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王国動乱
エピローグ
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ひっそりと城からの脱出を計る一行はフード付きの外套に隠されて正体も表情も窺えないが、誰一人見送る者もいない隠密行動であった。
その様子を表立って見送ることはしなかったが、バルコニーから眺めるエレンの目には楽し気な色さえ浮かんでいた。
足掻き続けるフェルディナントの姿が非常に楽しかったのだ、オスカーのように城に籠って王様ごっこに興じる者は一見すると滑稽で面白かったが、流石に飽きてきてしまった、籠っていても最後に待っているのはすり潰されるように訪れる破滅のみである事が理解できているフェルディナントは活路を求めて打って出る事とした、その勇者のような勇ましい行動に吟遊詩人の語る英雄譚を見るようで胸が熱くなる想いを抱いていた。勝ち負けなどどうでもよく、物語が盛り上がりさえすれば後の事はどうでもいいとまで思っている彼女にとって彼の存在は道化師オスカーなどとは比べ物にならない演者であった。
「こんな所にいたのか、フェルディナントの出立か?奴も自分の身分をよくわきまえて働きおる、事がなった暁には排除されるとは夢にも思うまいな」
バルコニーに現れ、もう影も見えなくなったフェルディナントにさして興味も示さず、愉快そうに笑う。エレンにすればこの状況でよくそこまで都合のいい夢を見られるのか聊いささか羨ましくさえ感じてしまった。
「まだ暗い、身体に障る故ゆっくり休むがよい、男児ならそこらの領主くらいにはしてやるからな」
「はい、ありがとうございます」
まだ確定ではないが、予定日を過ぎても月のものは訪れず妊娠の可能性があり、その事を告げるもオスカーはさして興味を示す事はなかった。愛妾との間にも何人もの子がおり、いまさら増えたところでどうでもいいとさえ考えていた節があった。
「さ~て、あなたの父親はどっちでしょうね~」
オスカーが立ち去った後の誰もいないバルコニーでさも面白そうに呟きを聞いた者は誰もいなかった。
その様子を表立って見送ることはしなかったが、バルコニーから眺めるエレンの目には楽し気な色さえ浮かんでいた。
足掻き続けるフェルディナントの姿が非常に楽しかったのだ、オスカーのように城に籠って王様ごっこに興じる者は一見すると滑稽で面白かったが、流石に飽きてきてしまった、籠っていても最後に待っているのはすり潰されるように訪れる破滅のみである事が理解できているフェルディナントは活路を求めて打って出る事とした、その勇者のような勇ましい行動に吟遊詩人の語る英雄譚を見るようで胸が熱くなる想いを抱いていた。勝ち負けなどどうでもよく、物語が盛り上がりさえすれば後の事はどうでもいいとまで思っている彼女にとって彼の存在は道化師オスカーなどとは比べ物にならない演者であった。
「こんな所にいたのか、フェルディナントの出立か?奴も自分の身分をよくわきまえて働きおる、事がなった暁には排除されるとは夢にも思うまいな」
バルコニーに現れ、もう影も見えなくなったフェルディナントにさして興味も示さず、愉快そうに笑う。エレンにすればこの状況でよくそこまで都合のいい夢を見られるのか聊いささか羨ましくさえ感じてしまった。
「まだ暗い、身体に障る故ゆっくり休むがよい、男児ならそこらの領主くらいにはしてやるからな」
「はい、ありがとうございます」
まだ確定ではないが、予定日を過ぎても月のものは訪れず妊娠の可能性があり、その事を告げるもオスカーはさして興味を示す事はなかった。愛妾との間にも何人もの子がおり、いまさら増えたところでどうでもいいとさえ考えていた節があった。
「さ~て、あなたの父親はどっちでしょうね~」
オスカーが立ち去った後の誰もいないバルコニーでさも面白そうに呟きを聞いた者は誰もいなかった。
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