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大人女子会8
年が明けて1月の下旬、今日は久しぶりの大人女子会。
場所はミチルのリクエストでオシャレ系のイタリアンバー。
「ここ、すごくオシャレで来てみたかったんです。みーくんとじゃなくてオトナな女の人と。臨時収入もあったし」
ミチルは二十歳の集いの振袖の写真を、三人に見せた。
「わあ、おめでとう!綺麗だね~!臨時収入って?」
お祝いに奢ってあげても良かったな、と思いながらさよは聞いた。
「成人…じゃなくて二十歳の集いのお祝いにって、おじいちゃんからおばあちゃんから親戚から、なんかいっぱいもらったんです。お返しした残りは全部もらいました!私、ママ振袖にしたから振袖にお金使ってないのでそうしていいよ、って」
「ままふり?」
みきが聞くと、ゆみが答えた。
「お母さんの振袖を着るってことだよ。それを言ったら私は叔母振袖になるかな。みきは成人式出てないんでしょ?」
「大学で家離れてから一度も帰ってないよ」
「え…あ…」
ミチルは思わず口を押さえた。
「ああ、気にしないで。寂しいも悲しいも無いから。じゃあ遠慮なくワリカンね」
「はい!」
「いい振袖ね。結局こういう古典柄が良いのよね。桜とか束ね熨斗とか。一時期原色の無地に大きな花紋とか流行ったらしいけど、そういう変わり種ってすぐ無くなるのよね」
ゆみが写真を見ながら感心していると、さよも覗き込んできた。
「ゆみはアパレル系だから詳しいよね。古典柄って加賀友禅とか?」
「振袖で加賀友禅はよっぽどね。高くなり過ぎるかな。振袖には振袖の流れがあるから」
「ふうん。うちはレンタルだった。女三人だと大変だからね。着付けてもらって脱ぎっぱなしでいいから楽だったな~」
さよは自分の成人式を思い出しながら言った。
「さよさん、三人姉妹なんですか?」
「双子の姉がいるの。そっちに手が掛かるから私は放ったらかしよ。ま、それで良かったけどね」
「放任主義の産物なのね、さよは」
「ん?ゆみ?何か言った?」
こういう実家系の話題は苦手だったのに、いつの間にか平気になっていたことにみきは気が付いて、緩く口角を上げた。
「あれえ?みき?な~に思い出し笑いしてるの?何かいいことあった?」
「別に何も無いよ。何も無いのが一番だよ」
みきにかわされたさよは、唇を尖らせた。
「ま、そうなんだけどね」
「どうしたの?何かあってほしかったの?」
ゆみがカプレーゼを食べながら何気なくさよに聞いた。
「あっても良かったんだけど…生理来ちゃった」
「「「は…?!!え?!」」」
「ど、ど、どういうことよ…」
みきは珍しく動揺した。
「ん~、いろいろあって、あきらくんと婚約したの」
「「「婚約?」」」
「そう。この連休に両家へのご挨拶ってのをやってね、えへへ、婚約しました~」
「えへへじゃないわよ、いつの間にそうなったのよ?」
ゆみが詰め寄った。
「年越しの温泉旅行で、かな」
「って!こないだじゃない!私と伊織なんて夏から半年かけてやっとなのに!」
「あれ?ゆみも婚約したの?」
さよはのんきに聞いた。
「あ…まあね。去年の秋の終わりに、その両家へのご挨拶ってのをしたのよ。結婚式は春に決まったんだけど伊織の地元でやることになったのね。それとは別でこっちでも内輪でパーティーするからそれに出席でもいい?」
「伊織さんの地元ってどこ?」
みきはふと、知らないな、と思って聞いた。
「金沢」
「あ~、なんかしきたりとか有りそうなところね」
みきが言うと、さよもミチルも肯いた。
「そんなでもないんだけど…まあ、いろいろね。私の地元も同じような地方都市だから感覚は似てるし、向こうの家の言いたいことも分かるのよ。こういうのは流れに逆らわないのが鉄則。そっちの式は親戚だとか上司だとかで手堅く済ませるわ」
