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百鬼
乾き
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忠敬は困惑した。何故自分がこんな目に合わなくてはならないのだろう、と、
その日、忠敬はいつも通り帰路についていた。たまと継美は用事があるといい今日は久しぶりの一人での帰り道だった。
たまや継美のいる賑やかな日常も悪くは無いが、静かな時も嫌いではない、と忠敬は思っていた。しかし、丁度その時、一人の女性がコンビニの駐車場に大型のバイクを停車させて、煙草を燻らせている姿を忠敬は目にした。
スタイルのいい女性だったが、一つだけおかしな部分があった。それは額に鬼のような角があったからだ。
「……」
その女性と目が合った。忠敬は笑みを浮かべながら近付いてくる女性を見つめていた。
女性は見下ろした。忠敬が自身の額に目を向けている事に気付き、額を指で指した。
「これが見えてんのか?」
「え、あぁ、まぁ、はい」
見た目とは裏腹に男のような口調で話す女性は角が見えている事を確認した。
忠敬が見えている、と答えると女性は驚いたように目を見開けた。そして楽しそうに言葉を繋いだ。
「そうか! ならあたしと勝負しようぜ! お前みたいな奴と勝負するのが大好きななんだ! あたしはエボシ! 鬼のエボシだ! そうと決まりゃぁ! 早く行こうぜ!」
「え」
継美の時と同様に忠敬はまたもや攫われた。タンデムシートに乗せられそのまま発進した。
エボシに連れてこられたのは古びたボウリング場だった。壁や床はヒビが入っており、今にでも崩れそうだった。
ボウリング場の周りに人が住んでいる家屋はほとんど無く、廃屋ばかりだった。
「……俺は、ただお前達が見える人間でしかないんだが……」
「こまけぇこたぁいいんだよ!」
「いや細かい事に気にしないと俺がミンチになってしまう」
拳を握り締めて構えるエボシを見て、逃れられないと察した忠敬は仕方なく、した事も無い喧嘩をするのであった。
「どっからでもかかってきな!」
忠敬はそう言われた。普通の男なら女性に手を出す事自体、憚るのが普通である。しかし忠敬は普通では無かった。拳を強く握り締めて腕を捻りながらエボシの頬に拳を打ち込んだ。
それを避ける事無く受け止めたエボシは笑みを浮かべ同じように拳を打ち込んだ。
鬼が力を抜いて叩いたとしてもそれはただの人間からすれば強い衝撃になるだろう。そしてその拳を受けた忠敬は吹っ飛ばされた。
「っぁ……!」
「人間にしちゃぁ思い切りがいいじゃねぇか!」
口や鼻から血を流しながら忠敬はなんとか保っている意識で立ち上がった。
「……流石に……痛いな」
鬼の拳により痛みを感じた忠敬は血を服で拭き取り薄く笑みを浮かべた。
「まだまだやれんだろ! もっともっと来い!」
「こうなったらヤケだ……南無三!」
その後、一時間ほど立った頃、忠敬の顔や体はボロボロになっていた。それでも倒れず居られたのはエボシが心底楽しそうだったからだ。その様子を見て忠敬も影響されたのか楽しくなっていた。
「お前人間なのによくまだ立てるな! 嫌いじゃねぇや!」
「生憎、殴られ慣れてるんでな。嫌でも打たれ強くなる」
「……やる前からちょいと気になってたんだけどよ、お前のその元々の痣は殴り合いか?」
ふとエボシは初めて見た時から気になっていた忠敬の痣について触れた。その問いに忠敬は沈黙した。
「……」
「あたしとやり合うお前は楽しそうに見えた。あたしはてっきり殴り合いが好き、なのかと思ったが……違うのか?」
「……なぁ、エボシ。俺はそんなに楽しそうに見えたか」
そう問われ、エボシは勿論、と笑顔でそう言った。
そうか、と悲しそうに忠敬は自虐気味に笑った。
「おいおい、そんな顔すんなよ。殴り合った仲だろ? そんなナリにしちまったあたしが言うのもなんだけど、気になる事があるなら話してみろ、な? 口に出すってのは大事だぞ?」
