妖怪セプテット

うー

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妖怪デュオ

正体不明

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 九尾の狐、言わずと知れた大妖怪の名前であり、日本三大妖怪の一つとして酒呑童子、大嶽丸と共に並び恐れられる存在だ。
 傾国の美女とまで呼ばれる美貌を持ち、更に神通力まで扱う。そんな妖怪だが現代社会で生き抜く玉藻前は丸くなっていた。
 とある家庭に居候として住み込み、洗濯機を回し、お風呂を洗い、料理を作る。
 その妖狐は語る。

「妾は働き者で夫を立てるたいぷの妻なのじゃ!」

 九尾の狐、たまが居候として住む賀茂家は幸か不幸か心霊の類が見える家系だった。

 たまは忠敬が学校に行っている間に彼の部屋を掃除しようと、意気込みながら部屋に入っていった。しかし、元々家具が少なく、汚れもない忠敬の部屋を掃除する箇所が無かったのだった。

「つまらん! あやつめ少しぐらいは汚せばいいものを! 丁寧に屑籠のびにーる袋まで新しいのに変えよって! 主婦か! しかも衾まで綺麗に整えよって! 主婦か!」

 たまは綺麗にされている事に対して憤慨しながら邪な気持ちを持ちながらベッドの下を覗いた。

「男は大概ここにやらしい書物が隠しておると鏡花に聞いた事があるのう! おっ」

 確かに本はあった。しかし、それはそういう類のモノではなく、写真が貼ってあるアルバムだった。
 たまが中を見るとそこには忠敬の昔の写真が貼られていた。写っていたのは忠敬と鏡花、そして父親の賀茂かも 茂敬しげゆきだ。
 忠敬と似た顔つきだった。写真の忠敬は茂敬に抱っこされておりとても嬉しそうに笑っていた。そこに今の忠敬のような枯れた顔を持つ者はいなかった。

「……ふむ。妾にはこんな顔、見せてくれんのか……おっ、いっぱい貼ってあるのう」

 パラパラとページを捲っていくと、忠敬が徐々に大きくなっていく。そして、一枚の写真を見つけた時、たまは手を止めた。それはたまにとって嬉しい写真だった。

「忠敬め。こんなモノまで記録として残しておるのか。全く……可愛い奴じゃ」

 その写真には忠敬、鏡花、茂敬、そしてたまが写っていた。たまが家族として迎え入れられた日の写真だった。

「……鏡花に頼んで妾のも作ってもらおう」


 その頃、忠敬の学校では転校生が来ていた。大阪からこちらの方に引越ししてきた女の子だった。
 黒板の前に立ち緊張しながら自己紹介を始めた。

「は、はじめまして! 大阪府の高校から転校してきた澤上江かすがえ 継美つぐみて言います! よろしくお願いします!」

 茶色の髪を後ろで一つに束ねた活発な女の子だった。忠敬は継美を一瞥すると教科書に目を通し始めた。
 休み時間になると継美の周りには人集りが出来ていた。そして、佳帆の隣の席は忠敬であった。

「ねぇねぇ! 大阪の人って毎日たこ焼き食べてるんでしょ?」

「え!? そんな事ないで!」

 転校生のお決まりと言ってもいいほどの人集りだった。大阪出身だという事もあり、ツッコミやボケを頼む者までいた。

「な、なんでやねん!」

 すぐにチャイムが鳴り、それぞれの席に戻っていった。
 継美は疲れたようにため息を吐きながら隣で教科書を見て勉強している忠敬に目がいった。

「あ、あの……」

「…………ん」

 声に出したか出していないか分からないほどの声で返事をして継美の方に顔を向けた忠敬だった。

「え、えと……その、教科書見してくれへん? うちまだ教科書もらってへんねん」

「……ん」

 忠敬はあまり絡みたくないのか次の授業で使う教科書を継美に渡した。他の科目の勉強を始めた。

「……ありがとう」

 不思議な人だな、と心の中で思いながら笑顔で礼を言い教科書を開けた。
 その日の昼休み、継美は女子の一つのグループで弁当を食べていた。そのグループに忠敬の事を聞くと女子達は首を横に振った。

