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王国動乱
それぞれの戦い
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テオドール達が屋敷から消えると、監視役の執事達は騒然となった、しかし、ヒルデガルドをはじめとした女性陣やグレゴール、エトヴァンなどは残っており普段と変わらぬ日常を送ろうとしていた。
「レイヴン卿はどちらに?」
「さぁ?あなた達知ってる?」
尋ねられたユリアーヌスはイゾルデや周りの者に聞くが皆すっとぼけた反応で返す。その明らかに恍けた反応は挑発の意味を込めているかのように感じられた。
しかし、執事達の任務はあくまで監視であり、それ以上の指示が出ていない以上、『消えた』という報告をする事しかできない現状でもあった。
それにしても、ヒルデガルドをはじめとした面々の落ち着きぶりは異様なものすら感じさせた、むしろグレゴールやエトヴァンの方が落ち着きがないようにすら見受けられた。
「落ち着いたら一回くらい村に来てみたらどう?孫の顔も見て見たいんじゃないの?」
お茶会の席でヒルデガルドにそんな話を振られたグレゴールは、少し頬を緩ませ笑顔を見せる。
「ゲオルグの子を見ることができるなんて全く思っていなかっただけに、感無量とはこのことですな」
「村の男達からけっこう恨みを買ってたのよ、『なんであいつが!』ってね」
事実であった、アシスタントとして付けられていたが、コミュニケーションが取りづらく性格的にも積極性など皆無といっていいゲオルグがどうやって口説いたのか未だ多くの謎を残していた。
そんな話を愉快そうにするユリアーヌス達であったが、内心ではかなり恐れを抱いていた、テオドール達が王都より抜け出すも、自分達まで抜け出す事は今後を考えれば避けた方が無難であった。
あくまで正統を謳う上でテオドール達は侵略軍を撃退するための出撃であったと堂々と言えるだけの大義名分があるが、ヒルデガルド達が王都を脱出すれば、それは逃げたとしか映らない可能性が高く、どうしても堂々と居座る事が今後の統治を考えれば必要と考えられた。
もし王から暗殺の指令が下ったとしたら、抗う術は皆無と言ってよく、覚悟を決めての居残りであった。もし暗殺指令が下ったら語り草になるほどの見事な散り様を見せてやろうではないかという覚悟を皆が持ってはいたが、それでも『怖い』という感情を完全に払拭することはできなかった。
緊張状態は5日ほどで終焉を迎えた、ヴァレンティンが自領より援軍を率いて王都に到着し、翌日にはフリートヘルムが到着した事により、彼女達の安全を脅かす要素は完全に消滅した状態となった。陣営が揃ったのを確認すると、公爵邸へ本営を移し来るべき時に備えて謀議を重ね、その時を待った。
「伝令の速度を考えて、あと7日ほどでしょうか?」
フリートヘルムの問い掛けにヴァレンティンも「そのくらいであろう」と鷹揚に頷く。もしテオドールの読みが当たっているとしたら、公爵領に入ってすぐに捕縛される事が予想されており、そこから伝令が王都に到着するとして5日はかかる、現状国王は無事であろうが、2日後には捕らえられる事が予想されているという事であった。
状況の予想はできていたが、その予想をフェルディナントに報せようとする者はいなかったのであり、元々その予想を立てたテオドールにしても冷遇されることがなく良好な関係を維持していれば、このような事態に陥る前にオスカーを討伐する事も可能であったのだが、どう考えても無害なテオドールを遠ざけ、危険な事が分かっていたオスカーを甘く見たが故の失態であった。
「なるべく王都で流血騒ぎは避けたいところだな」
そんなヴァレンティンの呟きであったが、皆の代弁でもあった。
「子が出来たと聞いているが、どうするつもりなのだ?」
更に重ねて問うヴァレンティンに対し、ヒルデガルドの回答は素っ気なくものであった。
「どうもしないわよ、身重な状態で解放してもたいへんでしょうから生まれた後でフェルディナントの落ち着き先に母子共々送ってあげるつもりよ」
少し安心したような顔のヴァレンティンに対し、フリートヘルムはかなり怪訝な表情でヒルデガルドに尋ねる。
「おまえの事だから後顧の憂いを無くすために、殺害すると思っていたんだがな」
「私は平和主義者よ」
軽く笑いながら言うヒルデガルドに対しその場にいたすべての者が『それはない』そう思った、しかし真意の分からぬフリートヘルムは更に問いかけた。
「本音で言え、どういう意図なのだ?」