「え?伊織さんの上司って…」
みきが言い淀んだ。
「そう。それもあって伊織の地元なのよ。恩師で乗り切るわ」
「なんか大変そうね、結婚って」
「って、さよ?あんたも結婚するんでしょ?」
「うん。だけど詳しいことはまだ全然」
「ホントに大変そう…。頑張ってくださいね、二人とも」
ミチルが祈るように言うと、みきが軽くため息をついた。
「結婚願望なんて無いとか、なんで結婚するのか分からない、メリットなんて無いよねって言ってた二人が結婚なんてね」
「そうなのよ!分からなかったの!でもね、分かったの!あのね、あきらくんの全部が欲しいから結婚するの!」
「「「しーっ!!!」」」
慌てて声量をダウンさせると、みきが小声で聞いた。
「いったい、何があったのよ…」
「えっとね、エッチしてて、そのまま欲しくなって、なんでこのまましちゃダメなのって泣いてたら、あきらくんが結婚しよう、って言ってくれて、そのまましたのね?で、赤ちゃん出来たらいいね、って言ってたんだけど生理が来ちゃったのね?でももう気持ちは決まってたから婚約したの」
「「「………」」」
「さ、三段論法…ですね?」
ミチルが絞り出すように言うと、ゆみが首を振りながら言った。
「ミチルちゃん、無理に納得しなくていいから。さよの爆弾は処理しきれないわ…」
「ホントそう」
みきも肯きながら呟いた。
「何よ、もう。みきは進展無いの?その気はあるとか言ってたじゃない」
「な~んにも無いよ。私らはこれでいんじゃないかな」
「は~…オトナっていろいろ難しいんですね…」
ミチルが戦々恐々としながらティラミスを食べていると、三人のオトナたちはクスッと笑った。
「それが面白いんだよ」
「ミチルちゃんも、もうオトナだよ?」
「無理しないでいいんだよ」
さよとゆみとみきはそれぞれに声を掛けてあげた。
場所はミチルのリクエストでオシャレ系のイタリアンバー。
「ここ、すごくオシャレで来てみたかったんです。みーくんとじゃなくてオトナな女の人と。臨時収入もあったし」
ミチルは二十歳の集いの振袖の写真を、三人に見せた。
「わあ、おめでとう!綺麗だね~!臨時収入って?」
お祝いに奢ってあげても良かったな、と思いながらさよは聞いた。
「成人…じゃなくて二十歳の集いのお祝いにって、おじいちゃんからおばあちゃんから親戚から、なんかいっぱいもらったんです。お返しした残りは全部もらいました!私、ママ振袖にしたから振袖にお金使ってないのでそうしていいよ、って」
「ままふり?」
みきが聞くと、ゆみが答えた。
「お母さんの振袖を着るってことだよ。それを言ったら私は叔母振袖になるかな。みきは成人式出てないんでしょ?」
「大学で家離れてから一度も帰ってないよ」
「え…あ…」
ミチルは思わず口を押さえた。
「ああ、気にしないで。寂しいも悲しいも無いから。じゃあ遠慮なくワリカンね」
「はい!」
「いい振袖ね。結局こういう古典柄が良いのよね。桜とか束ね熨斗とか。一時期原色の無地に大きな花紋とか流行ったらしいけど、そういう変わり種ってすぐ無くなるのよね」
ゆみが写真を見ながら感心していると、さよも覗き込んできた。
「ゆみはアパレル系だから詳しいよね。古典柄って加賀友禅とか?」
「振袖で加賀友禅はよっぽどね。高くなり過ぎるかな。振袖には振袖の流れがあるから」
「ふうん。うちはレンタルだった。女三人だと大変だからね。着付けてもらって脱ぎっぱなしでいいから楽だったな~」
さよは自分の成人式を思い出しながら言った。
「さよさん、三人姉妹なんですか?」
「双子の姉がいるの。そっちに手が掛かるから私は放ったらかしよ。ま、それで良かったけどね」
「放任主義の産物なのね、さよは」