「アイツやばいよ」

「やばい?」

「あたしら小学校から一緒なんだけどさ。三階なのに人が居た、とか先生の背中に女の人が居る、って一人で騒いでてさ。正直言って気持ち悪いじゃん?」

「……そう、なんや」

「だから、継美ちゃんも気を付けた方がいいよ。アイツになんか言われたらすぐに言ってね! 皆で守るから!」

 継美は一人で弁当を食べる忠敬を見つめながら密かに笑みを浮かべた。

 一方、たまは悪戦苦闘していた。自分では出来ると思っていた料理だったがレシピを見ながら料理をしても上手く出来ないのだ。
 たまが作っているのは、鏡花から教えられたいい妻は肉じゃが美味しく作れてなんぼ、という若干時代を感じる言葉を間に受けて肉じゃがを作っていた。

「ふむ、これくらいかの?」

「た、たまちゃん、それ……ジャガイモを半分に切っただけよ」

 料理下手な鏡花でさえツッコミを入れたくなるほどの腕だった。

「たまちゃん、それはカレー粉」

「かれー粉? 魚の粉なのか!?」

「違うわ。違うのよたまちゃん……今日は諦めて、出前、取ろう?」

「くっ……仕方あるまい……妾ぴっつぁというモノがよい」

 こうしてたまの料理は失敗に終わった。
 そして、夕方いつも通り帰りが遅い忠敬を迎えに行くことにした。忠敬がいつも通る通学路を人間の姿に化けて歩いていた。コンクリートで出来た地面は平安の世とは比べ物にならないほど歩きやすく、たまは歩くのが好きになった。
 学校の近くまで来た。丁度、忠敬は靴を履き替えて校門の近くまで出ていた。たまがそれに気付き忠敬の名を呼ぶと忠敬の方もたまに気付いた。
 たまは小走りで忠敬に近付いていった。

「お疲れ様じゃ。今日はぴっつぁが食えるぞ!」

「……ご飯は?」

「ふむ、失敗して諦めた! 清々しいまでの即断英断であろう」

「……まぁ、いいんじゃないか」

 たまは忠敬の腕に自身の腕を回し隣を歩いた。傍から見れば恋人のように見える。
 忠敬は無言で歩き続けた。たまも彼が喋らないため何も喋らなかった。
 昨日は悪鬼に遭遇したが今回は何事も無く家に帰ることが出来た。

「ただいま。たまもありがとうな」

「構わぬよ。お主と過ごす日々は妾の生き甲斐じゃ」

「……そうか」

 忠敬は自室に戻った。熱っぽいのかすぐに布団に入ってしまった。
 たまが風邪か、と聞くと、忠敬は寝不足だ、と布団の中でため息を吐いた。

「勉学に励みすぎじゃ。もうちょい休息を取らんからこうなるのじゃ。今日はゆっくり休むがいい」

「あぁ……そうする」

 その日の夜、忠敬は悪夢を見た。前を見えない真っ暗な世界に忠敬一人だけが存在していた。辺りには泣き声のような、悲鳴のような、物悲しい高い声がヒュー、ヒュー、と聞こえてくるだけだった。
 それが次第に近くなってくるのを感じた忠敬は、自身の手足が震えているのに気付く。恐怖していた。
 忠敬が忘れて久しい感情の一つだった。彼は周囲をキョロキョロと見回したまを探した。名を呼びながら。

『たま……たま!』

 いくら彼女の名を呼んでもたまは現れない。それどころか、忠敬の体は少しずつ透明になっていた。本当に僅かだが確実に存在が無くなっていった。

「っ……!!」

 そこで目が覚めた。恐怖により体は汗まみれで、息は切れていた。そこが暗い世界では無く、自分の部屋だと確認すると忠敬は安心したように深いため息を吐いた。

「……はぁ……はぁ……悪夢……か……」

 顔にかいた汗を手で拭きながら忠敬は体の汗を流すためにお風呂に向かった。
 夜中の一時を回った頃だった。忠敬はシャワーを顔から浴びていた。すると、浴室の扉のドアノブがゆっくりと回っている事に気が付いた忠敬の鼓動は早くなった。

