりますよ」
あれ以上ヒルデガルドが強くなったらどうなるだろうか?そういえば年々口が悪くなっている気がする、そんな事を考えると、沈黙してしまうしかなかった。
以前の大戦に比べれば奇襲的な意味合いが強く、軍勢もかなり少なかったが、それでも大きく版図が変わるかもしれない、そんな高揚感を皆が共有していた。
「フリートヘルム様が心配ですかな?」
オルトヴィーンの側近が声を掛けるが、薄く笑い否定する。
「心配いらんよ、死神の護衛付きだからな」
日が昇りだし、側近に促されオルトヴィーンは号令をかける。
「何度も我が領を欲せんと侵攻して来たリンブルクに今こそ目にもの見せてやらん!全軍進めい!」
日の出と共に始まった攻撃は目立った反撃のないまま国境近くの村アラスを重包囲する形で膠着状態となった。
元々目立った抵抗の意思もなく、籠城した上で援軍を待つ戦術であるだけに、ここまでは両軍とも計算通りの展開を迎えていた。
元々最前線の村アラスのみで伯爵領からの軍勢に対抗するのには限界があり、アラス北西にあるエンナ、アラス北方にある城塞都市カディス、その3か所が相互防御で補い合う間にさらなる援軍で撃退する。それが必勝の迎撃策であった。
もちろん最初から迎撃困難な大軍が来る場合も考えられたが、その場合は準備段階の動きで動向はある程度分かってしまうものであった、諜報活動にはどの国も余念がなかったのだから。
今回のケースは結婚式を隠れ蓑に、侯爵領を中心に少しづつ兵を移動させ、敵が気付かぬうちに一気に最前線のみを落とすという当初の戦略に少し手を加え、一気に三か所を制圧するというものであり、オルトヴィーンの役割はこのアラス包囲でほぼ終了と言ってよかった、あとはフリートヘルム・テオドールの遊撃隊、国王自ら率いヴァレンティンが補佐をする本隊、の結果待ちであった。
「しかし、このような大胆な策よく思い付くものだな」
誰ともなしに呟くオルトヴィーンの言葉に側近が質問する。
「レイヴン卿の秘蔵の軍師だそうですが、カイ殿の他にそのような方がおられたのですか?」
その質問に、ゲルトラウデの姿を思い出し苦笑いを浮かべた、『可愛い少女だ』といっても冗談だと思うだろうな、そう思うと愉快な気分にさえなっていた。側近たちはその笑いの意味がわからず困惑するのみであった。
モゾモゾと食事をとるテオドールとフリートヘルム一行は皆黙って食事をしていた、緊張感はあったが正直退屈であった。
「お口に会いますか?」
うまくなさそうに食べているフリートヘルムに暇つぶしも兼ねて質問した。
「正直保存食は塩味が濃すぎるな、まあ日持ちさせるため仕方ない事ではあるのだがな」
「まぁ祝勝パーティーまでの我慢ですね」
もう祝勝パーティーの話を始めているテオドールのことがこういう時には非常に頼もしかった、しかしテオドールとて絶対の自信があるわけではなかった、なにしろ今までの戦闘経験は、盗賊退治、村の防衛戦、くらいなもので侵攻戦は今回が初めてである、愉快なことでも考えなければやっていられないというのが本音であった、ただでさえ村へ戻る時間も村から援軍を呼び寄せる時間もないため、王都に連れてきた若年者ばかり25名を引き連れての出陣であり、周りにはベテランと言える者は一人もいない、しかも今回の旅行で村から同行した娘と婚約が成立したカップル4名、王都で歌姫を射止めた者1名の計5名が新婚予定なのである、未亡人を作ってしまったらどうしようか、考えると胃に穴が開きそうな痛みを覚える。
こういった不安感を女で紛らわせたいという気持ちもこうなってみると分かる気がする、しかし、チラッとアストリッドを見ると、手を出したら斬られるな、と気分が萎えるのが自分でもはっきりと分かった。そういう意味では、兵士の暴走防止にこれ以上ない防波堤となってた。
「しかし、暇ですな」