「……いや、自分では荒事が嫌い、だと思ってたんだ」
「はっ、そんな事かよ!」
拳を下げたエボシはポケットの中から煙草の箱を取り出してそこからライターと煙草一本を取りだし火をつけて吸い始めた。
「ふぅ……お前が思ってるほど、お前は弱い人間じゃねぇし、落ち着いた人間でもねぇんだろう。鬼ってのは怒りとかに敏感だからわかるんだが、お前自分が何も出来ねぇシャバい野郎だって思ってんだろ?」
「それは……否定しない」
「あたしと一緒さ……お前、乾いてんだよ」
「乾い……てる……?」
エボシの言葉に首を傾げる忠敬。それは何を言っているのか理解出来ないという事ではなく、理解は出来る、身に覚えもある、しかし何故こうなっているのかがわからなかった。
エボシは言葉を続けた。
「喉の乾きとかと一緒さ……! 足りてねぇんだよ! あたしにとっての乾きってのはこのクソつまらねぇ現状だ! あたしに歯向かう奴は鬼の中じゃぁ誰もいねぇ! 他の妖怪も力比べじゃ鬼に勝てねぇ! けどよ! つまんねぇんだよ! 他人に媚びへつらうように生きて何が楽しいんだっ!? てめぇらの人生はてめぇらで決めちまえよ! なんで他人任せなんだよ! なんで誰も彼もっ、あたしの顔ばかり伺うんだ……!」
決壊したダムから溢れる水のように激しく怒るエボシは地面を何度も踏み鳴らした。
その時、忠敬はエボシの事を羨ましいと感じていた。
「俺にとっての乾き……」
忠敬は自身の赤く腫れた拳を見てそう呟いた。己の乾きを潤すものはなんだろうかと考えていた。
「っふぅ……お前にもその乾きを、潤すモノはあるはずだぜ」
落ち着きを取り戻したエボシはフィルター部分まで灰が伸びている事に気付く煙草を指で弾きながらそう言った。
「……」
「これをしているすっげー楽しいとか、こいつと一緒にいると時間を忘れる事が出来るとか、そんなもんだ」
自分にとっての乾きの原因が何なのか、どうすればそれを潤わす事が出来るのか、何故自分がそこまで乾いているのか。何一つ分からなかった。忠敬が一つだけ分かるのは、その乾きが満たされた時、今の自分では無くなることは、理解していた。
「まぁゆっくり探すといいぜ。それとこれをお前にくれてやる」
エボシは胸の隙間から黒い指輪を忠敬に投げ渡した。
「これは?」
「鬼の角で作られた指輪だ。あたし達からしたらお守りみたいなもんだが、人間が身につけると力が湧いてくる、らしい」
「いいのか? 大事なものじゃないのか?」
「あたしはいらねぇんだ。それはお前のもんだ。とっとけとっとけ!」
それを指にはめた忠敬は体の底から不思議な力が湧いてくるような、そんな感覚を覚えた。
ボロボロになった体に耐えていた忠敬だったが、流石に限界だったのかその場に座り込んでしまった。
「しゃあねぇな。家まで送ってやるよ」
「悪いな……」
「拳で語り合った仲じゃねぇか! 構わねぇ構わねぇ! ほれ、さっさと乗りな!」
エボシはバイクに跨りエンジンをかけ、スタンドを上げるとタンデムシートをポンポンと叩き、座るよう促した。
重たい体を持ち上げて忠敬はタンデムシートに跨った。
「よーし! それじゃぁ行くぜ! 振り落とされねぇように気をつけろよ!」
一時間ほど走るとすぐに見慣れた景色に変わった。
エボシの後ろで忠敬は朦朧とする意識を何とか保ちながら弱々しくエボシの腰に手を回していた。
「あともうちょいだからしっかりしろよー」
「わかってる……」
しかし、体へのダメージは予想以上に大きかった。
なんとか保っていた意識も失い、忠敬はバイクから落ちしまった。
「おい!」
すぐにバイクを停車させてエボシは気を失っている忠敬を肩に担いだ。そして、忠敬の自宅には戻らずエボシが隠れ住んでいる家屋に向かう事になった。
エボシはバイクを路肩に停車させて忠敬の通う高校から近い地区のとある廃屋に入っていった。そこは廃屋と言うにはあまりに綺麗だった。
「人間だってのによく耐えたもんだ。悪ぃことしちまったか?」
忠敬を床に寝転がせたエボシは横に座り部屋に置いていた一升瓶を手に取り、飲み始めた。未開封だった瓶の中身はすぐに無くなった。