「理由1、血塗られたスタートでは外聞が悪いわ、避けられるなら避けるべきね。理由2、フェルディナントが生きているなら子供の生死はそこまで重要じゃないわ。理由3、どっちに着くのかはっきりさせるために分かりやすい旗頭が居た方が都合がいいって側面があるわね、以上よ」
一気に言われた理由を反芻するように考えると、納得はしたが若干不安そうな顔で尋ねた。
「戦力比はどのくらいになると予想する?」
「8:1:1ね、オスカー次第でしょうけど」
多少甘く見積もっているのかもしれないが、自陣営を8と考える彼女の思考に揺るぎはなかった、不確定要素はかなりあるが、順調に進むならこの戦力比で行けると何度も計算したシミュレーション結果であった。
「あとは外交次第だな」
まだフェルディナント健在の時点で退位後の戦略にまで考えを巡らす彼らを見たら、フェルディナントはどう思うであろうかは分からないが、少なくともフェルディナントの受難を予見したテオドールの予想は見事に当たり、その予想に基づいた戦略も着々と進行していた。
暗闇の中獲物を狙う肉食獣のように、獰猛な兵士達は号令を待ちわびていた。痺れを切らしそうなところであるが、伯爵領から選りすぐられた精鋭を借り受けているだけに突撃命令の瞬間まで物音一つ立てず闘志のみを燃やしていた。
そんな中、見張り塔や門の上に位置するところで篝火の下、見張りをして者が急に倒れ込むのが見て取れた、一人は声もなく、一人はうめき声を立てながら。それが合図であった、怒声を上げる者など一人もおらず粛々と村へ向かい突撃を開始した。
深夜寝静まった村を急襲したテオドールの配下とフリートヘルムから借り受けた連合軍約千名は人口5百人の村を一瞬で殲滅し暗闇の中に消えて行った、後には一人の生存者もおらず正に凄惨な殺戮の痕が残されるのみであった。
深夜に襲い、2時間かかることなく殲滅し次の村方面に明け方近くまで移動した後で休息を開始し、日が暮れる頃に再度移動と攻撃を開始する。そんな昼夜逆転したような戦術で五か所の村を5日で落とすという離れ業が成功したのは、村の警戒の甘さが一役買っていた。
テオドールが狙った村は侯爵領と国境を接する村から見ると少し内側に位置するところにあり、前線から若干遠いところにある村であった。前線ではおこぼれを狙う傭兵崩れが出没する事も多く警戒心が強い傾向があったが、テオドールが狙ったのは比較的安定した地域という事もあり警戒心は薄く、しかも今回の戦役による徴兵で屈強な村人は留守にしていたという事も災いしていた。
予定の村々を陥落させ、まず第一段階の終了を想定内の被害で成功させる事が出来たテオドールはここまでの進行状況に一先ず安堵していたが、そんな中アストリッドは不満顔で噛みついてきた。
「少しよろしいでしょうか」
アストリッドは良くも悪くも真っ直ぐな気質であるが故に不満がある時はすぐ顔に出る、今回も不満があって何か言いたいことがあるのだろうとすぐに見当がついた。
「女子供まで殺す必要はないのではないか?そんなところかな?」
アストリッドの言いたい事そのものであった、側で聞いていたゲルトラウデにしろ心情的にはそんな事はしたくないと思っていたが、一緒になって作戦を考える際にその葛藤は乗り越えていた。
「その通りです」
「今回の目的は後方撹乱にある、後方で派手に暴れまわる必要があるわけだが、警戒されたら困難になる、つまり相手が気付かないうちになるべく多くの戦果を出さなくてはならない、もし女子供を生かしてそこから近隣に情報が回ればあっという間に警戒される、情報封鎖のために甘い事は言っていられない」
言われて唇を噛み締めるしかないアストリッドだが、戦術が全く分からないわけでもなく、効率を考えるとその方法の有効性も理解できるだけに、何も言えなくなってしまった。
「アストリッドさん、伯爵様の兵士に46名の戦死者が出ています、テオドール様の配下からも2名の戦死者が出ています、その数を一人でも少なくするための作戦です、悪魔だの死神だのという非難を共に受ける覚悟ならすでにできています、あなたが正義の剣士でありたいならそれでけっこうです、地獄へは私がお供しますので」
やはりゲルトラウデはアストリッドの事が好きになれないと感じていたが、言葉にしてみる事によって改めて理由が分かった気がした。綺麗事にこだわり過ぎるのだと、目的のために手段選ばず、それが戦争であるはずなのに綺麗事に拘る、その拘りによって味方により多くの犠牲が出る可能性まで考えが及んでいないのであろうことが予想できてしまったからだ。