そのアストリッドがボソリと呟く、出陣前に目立つ行動の絶対厳禁を言い渡しており、やっと戦場で暴れられるという時に隠密行動をすることになり、かなりフラストレーションがたまっていた。
「この作戦は少数で敵の多数を撃つという兵法の常道から外れたものです、要となるのはあなたのような一騎当千の剣士でしょうね、その剣を振るう時まであとしばらくの我慢ですよ」
彼女はテオドールのその言葉を聞くと非常に満足そうに頷いていた、戦闘を餌にするとおとなしくなる、絶対に育て方を間違ったとしか思えないが、剣の腕だけ見れば育成に成功したとも言えなくはないため、難儀なものを感じていた。
「作戦で思い出したのだが、ゲルトラウデ殿少しいいかな?」
いきなりフリートヘルムに名指しされ少し驚いたが、作戦説明なら自信があるのが、勝手に話してもいいものかどうか、テオドールの方をチラッと見ると、頷くテオドールが見えた事もあり、「はい」と了承の返事を出した。
「作戦立案は非常に見事と感服したのだが、卿らの立場であれば、アラスのみを落とすという従来の作戦の方がこのようなリスクを負わなくてよく、あえてこの作戦を提案する必要はなかったのではないかな?」
彼の質問にゲルトラウデは固まってしまった、如何に攻略するか?それのみを考えてゲーム感覚で以前に立案した作戦を急に振られて発表したというだけであり、それ以上の事はあまり考えていなかったというのが本音であった。
「理由はわりと簡単なんですよ、質問で返させていただきますが、アラスのみを落とし伯爵領に組み込んだとして維持はどうなると思いますか?」
ゲルトラウデが固まっている様子を見たテオドールからの回答に対し、フリートヘルムは少し考えると、回答を出した。
「不可能とまでは言わんが、維持にはかなりの負担がかかりそうだな」
「でしょうね、リンブルクにしてもとっとと取り戻したいから攻め寄せてきて泥沼の紛争地帯と化す可能性が高いのでは?そんな事を考えたんですよ、そうなればその都度援軍を要請されて、それこそ戦費でえらいことになります。だったらむしろ、3つ全て取ればこの地域を諦めざるを得ないだろう、という考えですね」
その説明を受けフリートヘルムは感心すると同時にこのテオドールの本質が戦略家なのではないか?と思うようになってきていた、直接的には知らないが先代のレギナントは父から聞く話によれば戦術家としての色合いが強かったように思われた、しかし今の話を聞く限りでは、その発想は戦術家のそれではなく広域的視野に立った戦略家のそれであるように考えられた。
そして同時にもう一つの疑問もわいてきた、論功行賞で何を要求するつもりなのであろうか?という部分であった、奪取した地域全てを伯爵領に組み込みなど絶対にありえないだろう、どこを領有するにしろ飛び地となるわけだが、その要求が通るか通らないかは分からないが、彼はどこを狙うのであろうか?そんな事が気になった。
「見事な戦略眼でありますな、戦後どの地域を報酬として要求されるおつもりですかな?」
「ああ、そういう面倒な交渉は全部まかせることにしています」
即答であった、誰に任せるつもりなのかは言わなくても分かっていた、あれが出てくると、何を要求してくるのか空恐ろしい、そんな事を考えながら、まったく別の質問を開始した。
「そういえば、第二子はまだですかな?父も首を長くして待っています、是非がんばってみては?」
「本音は?」
「妊娠中なら出てこないだろう、流石に」
フリートヘルムも随分と丸くなったものだと、そんな事を考えてしまった。以前なら戦場でそんな冗談を言う事などまずなかったと思われるが、実戦を経験し、屈辱を味わい、かなり人間ができてきたのかもしれない。しかし、そんな談笑もフリートヘルムの側近の呟きで凍り付いてしまった。
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