「っぷはぁ! うめぇなぁ! 一人酒もいいが、やっぱ飲むんだったら誰かと、がいいんだけどなぁ」
その頃、忠敬の自宅では帰ってこない夫を心配している自称妻の姿があった。
辺りは既に真っ暗で、継美とたまが用事から帰ってきたのは先程だった。鏡花からまだ忠敬が帰ってきていない事を知らされた。
「探しに行くしかないじゃろう」
「また攫われたんかな? どっかお姫様みたいやな」
「もうかれこれ三十年近く攫われておるのう。そんな事よりさっさと往くぞ!」
町に漂う妖気を辿りながら二人は別々に忠敬を探した。公園、路地、学校、山など徹底的に捜索した。しかし、その日は見つかる事は無かった。
忠敬が意識を失ってから二日ほど経った日の昼頃、エボシは部屋の中でだらしなく涎を垂らしながら壁にもたれて眠っていた。
忠敬は目をパチリと開け筋肉痛のように動かすと痛む体を起き上がらせた。目の前には一升瓶や缶ビール、おつまみが入っていたであろう空の袋、足の踏み場が無かった。
「……ここは何処だ……なんだここは……汚すぎるだろ」
現状がどうなっているよりも部屋の汚さが気になる忠敬は掃除をし始めた。
「……お礼? 程度に掃除ぐらいするか……いてて……」
忠敬が掃除をし始めてから一時間後、分別した袋を綺麗に纏めている時、エボシは目を覚ました。
「んぅ……親父……?」
「誰が親父だ」
寝ぼけているのかエボシは忠敬の事を自身の父親だと間違えた。
「あぁ……えーっと……」
「忠敬だ。賀茂 忠敬だ。迷惑をかけたな」
「お前みたいな奴は珍しいな。妖怪相手にそこまで堂々としてる奴なんざ見た事がねぇや」
「……何度も命を狙われたら、嫌でも慣れるさ。見える奴の肉は美味いらしいからな」
「……なぁ、忠敬。お前にはあたしがどう見える」
エボシは壁にもたれたまま少し俯き、そう問いかけた。その問いに忠敬は掃除する手を止めて俯くエボシを見つめ答えた。
「……寂しそうだな」
忠敬は綺麗にしたテーブルの上に座った。
「それを紛らわすのは大変だろう。何をするのも独り、何を言っても賛同してくれる者などいない。憐れだ」
「……やけにハッキリ言うんだな」
「身に覚えがあるからな。俺も人間という種族の中では一人だ。友人はいない、声をかけてくる者もいない。俺を見る目は俺を俺とは見ていない。憐れだろ?」
エボシから貰った指輪をはめているせいなのか、元々そういう性格なのか忠敬は腕を組み不愉快そうに眉をひそめながら苛立っているような顔をしながらそう述べた。
「……けどな、俺には俺を理解してくれる奴がいた。それが唯一の救いだった」
「……あたしには……そんなもん」
「なら作っちまえ。なんなら俺がお前の理解者になってやってもいい。良くも悪くも似た者同士だ。上手くやれると思うぞ」
忠敬は笑みを浮かべてそう言った。そしてまだ開けていなかった一升瓶を手に持ちそれをエボシに見せた。
「俺はお前の友人でありたい。お前はどうだ? このまま孤独であり続けるか? それもいいだろう。だが、それは悲しい」
「……鬼と盃を交わそうってのかい? ははは! 人間にしておくのは持ったいねぇな! 忠敬! お前にあたしの乾きが潤わせる事が出来るか?」
そうテンションの高いエボシに聞かれ忠敬は歯を見せて笑みを浮かべた。まるで自身が鬼にでもなったかのような気分で。
「エボシが望むのならば俺はいくらでも潤わせてやろう」
「はっはっは! いいねぇ! その盃、受けてやろうじゃねぇの!」
エボシは一升瓶を奪うように手に取ると蓋のすぐ下を親指の爪で、まるでクッキーを二つにするかのように容易に切ってしまった。
「忠敬、お前、そっちの方が似合ってんぜ」
「そうか? なんだか知らんが、この指輪をはめてから妙に頭に血が上りやすくなってる」
エボシは切断した部分から中身を半分ほど飲むと残りを忠敬に渡した。
「っぷはぁ! やっぱうめぇなぁ!」
「俺は未成年なんだが……」
「妖怪の年齢じゃもう立派な成人さ! ここはあたしとお前しかいねぇんだ! なら妖怪のルールに従うってもんさ!」
