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服の確立
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髪と服だけで人はこんなにも変わるものなのかと思ったからである。本当に自分なのかと思えてしまうほどに見え方が違う。
「想像以上に変わるね」
「元々レベルが高いから妥当だと思うけれど」
男性につかうのはどうかとは思うが、両親共に容姿端麗であり、その子供である俺たちもなかなかであることは理解しているのだが、自分容姿を見て可愛いと思ってしまう時が来るとは思ってもいなかったのだ。
「服はこれでいいの?」
せっかくなのだから服も合わせてくれればもっと良くなるし、この服は直感で選んだものなのだから当然、女性からしてみれば首を傾げずにはいられないもののはずである。だからこそ、素知らぬ顔で聞いてみた。
「普通に合ってると思うよ」
なぜそんな事を聞くのかと言いたげな顔でそう言った。真剣に似合っていると言われるとは毛ほども思っていなかったため、動揺を禁じ得ない。元々男である俺が女性服をさらっと選べるはずがないのに。ひょっとすると感性も女性寄りになっているのだろうか。
「そっか。てっきり気を使ってくれてるのかと思った」
「そんな事ないって。どうしても心配ならお母さんに見せてみたら良いんじゃない?」
そこまでエリカの事を信用していないわけではないので、もちろん首は横に振らせていただくのだが、そこまで言われたら自分の感性が変わっている可能性は大きいと考える他ないな。
「まさか自分で選べるなんて思ってなかったから信じられなかっただけだよ。エリカのことは信頼してるから」
申し訳ないという気持ちを込めて言うと、そういうことかと納得したようにエリカは笑った。それにつられるように、気付けば俺も笑っていた。すると、笑い声を聞きつけた母さんが店員の女性と共に俺たちの方へと戻ってきた。
「すごく楽しそうな笑い声が聞こえたけど......あら、よく似合ってるわよリリィ」
俺を見て嬉しそうに母さんは言った。その右手には分厚い服を二人分持っていた。どうやら母さんの方も選び終えたらしい。
「服は決まったかしら?」
俺が手に持っている服に目をやり母さんは言う。もう少し見たいという気持ちはあるのだが、この一着で問題はないだろう。別段服が不足しているわけではないのだから。あくまでも今回の目的は自分たちで服を選ぶことなので、一着でいいはずだ。故に、手に持っている服を母さんに手渡し、笑顔を浮かべた。
「これが良いかなって思ったんだけど」
「うん! 凄く良いと思うわ」
まるで自分のことのように喜ぶ母さん。思わず恍惚としてしまいそうな程に優美なその表情をみていると、こちらまでもが嬉しくなってくる。
「エリカはどんなのにしたのかしら」
「えっと、この二つなんだけど」
エリカが手にしたのは、薄い青色でとても清楚な印象の服である。狙ってのことなのかは分かりかねるが、俺と同じワンピースだ。もう一方は少し大きめのズボンと羽織がセットになったものだ。
「とても可愛いわ」
「良かった!」
喜色満面でそういうと、ほっとしたように息をもらした。きっと俺と同様にまたエリカも心配だったのだろう。
「それじゃあこの服とリリィのつけてるリボンを買いましょうか」
横で髪を束ねているのをすっかり忘れていた。それぐらい気に入ってるってことなのかな。なんにせよ会計が先である。だからリボンに手を伸ばし、解こうとしたのだが、母さんに制止された。
「別に解く必要はないわ。そのままつけておきましょう。いいわよね?」
その問いに対し、店員の女性はこくりと頷いた。そういうことであればこのままにしておこう。解いたらまたエリカに結んでもらわないと自分じゃできないし。でもそのうち出来るようになった方がいいんだろうな。そんなことを思いながら店の出口の方へと向かい歩いた。
服を買い終わったところで、軽く街を見て回りながら食材を買うことになった。他にどんな店があるのか、どのぐらい広いのかを見たいという俺の意見が採用されたためである。
「想像以上に変わるね」
「元々レベルが高いから妥当だと思うけれど」
男性につかうのはどうかとは思うが、両親共に容姿端麗であり、その子供である俺たちもなかなかであることは理解しているのだが、自分容姿を見て可愛いと思ってしまう時が来るとは思ってもいなかったのだ。
「服はこれでいいの?」
せっかくなのだから服も合わせてくれればもっと良くなるし、この服は直感で選んだものなのだから当然、女性からしてみれば首を傾げずにはいられないもののはずである。だからこそ、素知らぬ顔で聞いてみた。
「普通に合ってると思うよ」
なぜそんな事を聞くのかと言いたげな顔でそう言った。真剣に似合っていると言われるとは毛ほども思っていなかったため、動揺を禁じ得ない。元々男である俺が女性服をさらっと選べるはずがないのに。ひょっとすると感性も女性寄りになっているのだろうか。
「そっか。てっきり気を使ってくれてるのかと思った」
「そんな事ないって。どうしても心配ならお母さんに見せてみたら良いんじゃない?」
そこまでエリカの事を信用していないわけではないので、もちろん首は横に振らせていただくのだが、そこまで言われたら自分の感性が変わっている可能性は大きいと考える他ないな。
「まさか自分で選べるなんて思ってなかったから信じられなかっただけだよ。エリカのことは信頼してるから」
申し訳ないという気持ちを込めて言うと、そういうことかと納得したようにエリカは笑った。それにつられるように、気付けば俺も笑っていた。すると、笑い声を聞きつけた母さんが店員の女性と共に俺たちの方へと戻ってきた。
「すごく楽しそうな笑い声が聞こえたけど......あら、よく似合ってるわよリリィ」
俺を見て嬉しそうに母さんは言った。その右手には分厚い服を二人分持っていた。どうやら母さんの方も選び終えたらしい。
「服は決まったかしら?」
俺が手に持っている服に目をやり母さんは言う。もう少し見たいという気持ちはあるのだが、この一着で問題はないだろう。別段服が不足しているわけではないのだから。あくまでも今回の目的は自分たちで服を選ぶことなので、一着でいいはずだ。故に、手に持っている服を母さんに手渡し、笑顔を浮かべた。
「これが良いかなって思ったんだけど」
「うん! 凄く良いと思うわ」
まるで自分のことのように喜ぶ母さん。思わず恍惚としてしまいそうな程に優美なその表情をみていると、こちらまでもが嬉しくなってくる。
「エリカはどんなのにしたのかしら」
「えっと、この二つなんだけど」
エリカが手にしたのは、薄い青色でとても清楚な印象の服である。狙ってのことなのかは分かりかねるが、俺と同じワンピースだ。もう一方は少し大きめのズボンと羽織がセットになったものだ。
「とても可愛いわ」
「良かった!」
喜色満面でそういうと、ほっとしたように息をもらした。きっと俺と同様にまたエリカも心配だったのだろう。
「それじゃあこの服とリリィのつけてるリボンを買いましょうか」
横で髪を束ねているのをすっかり忘れていた。それぐらい気に入ってるってことなのかな。なんにせよ会計が先である。だからリボンに手を伸ばし、解こうとしたのだが、母さんに制止された。
「別に解く必要はないわ。そのままつけておきましょう。いいわよね?」
その問いに対し、店員の女性はこくりと頷いた。そういうことであればこのままにしておこう。解いたらまたエリカに結んでもらわないと自分じゃできないし。でもそのうち出来るようになった方がいいんだろうな。そんなことを思いながら店の出口の方へと向かい歩いた。
服を買い終わったところで、軽く街を見て回りながら食材を買うことになった。他にどんな店があるのか、どのぐらい広いのかを見たいという俺の意見が採用されたためである。
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