「っ……」

 身構える忠敬の予想に反して入ってきたのは寝ぼけているたまだった。

「こんな時間に何をしとるんじゃ……はよう寝んと、拗らせるぞ」

「あ……あぁ、わかってる。少し汗を流したかっただけだ。もう出る……」

 たまが浴室から去った後、忠敬はすぐに上がり、新しい服に着替え自室に戻り布団に入るとすぐに寝てしまった。その時は悪夢を見なかった。

 悪夢を見てから数週間が経った。忠敬は眠る、と言う事に対して恐怖を覚えていた。あれからうたた寝してしまった程度で悪夢を見てしまうのだ。自然と寝る事を避けてしまい、治るはずだった寝不足も悪化し体調を更に崩してしまったのだ。

「……はぁ……はぁ……」

「……物の怪の臭いは感じ取れん。病気かなにかか?」

「……わか、らん……ただ……夢の中で……なき声が聞こえるんだ」

「なき声……? それはどんななき方をしておる」

 その言葉にたまは目を細めた。そして忠敬がなき声の説明をするとため息を吐いた。

「なる、ほど、のう……あとの事は妾に任せよ。お主は休め」

 たまは忠敬を苦しめている者の正体に気付いた。それは己と同じ、妖怪の仕業だった。
 それからの行動は早かった。自身の眷属である複数の野狐を町に放ちその妖怪を捜索させた。

「……獣風情が妾の夫に手を出した事、後悔させてやるわ」

 賀茂家の屋根に腰掛けて、町を眺めていた。その目は怒りに満ちていた。
 ふと、家の玄関に誰か立っているのをたまは見つけた。その者は家のチャイムを鳴らし、少しして忠敬が出てきた。

「…………澤上江か」

「大丈夫? 学校で配られたプリント持ってきてん!」

「あぁ……ありがとう」

「顔色悪いなぁ。ちゃんと休まなあかんで?」

 上からその様子を見ていたたまは忠敬を心配する者が居る、という事を知って少し安心したように笑みを浮かべた。しかし突然、眷属達の妖気が消えたのを感じ取った。

「……ふむ。鬼や天狗相手ならいざ知らず、獣相手に遅れをとるとは、舐めていたようじゃな……少し泳がせてみるか。忠敬を狙っておるのなら、忠敬の近くにおれば、何か手がかりが掴めるやもしれんのう」

 たまは忠敬と継美が別れたのを見計らい、家の中に入った。そして忠敬の部屋に居座る事にした。
 たまは眠らず布団の中で目を頑張って開けようとする忠敬を見ていた。

「寝てもよいのじゃぞ?」

「……こんな事を言ったら……笑われてしまうかもしれないが……寝るのが怖いんだ……また……あの真っ暗な……世界で、不気味な声を聞かされるのは……辛い……」

「物の怪は人を苦しませるのが生まれ持った性じゃからな……仕方あるまい。邪魔するぞ」

 不安そうな忠敬を見てられず、たまは忠敬の布団の中に入り込み添い寝するように隣に寝転んだ。

「これで少しは安心せい。妾が守ってやると言っておるじゃろう? だから、今はゆっくり目を瞑るがよい」

 安心したのか忠敬は少しずつ目を閉じていきゆっくりと眠りに落ちていった。
 たまは忠敬が起きる、二日後の朝まで寄り添っていた。

 たまが添い寝するようになってから悪夢を見なくなった忠敬は次第に元気を取り戻し始め、学校にも行けるようになった。
 学校では継美とも喋るようになり仲良くなっていった。継美が転校した来た事により、忠敬の取り巻く環境も変化していった。
 継美と仲良くなっていた女子生徒とも喋るようになっていた。このまま事態は好転すると忠敬は思っていた。