エボシの暴論に対してため息を吐きながら飲み始めた。
その時、部屋の扉は勢いよく開けられた。
「見つけたぞ!」
扉に立っていたのは尻尾の毛が逆立ったたまだった。エボシの姿を視認するや否や拳を握りしめて忠敬の頭を叩いた。
「心配したぞ! 二日も帰ってこず、こんな所で鬼を侍らせよって!」
「おぉ、この前の嬢ちゃんじゃねぇか」
よっ、と手を挙げて挨拶したエボシを横目に、忠敬がお酒をもっていたことに気が付いた。
「……お主……もしかしてじゃが、この鬼と盃を交わした、とか抜かさんよな?」
ワナワナと震えるたまの姿に、首を傾げる忠敬は親指を立てた。
「交わした」
「こんのうつけがー! 鬼の盃には意味があるんじゃ! 同性ならば友情の証、異性ならば……その、なんじゃ……」
「まぁ、そういう意味だよな」
鬼が交わす盃は、鬼にとっては重要なモノだ。たまが言った通り、男と男、女と女ならばそれは友情や信頼の証、しかしそれが異性になると、その盃は謂わば婚約指輪と早変わりする。
そして、忠敬はエボシと同じ入れ物を使用してお酒を飲んだ。それは、婚約以上の、そう結婚する事を意味していた。
「いやぁ、まさか初対面の男に求婚されるなんて思いもよらなかったぜ」
「お主も何故じゃ!? 何故忠敬なんじゃ! 同じ鬼とそうすりゃいいじゃろう!?」
「それはあたしと忠敬だけの秘密さ」
その頃、山を捜索していた継美はとある集団と対峙していた。
昔からの恐怖の存在とされていた鬼だ。
「なんでこんな所におるんや……鬼共が」
その中の、その集団のリーダー格である一人の鬼、二つの角を持つ大太刀を肩に担いだスキンヘッドのサングラスをかけた、黒いスーツ姿の鬼が一歩前に出てきた。
「てめぇみたいな雑魚妖怪に興味はねぇ。失せろ」
「雑魚妖怪やと? ええ度胸しとるやないかぁ……うちに向かってでかい口叩きよって」
「女を嬲る趣味はねぇが……仕方ねぇ……俺達の邪魔をしようってんなら、排除するのみだ」
鬼の持つ刀は通常の刀より遥かに太く長かった。大太刀と呼ばれ、本来は騎馬に乗って勢いで振るう代物だがこの鬼はそれを軽々と、5尺(約150cm)はある太刀を片手で振り上げた。
「鬼の爪は……いてぇ、ぞ?」
それを継美に向かって躊躇なく振り下ろした。継美は後ろに飛び退いた。
周辺を土煙が覆い、それが晴れる頃には鬼の力がどれだけ凄まじいかを物語る傷跡が残っていた。
「地面が真っ二つに割れとる……とんだ馬鹿力やな……あんた名前は?」
「役立たずで、無能な姉の代わりに鬼の頭領を務める、元副頭領……イバラだ」
イバラと名乗る鬼は自らも戦おうとする部下の鬼達に手を出すな、と釘を刺しながら継美を睨みつけた。
「もしかして、エボシとか言う女か?」
「あぁ、俺達はそいつを探している」
「なんでや?」
「……てめぇに語る理由はねぇな」
「そうか。それやったらここを通す理由にはいかんなぁ。うちの事を雑魚呼ばわりしたからには、その体で償ってもらうでぇ!!」
腕に電流を纏わせた継美は拳を握りしめイバラに殴りかかった。しかし、イバラはそれを躱そうとせず正面からそれを受けた。
「……なるほど……雑魚と言って悪かったな。お前、名前は」
「涼しい顔すな! 鬱陶しいな……継美や」
「継美……なるほど……鵺鳥か……今日の所は引いてやるが、俺達の邪魔はするな。そうすればてめぇに危害は加えねぇ」
継美の種族が分かると大太刀を肩に担ぎ彼女に背を向け歩き始めた。
継美は追う事はせず、その背中を睨んでいた。
「頭領、いいんですかい? 妖怪相手に逃げた、ってなったら、鬼の名が傷つきますぜ」
「馬鹿野郎、相手は鵺だ。無理に被害を被る事はねぇ。俺達の目的は裏切りもんのエボシを探して、殺す事だってのを忘れんじゃねぇ」
「しかし……」
「てめぇらの気持ちはよくわかる。だがな、俺達が大事にしてんのは他人からの評価か? ちげぇだろ、俺達が大事にしてんのは誇りだろうが……それに泥を塗っちまったエボシを許しておけねぇだろうが」