「剣士アストリッドに天国の扉が開かれんことを、地獄から眺めさせてもらうよ」
テオドールの言葉で終了となった、アストリッドにとって感情と理屈の狭間での葛藤であったが、自分の生きる道の模索でもあり、その答えが出るのはもう少し先の話となってしまっていた。
「レイヴン卿はどちらに?」
「さぁ?あなた達知ってる?」
尋ねられたユリアーヌスはイゾルデや周りの者に聞くが皆すっとぼけた反応で返す。その明らかに恍けた反応は挑発の意味を込めているかのように感じられた。
しかし、執事達の任務はあくまで監視であり、それ以上の指示が出ていない以上、『消えた』という報告をする事しかできない現状でもあった。
それにしても、ヒルデガルドをはじめとした面々の落ち着きぶりは異様なものすら感じさせた、むしろグレゴールやエトヴァンの方が落ち着きがないようにすら見受けられた。
「落ち着いたら一回くらい村に来てみたらどう?孫の顔も見て見たいんじゃないの?」
お茶会の席でヒルデガルドにそんな話を振られたグレゴールは、少し頬を緩ませ笑顔を見せる。
「ゲオルグの子を見ることができるなんて全く思っていなかっただけに、感無量とはこのことですな」
「村の男達からけっこう恨みを買ってたのよ、『なんであいつが!』ってね」
事実であった、アシスタントとして付けられていたが、コミュニケーションが取りづらく性格的にも積極性など皆無といっていいゲオルグがどうやって口説いたのか未だ多くの謎を残していた。
そんな話を愉快そうにするユリアーヌス達であったが、内心ではかなり恐れを抱いていた、テオドール達が王都より抜け出すも、自分達まで抜け出す事は今後を考えれば避けた方が無難であった。
あくまで正統を謳う上でテオドール達は侵略軍を撃退するための出撃であったと堂々と言えるだけの大義名分があるが、ヒルデガルド達が王都を脱出すれば、それは逃げたとしか映らない可能性が高く、どうしても堂々と居座る事が今後の統治を考えれば必要と考えられた。
もし王から暗殺の指令が下ったとしたら、抗う術は皆無と言ってよく、覚悟を決めての居残りであった。もし暗殺指令が下ったら語り草になるほどの見事な散り様を見せてやろうではないかという覚悟を皆が持ってはいたが、それでも『怖い』という感情を完全に払拭することはできなかった。
緊張状態は5日ほどで終焉を迎えた、ヴァレンティンが自領より援軍を率いて王都に到着し、翌日にはフリートヘルムが到着した事により、彼女達の安全を脅かす要素は完全に消滅した状態となった。陣営が揃ったのを確認すると、公爵邸へ本営を移し来るべき時に備えて謀議を重ね、その時を待った。
「伝令の速度を考えて、あと7日ほどでしょうか?」
フリートヘルムの問い掛けにヴァレンティンも「そのくらいであろう」と鷹揚に頷く。もしテオドールの読みが当たっているとしたら、公爵領に入ってすぐに捕縛される事が予想されており、そこから伝令が王都に到着するとして5日はかかる、現状国王は無事であろうが、2日後には捕らえられる事が予想されているという事であった。
状況の予想はできていたが、その予想をフェルディナントに報せようとする者はいなかったのであり、元々その予想を立てたテオドールにしても冷遇されることがなく良好な関係を維持していれば、このような事態に陥る前にオスカーを討伐する事も可能であったのだが、どう考えても無害なテオドールを遠ざけ、危険な事が分かっていたオスカーを甘く見たが故の失態であった。
「なるべく王都で流血騒ぎは避けたいところだな」
そんなヴァレンティンの呟きであったが、皆の代弁でもあった。
「子が出来たと聞いているが、どうするつもりなのだ?」
更に重ねて問うヴァレンティンに対し、ヒルデガルドの回答は素っ気なくものであった。
「どうもしないわよ、身重な状態で解放してもたいへんでしょうから生まれた後でフェルディナントの落ち着き先に母子共々送ってあげるつもりよ」
少し安心したような顔のヴァレンティンに対し、フリートヘルムはかなり怪訝な表情でヒルデガルドに尋ねる。
「おまえの事だから後顧の憂いを無くすために、殺害すると思っていたんだがな」
「私は平和主義者よ」
軽く笑いながら言うヒルデガルドに対しその場にいたすべての者が『それはない』そう思った、しかし真意の分からぬフリートヘルムは更に問いかけた。
「本音で言え、どういう意図なのだ?」
「理由1、血塗られたスタートでは外聞が悪いわ、避けられるなら避けるべきね。理由2、フェルディナントが生きているなら子供の生死はそこまで重要じゃないわ。理由3、どっちに着くのかはっきりさせるために分かりやすい旗頭が居た方が都合がいいって側面があるわね、以上よ」