「ん?ゆみ?何か言った?」
こういう実家系の話題は苦手だったのに、いつの間にか平気になっていたことにみきは気が付いて、緩く口角を上げた。
「あれえ?みき?な~に思い出し笑いしてるの?何かいいことあった?」
「別に何も無いよ。何も無いのが一番だよ」
みきにかわされたさよは、唇を尖らせた。
「ま、そうなんだけどね」
「どうしたの?何かあってほしかったの?」
ゆみがカプレーゼを食べながら何気なくさよに聞いた。
「あっても良かったんだけど…生理来ちゃった」
「「「は…?!!え?!」」」
「ど、ど、どういうことよ…」
みきは珍しく動揺した。
「ん~、いろいろあって、あきらくんと婚約したの」
「「「婚約?」」」
「そう。この連休に両家へのご挨拶ってのをやってね、えへへ、婚約しました~」
「えへへじゃないわよ、いつの間にそうなったのよ?」
ゆみが詰め寄った。
「年越しの温泉旅行で、かな」
「って!こないだじゃない!私と伊織なんて夏から半年かけてやっとなのに!」
「あれ?ゆみも婚約したの?」
さよはのんきに聞いた。
「あ…まあね。去年の秋の終わりに、その両家へのご挨拶ってのをしたのよ。結婚式は春に決まったんだけど伊織の地元でやることになったのね。それとは別でこっちでも内輪でパーティーするからそれに出席でもいい?」
「伊織さんの地元ってどこ?」
みきはふと、知らないな、と思って聞いた。
「金沢」
「あ~、なんかしきたりとか有りそうなところね」
みきが言うと、さよもミチルも肯いた。
「そんなでもないんだけど…まあ、いろいろね。私の地元も同じような地方都市だから感覚は似てるし、向こうの家の言いたいことも分かるのよ。こういうのは流れに逆らわないのが鉄則。そっちの式は親戚だとか上司だとかで手堅く済ませるわ」
「え?伊織さんの上司って…」
みきが言い淀んだ。
「そう。それもあって伊織の地元なのよ。恩師で乗り切るわ」
「なんか大変そうね、結婚って」
「って、さよ?あんたも結婚するんでしょ?」
「うん。だけど詳しいことはまだ全然」
「ホントに大変そう…。頑張ってくださいね、二人とも」
ミチルが祈るように言うと、みきが軽くため息をついた。
「結婚願望なんて無いとか、なんで結婚するのか分からない、メリットなんて無いよねって言ってた二人が結婚なんてね」
「そうなのよ!分からなかったの!でもね、分かったの!あのね、あきらくんの全部が欲しいから結婚するの!」
「「「しーっ!!!」」」
慌てて声量をダウンさせると、みきが小声で聞いた。
「いったい、何があったのよ…」
「えっとね、エッチしてて、そのまま欲しくなって、なんでこのまましちゃダメなのって泣いてたら、あきらくんが結婚しよう、って言ってくれて、そのまましたのね?で、赤ちゃん出来たらいいね、って言ってたんだけど生理が来ちゃったのね?でももう気持ちは決まってたから婚約したの」
「「「………」」」
「さ、三段論法…ですね?」
ミチルが絞り出すように言うと、ゆみが首を振りながら言った。
「ミチルちゃん、無理に納得しなくていいから。さよの爆弾は処理しきれないわ…」
「ホントそう」
みきも肯きながら呟いた。
「何よ、もう。みきは進展無いの?その気はあるとか言ってたじゃない」
「な~んにも無いよ。私らはこれでいんじゃないかな」
「は~…オトナっていろいろ難しいんですね…」
ミチルが戦々恐々としながらティラミスを食べていると、三人のオトナたちはクスッと笑った。
「それが面白いんだよ」
「ミチルちゃんも、もうオトナだよ?」
「無理しないでいいんだよ」
さよとゆみとみきはそれぞれに声を掛けてあげた。
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