「頭領……俺、一生ついて行くっす!」
そして鬼達は闇に消えるように姿を消した。
その日、忠敬はいつも通り帰路についていた。たまと継美は用事があるといい今日は久しぶりの一人での帰り道だった。
たまや継美のいる賑やかな日常も悪くは無いが、静かな時も嫌いではない、と忠敬は思っていた。しかし、丁度その時、一人の女性がコンビニの駐車場に大型のバイクを停車させて、煙草を燻らせている姿を忠敬は目にした。
スタイルのいい女性だったが、一つだけおかしな部分があった。それは額に鬼のような角があったからだ。
「……」
その女性と目が合った。忠敬は笑みを浮かべながら近付いてくる女性を見つめていた。
女性は見下ろした。忠敬が自身の額に目を向けている事に気付き、額を指で指した。
「これが見えてんのか?」
「え、あぁ、まぁ、はい」
見た目とは裏腹に男のような口調で話す女性は角が見えている事を確認した。
忠敬が見えている、と答えると女性は驚いたように目を見開けた。そして楽しそうに言葉を繋いだ。
「そうか! ならあたしと勝負しようぜ! お前みたいな奴と勝負するのが大好きななんだ! あたしはエボシ! 鬼のエボシだ! そうと決まりゃぁ! 早く行こうぜ!」
「え」
継美の時と同様に忠敬はまたもや攫われた。タンデムシートに乗せられそのまま発進した。
エボシに連れてこられたのは古びたボウリング場だった。壁や床はヒビが入っており、今にでも崩れそうだった。
ボウリング場の周りに人が住んでいる家屋はほとんど無く、廃屋ばかりだった。
「……俺は、ただお前達が見える人間でしかないんだが……」
「こまけぇこたぁいいんだよ!」
「いや細かい事に気にしないと俺がミンチになってしまう」
拳を握り締めて構えるエボシを見て、逃れられないと察した忠敬は仕方なく、した事も無い喧嘩をするのであった。
「どっからでもかかってきな!」
忠敬はそう言われた。普通の男なら女性に手を出す事自体、憚るのが普通である。しかし忠敬は普通では無かった。拳を強く握り締めて腕を捻りながらエボシの頬に拳を打ち込んだ。
それを避ける事無く受け止めたエボシは笑みを浮かべ同じように拳を打ち込んだ。
鬼が力を抜いて叩いたとしてもそれはただの人間からすれば強い衝撃になるだろう。そしてその拳を受けた忠敬は吹っ飛ばされた。
「っぁ……!」
「人間にしちゃぁ思い切りがいいじゃねぇか!」
口や鼻から血を流しながら忠敬はなんとか保っている意識で立ち上がった。
「……流石に……痛いな」
鬼の拳により痛みを感じた忠敬は血を服で拭き取り薄く笑みを浮かべた。
「まだまだやれんだろ! もっともっと来い!」
「こうなったらヤケだ……南無三!」
その後、一時間ほど立った頃、忠敬の顔や体はボロボロになっていた。それでも倒れず居られたのはエボシが心底楽しそうだったからだ。その様子を見て忠敬も影響されたのか楽しくなっていた。
「お前人間なのによくまだ立てるな! 嫌いじゃねぇや!」
「生憎、殴られ慣れてるんでな。嫌でも打たれ強くなる」
「……やる前からちょいと気になってたんだけどよ、お前のその元々の痣は殴り合いか?」
ふとエボシは初めて見た時から気になっていた忠敬の痣について触れた。その問いに忠敬は沈黙した。
「……」
「あたしとやり合うお前は楽しそうに見えた。あたしはてっきり殴り合いが好き、なのかと思ったが……違うのか?」
「……なぁ、エボシ。俺はそんなに楽しそうに見えたか」
そう問われ、エボシは勿論、と笑顔でそう言った。
そうか、と悲しそうに忠敬は自虐気味に笑った。
「おいおい、そんな顔すんなよ。殴り合った仲だろ? そんなナリにしちまったあたしが言うのもなんだけど、気になる事があるなら話してみろ、な? 口に出すってのは大事だぞ?」
「……いや、自分では荒事が嫌い、だと思ってたんだ」
「はっ、そんな事かよ!」
拳を下げたエボシはポケットの中から煙草の箱を取り出してそこからライターと煙草一本を取りだし火をつけて吸い始めた。