 とある日、継美と喋っていた時であった。前々から忠敬の事を快く思っていなかった男子生徒が忠敬を男子トイレで待ち伏せていた。

「お前さぁ……最近目障りだわ」

「何を言って……!」

 今までは顔などの怪我が見える箇所や致命傷になる暴力は控えていた男子達だったがその日を境にエスカレートしていき顔などに痣を作り始めた。誰が見てもいじめだと分かる傷だった。

「賀茂君……大丈夫?」

 そんな忠敬に真っ先に声をかけたのは継美だった。

「ひどいなぁ。なんで賀茂君が、こんな事されなあかんの?」

「…………いいんだ。痛くないから」

「それはちゃうやん! うちが心配するやん! 友達が怪我してて心配せえへん子なんておらんで!?」

「澤上江、お前は、優しいな」

 人間の優しさに触れた忠敬は少し嬉しそうに口元を緩めた。その日から継美との仲は深まっていった。
 一方、たまも人間の理解者を得た、と思い喜んでいた。
 傷の件に関してかなり怒っていて、傷を付けた者を本気で呪い殺そうとして忠敬に止められた。

 悪夢を見なくなってから一ヶ月経った頃の放課後、忠敬は継美の肩に動物の毛のようなモノが付着している事に気が付いた。黄色の毛だった。

「……澤上江、肩、毛が付いてるぞ」

「え? どこ?」

 継美の肩に付いている毛を指でつまんだその時、ふと人ならざる者と同じ気を感じた。その毛からだ。

「………………」

「どないしたん?」

「いや、なんでもない。珍しい色の毛だな、と思ってな」

「せやろー? うち猫飼ってんねん。黄色い毛並みやからトラって名前やねん。あ、そや! 今日放課後うちの家来るー?」

 その誘いを忠敬は断った。何か危険を察知した彼は毛を拳の中に隠しながらすぐに帰ることにした。背中に突き刺さるような視線を感じながら。
 急ぎ自宅に戻った忠敬はたまにその毛を見せた。それを見たたまは笑みを浮かべた。

「……はぁ、なんじゃ、そんな近くにおったとは、灯台下暗し、とはこの事じゃな」

 やれやれ、と頭を押さえながらたまは帯に挟んだ狐の面を手に取り、頭の上に乗せた。

「忠敬、お主が友人と思っておった、澤上江 継美と言う女……そやつは物の怪じゃ」

 それを聞いた忠敬は深く長いため息を吐いた。

「……そうか。じゃぁ、もしかして」

「考えてる事は正解やで! 賀茂君!」

 継美の明るい声が忠敬の言葉を遮るように辺りに響き二階にある忠敬の部屋の窓の外を見ると、彼女がそこに居た。

「やはり鵺、貴様か!」

 鵺、それは正体不明の存在や人物を指す時にも呼ばれる妖怪の名前だった。
 継美は窓を破壊して忠敬を抱え飛び去ってしまった。

「忠敬!」


 鵺である澤上江 継美に連れ去られた忠敬が連れてこられたのは山の頂上だった。
 継美はゆっくりと忠敬を地面に降ろした。

「……澤上江、お前が妖怪だったとはな」

「やっぱこの程度やったら怖がりもせんのか。夢ではビビってたのにな」

「……何故俺を連れ去る」

 その問いに継美は顎に手を添えて考えた。すぐに答えは出なかったが十分ほど経つと答えが出た。

「子作りの為」

「は?」

 予想外の返答に忠敬は目を丸くした。忠敬はてっきり食べられるものだと身構えていたのだ。

「いやな? うちのようなうちしかおらん妖怪は子孫残すん大変やねん。やけども普通の人間とは子供なんてでけへんし、賀茂君みたいな特殊な人間やったら出来るかなぁって、思うて」

「……なるほど。つまりはあれか、夢を見せたのは、もしかして……」

「求愛行動?」

「…………分かるわけないだろ」

 命を危険を感じていた自分が馬鹿らしくなってきた忠敬は深いため息を吐きながらその場に座り込んだ。その隣に継美も座った。

「怖がらせたんは悪いと思うてるよ。けどな、やっぱり文章でしか自分の事が残らんって嫌やん。うちはうちの生きた証が欲しいねん……それに、賀茂君やったら、うちの姿見てもビビらんやろうし」

