生まれるはずだった人

大切な時間

赤ちゃんが無事に帰ってきたけれど…

ヨサク「あっ、使徒様…」


クハク「帰ってきたな」


使徒「お疲れ様です。無事に守りの子は母親を見つけることができました。」



クハク「…そうか…良かったな」


ヨサク「さっすがー！！君すごいねぇー！」


赤ちゃん「あーー」


クハクは意味も知らないで赤ちゃんの頭を撫でた

私は赤ちゃんの頬っぺたをプニプニいじった





使徒「あと、ここは神聖な場所なので静かにするように…」


使徒の言うタイミングが悪いのかはよくわからないけれど



その時、神殿の近くで殴る音がした


ある研修生はずっと泣いて、そのサポーターはずっと殴っているのを見た
その赤ちゃんも芝生の地面に置かれ、泣いていた


それを見た使徒は顔を手で覆ってはぁーとため息をついた


私の黄色い目に映ったのはごめんなさい、ごめんなさいと謝っている研修生の姿と容赦なく殴っているサポーターの姿

研修生は攻撃を受けているうちに歯がとれたり金色の血が飛び散ったりしていて何度も何度も土下座を繰り返していた


あの神聖な場所で



止めたいが、私にはどうしようもできない。


だって、研修生だから

研修生はサポーターの指示に従い、サポーターの手伝いをする


サポーターは研修生に何をしてもよい。そう教えられてきたから…

ここは見て見ぬふりをして、通るしかないと思った






ん？あれ？私、サポーターに逆らってるよね？

…あーでも、私に攻撃しても何も面白く無いから攻撃しないのか…


私の体はとても丈夫だから痛くても傷ひとつつかない優れものなのだ


クハク「赤ちゃんを持っていろ」

ヨサク「えっ？！」
赤ちゃんを無理やり私に押し付けて


突然、
クハクが殴っているサポーターの方へ歩いていった




ヨサク「ちょっと！！先輩！」



何するのかは解らなかったけれど悪い予感はした




私は先輩のことを引き留めようとしたが怖くてできなかった




殴っているサポーター「ん？何だ？貴様、そんな恐ろしい顔して」



クハク「…」


殴っているサポーター「もしかして？殴りたいのか？自分の研修生に飽きたってか？ハッハッハ」


研修生は酷く震えながら土下座している

ブツブツとごめんなさいを繰り返して


殴っているサポーター「いいぜ！俺の研修生を殴っても、」




ヨサク「…やめて！」