「ふぅ……お前が思ってるほど、お前は弱い人間じゃねぇし、落ち着いた人間でもねぇんだろう。鬼ってのは怒りとかに敏感だからわかるんだが、お前自分が何も出来ねぇシャバい野郎だって思ってんだろ?」
「それは……否定しない」
「あたしと一緒さ……お前、乾いてんだよ」
「乾い……てる……?」
エボシの言葉に首を傾げる忠敬。それは何を言っているのか理解出来ないという事ではなく、理解は出来る、身に覚えもある、しかし何故こうなっているのかがわからなかった。
エボシは言葉を続けた。
「喉の乾きとかと一緒さ……! 足りてねぇんだよ! あたしにとっての乾きってのはこのクソつまらねぇ現状だ! あたしに歯向かう奴は鬼の中じゃぁ誰もいねぇ! 他の妖怪も力比べじゃ鬼に勝てねぇ! けどよ! つまんねぇんだよ! 他人に媚びへつらうように生きて何が楽しいんだっ!? てめぇらの人生はてめぇらで決めちまえよ! なんで他人任せなんだよ! なんで誰も彼もっ、あたしの顔ばかり伺うんだ……!」
決壊したダムから溢れる水のように激しく怒るエボシは地面を何度も踏み鳴らした。
その時、忠敬はエボシの事を羨ましいと感じていた。
「俺にとっての乾き……」
忠敬は自身の赤く腫れた拳を見てそう呟いた。己の乾きを潤すものはなんだろうかと考えていた。
「っふぅ……お前にもその乾きを、潤すモノはあるはずだぜ」
落ち着きを取り戻したエボシはフィルター部分まで灰が伸びている事に気付く煙草を指で弾きながらそう言った。
「……」
「これをしているすっげー楽しいとか、こいつと一緒にいると時間を忘れる事が出来るとか、そんなもんだ」
自分にとっての乾きの原因が何なのか、どうすればそれを潤わす事が出来るのか、何故自分がそこまで乾いているのか。何一つ分からなかった。忠敬が一つだけ分かるのは、その乾きが満たされた時、今の自分では無くなることは、理解していた。
「まぁゆっくり探すといいぜ。それとこれをお前にくれてやる」
エボシは胸の隙間から黒い指輪を忠敬に投げ渡した。
「これは?」
「鬼の角で作られた指輪だ。あたし達からしたらお守りみたいなもんだが、人間が身につけると力が湧いてくる、らしい」
「いいのか? 大事なものじゃないのか?」
「あたしはいらねぇんだ。それはお前のもんだ。とっとけとっとけ!」
それを指にはめた忠敬は体の底から不思議な力が湧いてくるような、そんな感覚を覚えた。
ボロボロになった体に耐えていた忠敬だったが、流石に限界だったのかその場に座り込んでしまった。
「しゃあねぇな。家まで送ってやるよ」
「悪いな……」
「拳で語り合った仲じゃねぇか! 構わねぇ構わねぇ! ほれ、さっさと乗りな!」
エボシはバイクに跨りエンジンをかけ、スタンドを上げるとタンデムシートをポンポンと叩き、座るよう促した。
重たい体を持ち上げて忠敬はタンデムシートに跨った。
「よーし! それじゃぁ行くぜ! 振り落とされねぇように気をつけろよ!」
一時間ほど走るとすぐに見慣れた景色に変わった。
エボシの後ろで忠敬は朦朧とする意識を何とか保ちながら弱々しくエボシの腰に手を回していた。
「あともうちょいだからしっかりしろよー」
「わかってる……」
しかし、体へのダメージは予想以上に大きかった。
なんとか保っていた意識も失い、忠敬はバイクから落ちしまった。
「おい!」
すぐにバイクを停車させてエボシは気を失っている忠敬を肩に担いだ。そして、忠敬の自宅には戻らずエボシが隠れ住んでいる家屋に向かう事になった。
エボシはバイクを路肩に停車させて忠敬の通う高校から近い地区のとある廃屋に入っていった。そこは廃屋と言うにはあまりに綺麗だった。
「人間だってのによく耐えたもんだ。悪ぃことしちまったか?」
忠敬を床に寝転がせたエボシは横に座り部屋に置いていた一升瓶を手に取り、飲み始めた。未開封だった瓶の中身はすぐに無くなった。
「っぷはぁ! うめぇなぁ! 一人酒もいいが、やっぱ飲むんだったら誰かと、がいいんだけどなぁ」
その頃、忠敬の自宅では帰ってこない夫を心配している自称妻の姿があった。