 そう小さな声で言った継美は笑みを浮かべた。次の瞬間、火の玉が継美に向かって飛んできた。継美はそれを掌で打ち消した。

「えらい過激な挨拶やなぁ! えぇ!? 狐!」

 何かが切れたように、継美は火の玉を飛ばしてきた相手に向けて怒り始めた。
 それはたまだった。既に臨戦態勢のようで本来の姿で現れた。

「獣如きが調子に乗りおって……」

 継美は額に太い青筋を張りながら立ち上がった。猿のお面を懐から取り出すと顔に装着した。そして鵺としての姿にその身を変え始めた。
 体は狸の体毛に覆われ腕は虎の体毛に覆われた。お尻からは蛇の尻尾が生えた。

「忠敬! 離れておれ!」

「賀茂君! 気を付けや!」

「……はい」

 忠敬は少し離れた場所に座った。忠敬も実は名のある妖怪同士の戦いを見るのは初めてだった。
 鵺と狐はじっと見つめ合ったまま動きがなかった。出方を伺っていた。

「……あっ! あんな所に油揚げ!」

「なんじゃと!」

 継美は忠敬の方向を指差しそう言った。そんな子供騙しの手に引っかかる者はいないだろうと、忠敬は思った。しかし、たまはその方向にばっ、と勢いよく顔を向け忠敬と目が合った。その隙に継美は駆け出し、腕に電流を纏わせながらたまに殴りかかった。

「ぐっ……卑怯じゃぞお主!」

 その拳を九つの尻尾で受け止めたたまは、衝撃により少し後ろに下がった。

「引っかかる方が悪いねんで!」

「ぐぬぬ……あ! 主の後ろに源頼政が!」

 鵺を退治した源頼政の名前を出してたまは継美の後ろを指差した。

「同じ手が通用するわけな」

 と言いつつも継美が背後を確認すると甲冑姿の男性が弓を構えていた。それを見た継美は動きを止めた。

「……なんでおんねん!?」

「今じゃ!」

 たまが作り出した幻影を見て継美が動きを止めている内にたまは彼女が付けている猿の面を外そうとした。咄嗟に上半身を後ろに反らし、たまの手を躱した継美は逆にたまの面を取ろうとした。
 お互いの手が面に触れた瞬間、二人の面は砕け散ってしまった。すると、二人共動きを止めて人間の姿へと戻った。

「え……終わりなのか?」

「ん? 終わりじゃ」

「そうやねぇ。引き分けや」

 忠敬はキョトンとしていた。継美は説明し始めた。

「力のある妖怪同士が本気でやりおうたら周りに影響出てまうからな。江戸の時に取り決めたんや」

 九尾の狐や鵺といった強力な力を持つ妖怪同士がぶつかると地形が変わるほどの戦闘が起きる。山を住処にする妖怪、町を住処にする妖怪、川を住処に妖怪、全ての妖怪に影響が出てしまう為、江戸時代に各種族の代表によってルールを制定した、とたまはわかりやすく説明した。

「……そうか」

「うちらも死なんで済むしな」

「物の怪と言っても好き放題やっておる訳じゃないからのう。まぁ、たまにるーる無視のうつけもおるがな」

「えっと、じゃぁ、この場合……どうなるんだ?」

「せやなぁ……」

 たまは少し考えて妥協案を提案した。

「お主の目的はなんじゃ?」

「んー、賀茂君?」

「え」

「ふむ。物の怪の世界に一夫一妻の決まり事はありはせんからのう。構わん」

「ほんまぁ!?」

「……あれ、俺の意思は?」

「不束者やけど、よろしゅうな!」

「………………」

 こうして、鵺である澤上江 継美の起こした騒動は終焉を迎えた。
 その後、山に住んでいる、と明かした継美は忠敬の家に居候する事となった。忠敬の母、鏡花はそれを二つ返事で了承したのであった。
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