一気に言われた理由を反芻するように考えると、納得はしたが若干不安そうな顔で尋ねた。
「戦力比はどのくらいになると予想する?」
「8:1:1ね、オスカー次第でしょうけど」
多少甘く見積もっているのかもしれないが、自陣営を8と考える彼女の思考に揺るぎはなかった、不確定要素はかなりあるが、順調に進むならこの戦力比で行けると何度も計算したシミュレーション結果であった。
「あとは外交次第だな」
まだフェルディナント健在の時点で退位後の戦略にまで考えを巡らす彼らを見たら、フェルディナントはどう思うであろうかは分からないが、少なくともフェルディナントの受難を予見したテオドールの予想は見事に当たり、その予想に基づいた戦略も着々と進行していた。
暗闇の中獲物を狙う肉食獣のように、獰猛な兵士達は号令を待ちわびていた。痺れを切らしそうなところであるが、伯爵領から選りすぐられた精鋭を借り受けているだけに突撃命令の瞬間まで物音一つ立てず闘志のみを燃やしていた。
そんな中、見張り塔や門の上に位置するところで篝火の下、見張りをして者が急に倒れ込むのが見て取れた、一人は声もなく、一人はうめき声を立てながら。それが合図であった、怒声を上げる者など一人もおらず粛々と村へ向かい突撃を開始した。
深夜寝静まった村を急襲したテオドールの配下とフリートヘルムから借り受けた連合軍約千名は人口5百人の村を一瞬で殲滅し暗闇の中に消えて行った、後には一人の生存者もおらず正に凄惨な殺戮の痕が残されるのみであった。
深夜に襲い、2時間かかることなく殲滅し次の村方面に明け方近くまで移動した後で休息を開始し、日が暮れる頃に再度移動と攻撃を開始する。そんな昼夜逆転したような戦術で五か所の村を5日で落とすという離れ業が成功したのは、村の警戒の甘さが一役買っていた。
テオドールが狙った村は侯爵領と国境を接する村から見ると少し内側に位置するところにあり、前線から若干遠いところにある村であった。前線ではおこぼれを狙う傭兵崩れが出没する事も多く警戒心が強い傾向があったが、テオドールが狙ったのは比較的安定した地域という事もあり警戒心は薄く、しかも今回の戦役による徴兵で屈強な村人は留守にしていたという事も災いしていた。
予定の村々を陥落させ、まず第一段階の終了を想定内の被害で成功させる事が出来たテオドールはここまでの進行状況に一先ず安堵していたが、そんな中アストリッドは不満顔で噛みついてきた。
「少しよろしいでしょうか」
アストリッドは良くも悪くも真っ直ぐな気質であるが故に不満がある時はすぐ顔に出る、今回も不満があって何か言いたいことがあるのだろうとすぐに見当がついた。
「女子供まで殺す必要はないのではないか?そんなところかな?」
アストリッドの言いたい事そのものであった、側で聞いていたゲルトラウデにしろ心情的にはそんな事はしたくないと思っていたが、一緒になって作戦を考える際にその葛藤は乗り越えていた。
「その通りです」
「今回の目的は後方撹乱にある、後方で派手に暴れまわる必要があるわけだが、警戒されたら困難になる、つまり相手が気付かないうちになるべく多くの戦果を出さなくてはならない、もし女子供を生かしてそこから近隣に情報が回ればあっという間に警戒される、情報封鎖のために甘い事は言っていられない」
言われて唇を噛み締めるしかないアストリッドだが、戦術が全く分からないわけでもなく、効率を考えるとその方法の有効性も理解できるだけに、何も言えなくなってしまった。
「アストリッドさん、伯爵様の兵士に46名の戦死者が出ています、テオドール様の配下からも2名の戦死者が出ています、その数を一人でも少なくするための作戦です、悪魔だの死神だのという非難を共に受ける覚悟ならすでにできています、あなたが正義の剣士でありたいならそれでけっこうです、地獄へは私がお供しますので」
やはりゲルトラウデはアストリッドの事が好きになれないと感じていたが、言葉にしてみる事によって改めて理由が分かった気がした。綺麗事にこだわり過ぎるのだと、目的のために手段選ばず、それが戦争であるはずなのに綺麗事に拘る、その拘りによって味方により多くの犠牲が出る可能性まで考えが及んでいないのであろうことが予想できてしまったからだ。
「剣士アストリッドに天国の扉が開かれんことを、地獄から眺めさせてもらうよ」
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