辺りは既に真っ暗で、継美とたまが用事から帰ってきたのは先程だった。鏡花からまだ忠敬が帰ってきていない事を知らされた。
「探しに行くしかないじゃろう」
「また攫われたんかな? どっかお姫様みたいやな」
「もうかれこれ三十年近く攫われておるのう。そんな事よりさっさと往くぞ!」
町に漂う妖気を辿りながら二人は別々に忠敬を探した。公園、路地、学校、山など徹底的に捜索した。しかし、その日は見つかる事は無かった。
忠敬が意識を失ってから二日ほど経った日の昼頃、エボシは部屋の中でだらしなく涎を垂らしながら壁にもたれて眠っていた。
忠敬は目をパチリと開け筋肉痛のように動かすと痛む体を起き上がらせた。目の前には一升瓶や缶ビール、おつまみが入っていたであろう空の袋、足の踏み場が無かった。
「……ここは何処だ……なんだここは……汚すぎるだろ」
現状がどうなっているよりも部屋の汚さが気になる忠敬は掃除をし始めた。
「……お礼? 程度に掃除ぐらいするか……いてて……」
忠敬が掃除をし始めてから一時間後、分別した袋を綺麗に纏めている時、エボシは目を覚ました。
「んぅ……親父……?」
「誰が親父だ」
寝ぼけているのかエボシは忠敬の事を自身の父親だと間違えた。
「あぁ……えーっと……」
「忠敬だ。賀茂 忠敬だ。迷惑をかけたな」
「お前みたいな奴は珍しいな。妖怪相手にそこまで堂々としてる奴なんざ見た事がねぇや」
「……何度も命を狙われたら、嫌でも慣れるさ。見える奴の肉は美味いらしいからな」
「……なぁ、忠敬。お前にはあたしがどう見える」
エボシは壁にもたれたまま少し俯き、そう問いかけた。その問いに忠敬は掃除する手を止めて俯くエボシを見つめ答えた。
「……寂しそうだな」
忠敬は綺麗にしたテーブルの上に座った。
「それを紛らわすのは大変だろう。何をするのも独り、何を言っても賛同してくれる者などいない。憐れだ」
「……やけにハッキリ言うんだな」
「身に覚えがあるからな。俺も人間という種族の中では一人だ。友人はいない、声をかけてくる者もいない。俺を見る目は俺を俺とは見ていない。憐れだろ?」
エボシから貰った指輪をはめているせいなのか、元々そういう性格なのか忠敬は腕を組み不愉快そうに眉をひそめながら苛立っているような顔をしながらそう述べた。
「……けどな、俺には俺を理解してくれる奴がいた。それが唯一の救いだった」
「……あたしには……そんなもん」
「なら作っちまえ。なんなら俺がお前の理解者になってやってもいい。良くも悪くも似た者同士だ。上手くやれると思うぞ」
忠敬は笑みを浮かべてそう言った。そしてまだ開けていなかった一升瓶を手に持ちそれをエボシに見せた。
「俺はお前の友人でありたい。お前はどうだ? このまま孤独であり続けるか? それもいいだろう。だが、それは悲しい」
「……鬼と盃を交わそうってのかい? ははは! 人間にしておくのは持ったいねぇな! 忠敬! お前にあたしの乾きが潤わせる事が出来るか?」
そうテンションの高いエボシに聞かれ忠敬は歯を見せて笑みを浮かべた。まるで自身が鬼にでもなったかのような気分で。
「エボシが望むのならば俺はいくらでも潤わせてやろう」
「はっはっは! いいねぇ! その盃、受けてやろうじゃねぇの!」
エボシは一升瓶を奪うように手に取ると蓋のすぐ下を親指の爪で、まるでクッキーを二つにするかのように容易に切ってしまった。
「忠敬、お前、そっちの方が似合ってんぜ」
「そうか? なんだか知らんが、この指輪をはめてから妙に頭に血が上りやすくなってる」
エボシは切断した部分から中身を半分ほど飲むと残りを忠敬に渡した。
「っぷはぁ! やっぱうめぇなぁ!」
「俺は未成年なんだが……」
「妖怪の年齢じゃもう立派な成人さ! ここはあたしとお前しかいねぇんだ! なら妖怪のルールに従うってもんさ!」
エボシの暴論に対してため息を吐きながら飲み始めた。
その時、部屋の扉は勢いよく開けられた。
「見つけたぞ!」
扉に立っていたのは尻尾の毛が逆立ったたまだった。エボシの姿を視認するや否や拳を握りしめて忠敬の頭を叩いた。
「心配したぞ! 二日も帰ってこず、こんな所で鬼を侍らせよって!」
「おぉ、この前の嬢ちゃんじゃねぇか」
よっ、と手を挙げて挨拶したエボシを横目に、忠敬がお酒をもっていたことに気が付いた。
「……お主……もしかしてじゃが、この鬼と盃を交わした、とか抜かさんよな?」
ワナワナと震えるたまの姿に、首を傾げる忠敬は親指を立てた。
「交わした」
「こんのうつけがー! 鬼の盃には意味があるんじゃ! 同性ならば友情の証、異性ならば……その、なんじゃ……」
「まぁ、そういう意味だよな」
鬼が交わす盃は、鬼にとっては重要なモノだ。たまが言った通り、男と男、女と女ならばそれは友情や信頼の証、しかしそれが異性になると、その盃は謂わば婚約指輪と早変わりする。
そして、忠敬はエボシと同じ入れ物を使用してお酒を飲んだ。それは、婚約以上の、そう結婚する事を意味していた。
「いやぁ、まさか初対面の男に求婚されるなんて思いもよらなかったぜ」
「お主も何故じゃ!? 何故忠敬なんじゃ! 同じ鬼とそうすりゃいいじゃろう!?」
「それはあたしと忠敬だけの秘密さ」
その頃、山を捜索していた継美はとある集団と対峙していた。
昔からの恐怖の存在とされていた鬼だ。
「なんでこんな所におるんや……鬼共が」
その中の、その集団のリーダー格である一人の鬼、二つの角を持つ大太刀を肩に担いだスキンヘッドのサングラスをかけた、黒いスーツ姿の鬼が一歩前に出てきた。
「てめぇみたいな雑魚妖怪に興味はねぇ。失せろ」
「雑魚妖怪やと? ええ度胸しとるやないかぁ……うちに向かってでかい口叩きよって」
「女を嬲る趣味はねぇが……仕方ねぇ……俺達の邪魔をしようってんなら、排除するのみだ」
鬼の持つ刀は通常の刀より遥かに太く長かった。大太刀と呼ばれ、本来は騎馬に乗って勢いで振るう代物だがこの鬼はそれを軽々と、5尺(約150cm)はある太刀を片手で振り上げた。
「鬼の爪は……いてぇ、ぞ?」
それを継美に向かって躊躇なく振り下ろした。継美は後ろに飛び退いた。
周辺を土煙が覆い、それが晴れる頃には鬼の力がどれだけ凄まじいかを物語る傷跡が残っていた。
「地面が真っ二つに割れとる……とんだ馬鹿力やな……あんた名前は?」
「役立たずで、無能な姉の代わりに鬼の頭領を務める、元副頭領……イバラだ」
イバラと名乗る鬼は自らも戦おうとする部下の鬼達に手を出すな、と釘を刺しながら継美を睨みつけた。
「もしかして、エボシとか言う女か?」
「あぁ、俺達はそいつを探している」
「なんでや?」
「……てめぇに語る理由はねぇな」
「そうか。それやったらここを通す理由にはいかんなぁ。うちの事を雑魚呼ばわりしたからには、その体で償ってもらうでぇ!!」
腕に電流を纏わせた継美は拳を握りしめイバラに殴りかかった。しかし、イバラはそれを躱そうとせず正面からそれを受けた。
「……なるほど……雑魚と言って悪かったな。お前、名前は」
「涼しい顔すな! 鬱陶しいな……継美や」
「継美……なるほど……鵺鳥か……今日の所は引いてやるが、俺達の邪魔はするな。そうすればてめぇに危害は加えねぇ」
継美の種族が分かると大太刀を肩に担ぎ彼女に背を向け歩き始めた。
継美は追う事はせず、その背中を睨んでいた。
「頭領、いいんですかい? 妖怪相手に逃げた、ってなったら、鬼の名が傷つきますぜ」
「馬鹿野郎、相手は鵺だ。無理に被害を被る事はねぇ。俺達の目的は裏切りもんのエボシを探して、殺す事だってのを忘れんじゃねぇ」
「しかし……」
「てめぇらの気持ちはよくわかる。だがな、俺達が大事にしてんのは他人からの評価か? ちげぇだろ、俺達が大事にしてんのは誇りだろうが……それに泥を塗っちまったエボシを許しておけねぇだろうが」
「頭領……俺、一生ついて行くっす!」
そして鬼達は闇に消えるように姿を消した。
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